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罪を償えという名の異世界転生  作者: ゆら
第一章
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8 魔力の感じ方

 目が覚めると酸っぱい臭いが鼻につく。この世界にも目に見えない雑菌がいるのだろう。日に日に俺は臭くなっている。

 飲水はあるが洗顔用があるわけはない。飲水を利用して洗顔するのもいいのだろうが、飲水が増えるわけでないので節約していきたい。なので顔は洗わない。不潔である。


 それはさておき脚が痛い。いや、全身が痛い。可能性は考えていたが筋肉痛がすでに始まっている。一般的には年齢に比例して筋肉痛が遅れて来るようなことを聞くが、実際はほぼ関係無い。

 ジャンプ運動って全身運動だから仕方ないけど、これは結構辛い症状だな。それだけこの体が鈍っているということなんだろう。仕方ない、筋肉にも休憩が必要だから、別のプランを実行することにする。


 スキルに関しては今すぐどうこうできない。超能力に関しても今すぐじゃない。身につく可能性があるのは魔法である。

 そう、俺は魔法使いになる! とは言ってもこれもすぐに使えるわけではないが、この世界の住人に比べて有利であるだろう。


 この世界に生まれた者達には魔力が体内を巡っているのが自然である。そう、自然なのだ。当たり前に巡り過ぎていて感じることにとても苦労する。魔法を使うにあたってこの魔力を感じる事が魔法を使うことの第一歩といえる。

 俺が有利な点、それは元々魔力のない世界にいたということ。なかったものが今はあり、体内を駆け巡っているのであればそれを異物と捉え、感じるのは容易くあるはず。うん、すでにわかってる。


 この世界にきてすぐはそんな事に頭を回せる余裕はなかった。取り組もうと思っていた案件ではある。そして昨日無心にジャンプを繰り返している時、徐々にその違和感に気付いてしまったのだ。ジャンプと休憩を繰り返し悪かった血の巡りをなんとなく感じていた。

 その血流の中に今まで感じたことのない何かがある事にすぐ気が付いた。一度疑問に思えばもう違和感だらけで、すっごく気持ち悪いものになってしまった。


 そこでその違和感の正体を探ろうとこの世界の知識を紐解いたところ、どうやらこれが魔力だと気が付いたってわけだ。

 で、魔法を使うにはこれが基礎の基礎でここから次へ進んでいかなければならない。魔法により発展した国があり、そこでは全国民に魔力を感じることと、それを体内で自由に操る訓練、そして魔力を体外に放出する訓練までが義務化されており、その国にでそこまでは常識と言っても過言ではない。

 放出までは国民の3割程が到達するが、魔力の変換に至るのはその半分にまで落ち込む。その先にいけるのが魔法使い様ってわけで、就職先には困らなくなるようだ。


 魔法の放出までの知識を学び、実際に放出まで辿り着けば熟練カードに5の記載が出るそうだ。とりあえず俺もそこを目指そうと思う。

 変換に対する知識はあるにはあるがどこかで学ぶべきことだろう。


 自由に動かすねー。


 通常はあぐらをかき瞑想する事から始まる。生身の体なんてないと想像し、魔力の流れだけで形成される自分自身を思い描く。その流れる魔力は通常一定のスピードで巡り動いているので、その魔力を早くするか遅くするか、そこから徐々に自在に操作するところまで極めていくのである。

 ざっくりすぎだな。


 まあいいさ、とりあえず瞑想とやらをしてみるか。

 あぐらをかこうとしたところで俺の世界はスローモーションの様にゆっくりとした世界をうみだした。


 バランスを崩し二度目の背中からの床へのダイブ。その衝撃が筋肉を刺激し、筋肉痛と背中の痛みに呻き、そしてのたうち回ることとなった。

 肉の体憎しである。


 これも罰の一環であろうと自身の不甲斐なさに後悔しながら立ち上がった。壁の近くに移動し、寄りかかりながらあぐらの姿勢まで持っていった。

 よし、さっきのはなかったことにしよう! 瞑想というものは正直良くわからないが、イメージだ、イメージが大切だ。えーっと、お坊さんとかがしてるように目を閉じて無心になればいいだろう。

 無心、無心、無心…。




 どうやら少し寝てしまったようだ。眠気が飛んで頭がスッキリしているな。さて、瞑想というものをしてみるか。たしか、お坊さんとかがしてるように目を閉じて無心になればよかったよな。

 無心、無心、無心…。


 おっと危ない。同じことを繰り返すとこだった。無心になるより魔力だけを感じるようにしてみよう。そうやって魔力とやらを感じ続けること数十分。少しだけわかったことがある。

 元々血流の動きによって魔力を感じ取ったことから予測はしていたが、血管を通して魔力は体内を巡っているようだ。

 脂肪のせいで血管はほとんど見えないが、その動きや流れ方からそうであることは間違いはないと感じ取れる。この世界の住人もこれは理解できているのだろうか? わかっている者もいるだろうが、ほとんどの奴等は理解していないんじゃないだろうか。


 魔力の放出に至るまで、早いもので数日。遅いものだと老衰直前。世間に知れ渡っている範囲だけども、ギフトが魔法関連のものは圧倒的に進歩するようだ。

 俺の脳内には罰4つしか浮かばないから何とも言えないが、センスあるんじゃないだろうか。あとで生えてくるんじゃないだろうか。

 余計なことを考えつつもやはり魔力は血管に合わせて体内を巡っているようで、それを感じるだけなら目を閉じる必要さえなくなってきた。


 血の流れであれば変化させるなんて簡単なことで、呼吸を止めグッと力を込めれば勝手に鼓動がどうにかしてくれる。

 運動したりしても勝手に変わるし、想像力が高ければ息の上がるような事を考えるだけでもいけるだろう。血管を圧迫するだけでもその先の血流は鈍くなるしな。


 だけど魔力はそうでない。心臓の鼓動に合わせて流れているわけでもなく、血管を圧迫してもその流れは一定である。動かすにはイメージだというのだが、それ以外にもなにかありそうでいろいろ考えてしまう。

 うんうん、唸りながら魔力の流れをみていると、あっという間に時間が過ぎてゆく。水を一口とパンを1個。トイレは夜まで我慢しその日は些細な魔力の進展以外何もなく夜ま経過していった。


 筋肉の痛みも緩和したし、明日にはジャンプを再開しよう。明日の予定を立てつつ扉の前に移動し、外に意識を向けていく。

 この世界は違和感の塊なんだろうか。扉を前に思ったのだが、この部屋にいると外の雑踏など一切聞こえてこない。何かしらの気配も一切伝わってこない。

 悩みながらも扉を開くき、外に踏み出すと聞こえてくるかすかな息遣い。人の気配。その気配の中に僅かに感じる魔力の流れ。目を閉じ視界以外からの情報に集中してしまう。


 ハゲでデブでチビでジジイだけど、少しこの世界になじんできているのかもしれない。


 

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