表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
罪を償えという名の異世界転生  作者: ゆら
第一章
3/14

2 三重苦

 両掌、両膝を床についた俺は気を失いそうになっていた。強く眼を閉じ、そのままの姿勢で少しずつ自身の意識を保つことに全力をおいた。

 認めたくない状況を認めるために数分その姿勢で過ごしたが、意を決して立ち上がり、姿見の、鏡に映る俺自身を再度確認する。


 「あぁ…」


 自然と漏れる俺の声は、誰もいないこの狭い空間に小さく響いた。


 「くそっ!なんで俺がこんな目に合わなきゃいけないんだ!」


 怒りからもれる声は現状の得も言えぬこの状況に対する小さな反発だ。元々俺は、誰が見てもいい男といえる容姿ではなかったが、普通より上であることに対しては自他共認められていた。

 背も平均身長の172cmより大きい177cmもあり、毎日忙しなく動き続けていた事と軽度な筋トレによりやや細身の筋肉質であった。脚はモデルをするほどでは無いが少し長めでもあった。

 

 しかし、鏡に映る俺は誰が見てもデブである。デブなだけでも衝撃的なのに死に際の年齢を大きく超えるどう見ても50代。俺って老けるとこんな感じなんだなぁ、なんて感想もわきやしない。

 純粋に老けて太っている。脳内に浮かんで見える罰には、【老化+25】【不摂生】の2つ。俺の罪状からすれば妥当なのかもしれないが、全く納得は出来ない。


※罪状

女を騙し、詐称し、汚し、傷つけた

この件に関し神の独断で罰を与える


※刑罰

別世界での理不尽な生活


※追加刑罰

【老化+25】【不摂生】



 大きく見れば間違いはない。しかしあまりにも一方的やしないだろうか。警察では取り締まる事なんて出来ないようなことしか俺はしていない。民事不介入だ。

 道徳面でと言われようとも完全武装で戦えるレベルだ。見る人が見れば、俺に生きる価値等ないと言われるとしてもだ!こんなの納得は出来ない。かと言って大声あげてここで神を糾弾しようともどうにもならないことは分かっている。分かっているんだ。


 この状況でまじめに働き生き生き延びる事が償いになるとするなら、俺は絶対に受け入れることは出来ない。脳内にあるこの世界の情報は俺に真面目に働くことも出来ない環境だと理解させてくれる。

 その情報を踏まえたうえでこの世界で生きるというなら、犯罪でもなんでもして金を稼がなければ生きていけないだろう。真面目に働ける環境下にさえ俺はいないらしいからだ。

 

 神が何をおもい、俺をこの状況下に追いやったのか、本音としては知らない、だが罪を償わせるということに関しては思い通りになってやる気はさらさら無い。逆らってやる。


 すぐ近くにある炊事場に近寄り、周囲を確認してみると刃渡り8cm程の少し錆びたナイフが置いてあるのを見つけることが出来た。

 俺はそれを掴むと刃が俺に向くように両手でしっかり掴み、自信の首に向かって勢い良く振り切った。


「クソッタレの神め、さよならだ!」


 強い痛みと苦しみ、俺は崩れ落ちもがきながら意識を手放した。















 俺は姿見の前で力なく崩れ落ちた。何の事はない、俺は生き返ってしまったのだ。死ぬ前の俺より更に酷い状態でである。


 さっき見た姿見の姿を思い出す。50代くらいの老けた俺。醜く太った俺。そしてかなりハゲ散らかした俺。脳内に映る罰に追加された項目に【ハゲ(汚)】と浮かび上がっていた。

 俺が確認できていなかっただけで神からの情報にある文章を確認できた。


※死ぬ事は逃げる事、自死他死事故死、どのような死にもデメリットを加え時を遡り蘇る

※時の戻りは曖昧であるが、利用したければするがよい


 おいおい、これは酷すぎやしないか?まさか病死や寿命以外じゃ死ねない?全てとある事からそれさえも怪しいところだ。

 デメリットって死ねば死ぬほど俺の状態は悪くなり、どんどん生きづらくなっていくということじゃないのか?

 無気力に衰弱死や餓死なんかも自死に含まれるんだろう。この世界には盗賊や魔物がおり、元いた世界より圧倒的に死にやすいと言うことが知識にはある。しかも俺の現在の所在地はスラムにあるボロい一軒家。リスタート地点と言うことでこの中に俺の許可した奴以外が入れないのは唯一の救いだと思った。


 姿見の前に再度立ち上がり状態を再確認してみる。が、これは酷い。いままで意識していなかったが着ている服はこの世界文化にあわせ、しかもスラム住人に似合うボロボロの衣服。汚れも匂いもえげつない。醜く太った体のおっさんの頭髪は全体的に毟り取られたようなハゲ方で、残った髪も白髪交じりで中途半端に長い。

 

「ないわ~」


 自然と漏れた俺の一言。この状態から生き抜く算段を立て、実際に生きていかねばならない。これはかなり厳しい展開が予想される。状況確認をし、生き抜く算段をたてなくちゃならないな。

 腐っていてもどうにもならない。与えられた知識、家屋内にある物品の確認、俺自身がどの程度動けるか。この辺を理解することからどうにかしていこう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