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世界はこうして終わりへ向かう
世界が終わるのは一瞬で、まるで風船が割れた時のようだった。
終わる、と言っても大陸がドカンと壊れてしまったり、惑星そのものがなくなってしまったりしたわけではない。だが、限りなく終わったと言っていいだろう。
何せ、あの魔王「テューポーン」が復活してしまったのだから。
誰も止めることはできなかったのか。いや、できた。できるはずだった。
魔王復活をもくろんでいた魔族たちを倒そうと立ち上がる人間もいた。魔族たちはどちらかと言えば押され気味で、魔王復活の可能性は限りなく低くなっていたのだ。
そんな状況をひっくり返してしまった魔族側の英雄は誰か、となるだろう。
あの蝮の女と言われるエキドナか、それとも犬の魔族ケルベロスか。人々は恐ろしい魔族たちを思い浮かべた。だが、現実はもっと恐ろしい。
なぜなら、バッドエンドを引き寄せたのは「勇者」だったのだ。
勇者の名を「ブレイブ」。
15歳にして、人々を救おうと志高く勇者となった彼。今では勇者と言えるのかどうか怪しい……。
さて、この世界の行く先はどうなることか。