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男はドアを開け放ち、間続きの部屋を進む。
絆も引きずられるように歩かされていたが、腕の痛みも限界だった。
「ちょっと!いい加減にして」
そう言って、渾身の一撃で男性の足の甲を踏みつける。
僅かに男性の顔色が曇り、痛みで歩を止める。
「勝手に迷い込んだなら謝ります!
でも、縛らないでください。大人しくしますから」
疲れたあまり、不法侵入で逮捕とかは笑えない。
絆は、まず真っ先にそんなことを考えていた。
(謝ったら、許してくれるだろうか…。
でも、玩具でも模造刀を人に突きつける人にそもそも話が通じるかな?)