鏡よ鏡、108
社内でエレベーターがくるのをひとりで待っていると、ものすごいスピードで森さんがやってきて小さな声で
「ひとみちゃん、変なこと訊くけど…あんた妊娠してんじゃないの?」
さすが!森さん!!このずけずけした言い方も、さすがとしかいいようがない! ひとみは爆笑しながら
「まいったなあ(笑)やっぱり森さんはすごい!」
「え?そおなの?そおなのよね?ちょっと!」
「あはは。バレたか」
「あんた?みんなは知ってるの?」
「あはは。彼以外だったら森さんがはじめて。いや〜びっくりするわ(笑)」
「そのお腹は産むんだね…おめでとう。よかったね」
「ありがとうね、森さん」
「黙っといたほうがいいよね?内緒だよね?」
「いいんじゃない?わたし、べつに何言われても平気だし(笑)」
森さんの率直さが気持ちよかった。やっぱり森さんはいい人だな。おばさんならではのあつかましさが助かる。ムカツクときもあるけど(笑) 「たくましいわ。母はつよし、だわ」
「まだ母じゃないから。あはは」




