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罪を償えという名の異世界転生  作者: ゆら
第一章
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7 死なない事

 息苦しさに目が覚めた。上体を起こそうとしても体が持ち上がらない! こ、これってまさか、金縛りか!


 そんなこともなくただ肉が邪魔をして起き上がれなかっただけだった。腕に力を込めなんとか横向き、うつ伏せ、そして起き上がるという流れをこなし、なんとか起き上がった。

 息苦しさもあったが、仰向けで寝ていたことによる無呼吸症候群ってやつかもしれない。弊害の多い身体だな。


 寝汗も酷い。シャワーでも浴びたいところだが、あるはずもない。着替えもタオルも何もないんだから我慢するしかない。

 日本でこんな状態になっていたらどうしていただろうか。んー九割方死んでるだろうな。

 あー、こんな考え方はいけない。気持ちを切り替えなきゃと水瓶に近付き水を飲んでいるところでふと気がつく。


「あれ、明るい」


 実際ボロい木造の小屋だろうが、天井や壁に別段隙間があるわけもなく、窓のようなものもない。当たり前だが蛍光灯なんて付いてるわけもないし、ロウソクとかもない。

 光源になるような物自体がないのに室内全てが普通に確認できる。よく見りゃ影が全く出来ていない。この世界の常識でもこのようなことはない。

 考えられるのはリスタート地点だけにおける特殊な現象、と言ったところだろうな。深く考えるだけ無駄だと思う。


 当たり前だけど寝て起きたら夢でしたってことはない。バッチリ四重苦なままなので! 目も覚めたのでこれからの目標を打ち立てよう。

 例え武器を携え表に出ようとも、この容姿では些細な事で何かしらに巻き込まれ酷い目に合うのは安易に想像ができる。なのでまずここで出来ることをしようと思う。

 食料と水はある! トイレは…夜にこっそり外に出るか。こんな環境だ、風呂などは考えるだけ無駄だ。とりあえず一週間、一週間だけダイエットを試みようと思う。

 罰の不摂生の影響で一切痩せないというならそれはそれで別の行動にでれば良い。僅かにでも効果があるならこの先有利とまではいかなくとも、デメリットの解消にはつながるだろう。


 自身の中途半端な知識で不摂生を紐解くのなら、これは太る事を前提にした罰ではない。暴飲暴食や不規則な生活リズム、そういった事を長く続けた一つの結果でしかないはずだ。

 単純に言えば不健康であるだけ。そう考えれば自身の努力で解消できるのでは無いかと、その結論に至るのは当然ではあるまいか。


 俺自身がヒモに至るまで紆余曲折あった。自信を持って努力したって言えるくらい頑張った。ヒモになるための努力だ。自叙伝でも書けば売れんじゃないかってくらいだ!

ヒモなんて法律上裁けるものではないが、ほとんどの人々が悪判定を下すと思う。言葉だけで嫌悪感を顔に浮かべる人も多いだろう。しかし、物語として読めばどうか。最初から耳を塞ぐのではなく、積み重ねられた先入観を捨てて自分だけの目で見て欲しいのだ。これはヒモに関わらず言えることだが、前にならえの精神から人に悪い部分だけを聞き、流されるようにそれが全てだと決めつける。

 そう言った事にとらわれず真っ白な自分で見てもらいたいのだ。って何を一人熱くなってんだか。




 それはさておき熱くなるほどとてつもない努力をしてきた俺にとってダイエットなんて朝飯前である。続けることと諦めないこと、この二点さえ守れば簡単なお仕事だ。努力でどうにかなる事だかんね。

 では早速始めていこうと思う。


 腕立て腹筋スクワット等どこでも出来る事だが、これは2分で断念した。体系的に無理すぎた。ではどうするか、体の可動域を調べるための柔軟運動をしつつ考えていた。

 いくつか思いつく中から2つの候補を絞り込み実践する。


 柔軟だけで汗だくだが、立ったまま全身に力を込めていく。これだけで微弱ではあるが筋力を上げることが出来、しかも脂肪の燃焼もあげられるのだ。気を抜かず継続させれば効果は間違いなくある。

 うん、体感一分ですでに辛いけど十分な結果がだせそうだ。

 そしてもう一つ、部屋は狭く走れないしウロウロ歩くのもすぐ方向転換が必要になり、しかも目が回る可能性も高い事から導き出せたもの、それはジャンプ。

 ジョギングや縄跳びなどの有酸素運動はダイエットに非常に効果的で、それらの効果と同等の効果がでるのがひたすらジャンプ。30分は続けないと効果がないと言われる有酸素運動を、何もない部屋で行うにはこれしかないって程のものである。


