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罪を償えという名の異世界転生  作者: ゆら
第一章
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12 熟練技術カード

 熟練カードの登録説明がはじまる。通常は指先等に切り傷をつけ、暫く押し当てていればカードが血液と魔力を吸収し発光が始まる。発光が収まるまでそのままでいると完了となり、熟練技術が表示される。

 その後カードに血で名前を書き込めば、自分だけの熟練カードとなる。

 血を垂らすだけでは正確な数値が出ないので、必ず傷口を押し付けなければならない。なぜそうなのか理解している者は多くないようだ。

 血液と魔力は全くの別物で混ざり合ってない。ってそれくらい気付けそうだが、教養レベルが全体的に低いので、どうしても理解できない人が多くなってしまうらしい。

 しかし今回は仮登録なので、名前は書き込まない。名前まで書き込むとそのカードに再度登録することが出来なくなるそうだ。


 説明も終わり早速仮登録となる。

 お前先やれよ。いやいやお前からやれよ。みたいなノリはなく、三人揃って指先を傷つけカードに押し当てた。

 押し当て始めるとすぐにカードが発光し始める。


「おお!」


 思わず声を出したのは俺だけと。両世界の知識があっても現物を見るのは初めてなのだからしょうがないと自身に言い聞かし、その発光をしばらく見続けた。

 他の2人は三十秒もしないうちに光は収まっていくが俺のカードはまだ発光の維持が続いている。


「光が収まるまで離すんじゃないぞ。表示される技術の数が多ければその分長く光り続けるからな」


 そういう事か。俺には色々と表示されるものが多いと、言わば出来る人間って事でいいだろう。既に光が収まり登録が終わった二人に、俺は得意げな表情を向けた。

 ホッとした顔していたカールは俺の顔を見て笑った。そして後ろを振り返り肩を震わせている。

 同じくホッとしているリオネルは俺の顔を見て嫌そうに顔を歪めた。

 

 これと言った感情はわかないが、この二人の性格が少し見えるなぁと、そんな感想を脳内で浮かべながらまだ続くカードの発光が収まるのを待っていた。




 しかし困った。三十分たとうと一時間たとうと光が弱まる気配を見せない。ジョージは最初のうちこそたまにある事だと、俺を軽く褒めつつも軽い雑談をしていたのだが、終わりの見えな発光に段々畏怖の目を向け始めている。

 カールとリオネルはなんかもー諦めの顔で二人でコソコソ話し合っていた。


「なんか、すまない」


 俺の申し訳無さそうな謝罪にジョージだけが反応をしめし、時間が押しているが仕方ないことだと、畏怖の目はやめずに俺に語りかけてくれた。


 なぜこんなに長く発光しているのか予想は付いている。だからと言ってそれを話そうとは思わない。日本で培ってき来たものやその常識、そこにこの世界の誰でも知っている常識。各都市事の三割が知っていればと言う知識。

 都市によっては一般的でない知識も多く知っていしまっている。熟練技術の表示規定は知識も含まれるんだから、特定の専門分野じゃなけれはそこらの一般人より造詣は深いといえる。

 それがカードに記載される五と言う表示レベルにまで達してしまっているのだろう。

 俺にとっては当たり前にしか感じない知識なんだがなぁ。罰というデメリットを打ち消すものであればいいのだが、実際そんなことはないかもしれない。


 まだ暫く色々考えていたがったが、ふいに光が弱まるのがわかり、視線を手元のカードに移した。


「やっと終わりか。見た目からは想像がつかないがここに来るようなやつではないんだろうな、本当は」


 ジョージの言葉に何も返さず、光を失ったカードをしげしげと見つめてみた。仮登録だとしても身分証明になるものだ。どんな表記がされるかは常識として分かってはいたが、仮登録だとどうなるかは知らないので確認してみる。



〈ネーム〉 :未登録

〈種族〉  :人族

〈性別〉  :男性

〈年齢〉  :28

〈所属国〉 :イガルダ王国

〈所属地域〉:イガルダ王都第五地区

〈職業〉  :飼育者(仮)

〈ランク〉 :未登録

〈賞罰〉  :未登録

 

 おっと、実年齢で記載されているとか、かなり弄られ要素じゃないか?

 表面の表示はいくつか未登録だが以外と表記箇所は多い。職業はなりたてだからなのか仮扱いか。仮登録でもそれなりに表記されるわけなんだな。

 考察もそこそこに裏面の確認をしないとな。裏面にこそ熟練技術の記載があるんだからな。


 あれだけの長く光っていたんだから、さぞ沢山表記されていることだろう。

 と、裏面を見てみるとそこは真っ黒に変化していて確認の仕様がなかった。どういうことだろうと悩んでいると。


「おいおいまじかよ………」


 困惑の表情を浮かべたジョージが俺のカードの表面を確認しワナワナ震え始めている。ん? なんか変わったことでもあったか?

 と、俺も困惑の表情を浮かべてみたが。分かっている。


「ちょ、お前、その容姿で俺より年下とかありえないだろう…」


 からの爆笑である。お腹が痛いらしく腹をかかえて涙まで流している。分かってはいるが腑に落ちない。罰と言うのは当たり前にスピリチュアルアタックを仕掛けてくるようだ。

 ジョージは床に転げ落ち全身で床掃除を始めるほど笑い転げている。

 ここでは差別はないとか笑うなとか言ってたジョージはもう死んでしまったらしい。このジョージは笑うんだな。


 カールとリオネルは文字がまともに読めないが、記載されてる内容は説明を受けて理解している。数字は流石に理解できていたようではある。俺は笑い転げるジョージを訝しげにみているカールとリオネルにあえてカードの表面を見せてみた。




 カールは何かを堪らえようとしているが無駄だったようで、長机に頭をのせた状態で静かに痙攣を始めた。

 リオネルは俺を恐怖の対象にしてしまったのか視線を合わさないようにされた上で小刻みに震えている。視線はそらされても怯えた表情はよくわかる。恐怖心なんだろう、かなり顔を青くしていた。




 取り敢えず皆が落ち着くまで俺は真っ黒なカードの裏面を眺めて時間を潰しているしかなかった。

 カードのように真っ黒なものが俺の中にくすぶっているのを感じながら。


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