 早速実践してみよう。せっかくなのでナワを持っていると想定しながら飛び跳ねてみる。つま先で飛び上がりつま先で着地、着地の衝撃を殺し膝の負担を少しでも減らし長く続けやすくする。


「これは…あかんやつや」


 肉の揺れがヤバイ。床のきしみがヤバイ。想定外だ! わずか数回飛び跳ねただけで不安がよぎる。

 しかしここで諦めてなるものかと、床から1㎝も浮かばないレベルに切り替え、少しでも長くジャンプを続ける!


「し、心臓が…」


 数分後に全身汗でぐっしょりで胸に手をあて倒れこむ俺の姿があった。








「死ぬかと思った」


 本当に死んじゃうかと思った。俺がしなきゃいけないのはダイエットではなくリハビリだな。無理はせず、苦しくなる前に休み休み継続しよう。死んじゃったら意味ない意味ない。無理ダメ絶対!

 そう自分に言い聞かせ、継続を念頭にまったりと飛び跳ねては休み、休んでは飛び跳ねてを繰り返していった。

 かなり軋むが床が抜けるなんてことはなく少し安心する。

 時計が無いので結構長くとしか言いようがないが、その間に床は汗で水たまりが出来るくらい滴ったと思う。板張りの床は多少の隙間があるためか、床下に流れていっているようだ。


 汗を多量にかいたことでトイレに行きたいとはほぼ思わない。長い休憩中にパンを犬歯で削るように1個消費した頃には、日が落ちきっていたようだ。

 ドアの下に僅かな隙間があるんだが、日の光量くらいは確認出来き夜なんだとは理解できた。後暫く運動を続けたら念の為外に出て用を足そうと思う。この小屋の周辺でさっと済ませれば問題無いだろう。

 

 床に新たな汗ジミを作り休憩に入る。呼吸が整うまでじっくり休んだところで扉の前に移動した。

 一度大きく深呼吸したところで意を決し扉を開いた。


 月が出ている。知識に常識として入っていたので特に思うことはないが、日本で見る月よりわずかに大きく感じる。そのせいかどうかは知らないが、想定以上に周囲の状況が確認できた。

 その辺で寝転がってる奴等もいるので、人の気配はそこら中から感じることが出来る。俺は複数人同時進行でヒモなんてしていた関係上、彼女等のマネージメント管理をしっかりしており、なおかつ想定外に外でバッティングしないように神経質なくらい気を張って周辺を確認していた。

 そのおかげか気配にや視線に敏感になり、それでもその様子を周囲に悟らせなくなった。わかる奴が見ればわかるんだろうけどね。


 気配察知することに関しては素人以上では間違いなくある。

 感じる気配は特に俺に向いていないようで、ささっ入り口をくぐり抜けたところで異変に気付く。違和感のままに後ろを振り返れば、入口の外から見ると部屋の中は一切明るくなく、全くの闇であった。

 数秒は固まってしまったが試しにそーっと頭部を部屋の中に入れてみると、普通に明るくまたそーっと外に抜けてみると、部屋は真っ暗になっていた。なんとも不思議に事だが、神がいて魔法がある世界なんだからこれくらいは驚く意味なんて多分無いんだろうな。

 しかし、入り口を境界線に起こるこの現象は俺にとって有利なことであり、今後なんだかの活用方法があるんじゃないかと気持ちを少し盛り上げてくれた。


 まぁそれはそれで後にして、まずはしょんべんしちゃうかな。って、見える範囲で普通に立しょんしてる奴いるし俺もサラッと終わらせよう。

 10歩も歩けば微妙な影には入れたのでそのままそこで用をたすことにした。そおで驚愕の事実が判明することになる。

 これは俺に大きな衝撃を与え、今後に強く影響を与える事となった。





「泣きそうだ…」


 肉に埋もれた俺のスティックは、肉に圧迫されたのだろう。とても小さなドリルスティックになっていた。


「絶対に痩せてやるっ!」


 なんとか小便をすましおれは、誓いを新たに部屋に帰るとたぷんたぷんと全身をゆらしつつ、小さなジャンプを寝るまで繰り返すのだった。

 しっかり休憩しつつだけども。 


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