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罪を償えという名の異世界転生  作者: ゆら
第一章
12/14

11 準備段階

 こいつは参った。

 入り口から見える中の状況に俺は声を出すなって言われてなければ叫んでたかもしれない。


 信じられない光景が目の前に広がっていた。一緒に働く事になったメンバーも大体同じく驚愕の表情を浮かべ固まっている。

 俺達の様子を見ていたオーベルが兵士に指示を出し、再び扉が閉じられていった。閉じられてなお微動だにしない俺達に対し、オーベルが口を開く。


「まぁ、いつも通りの反応だな」


 家畜と聞いて普通どんな生物を想像をするだろう。牛、鳥、羊等ありがちなのを想像していたのにこれはちょっと想像していなかった。出来るかよ!


「思う所はあるだろうが気にするな。家畜だ。高級食材として上の連中に提供されるモノだ」

「これが、か、家畜…」


 思わずつぶやいちまった。あれを家畜、しかも食材か。それを想像したらこみ上げてくるものがある。


「必ず守る項目に家畜の前で話をするなといったが、あの家畜どもは知能がある。話していると言葉を覚えやがるのさ。見た目も相まって会話が成立しちまうと情が湧いちまうだろ。それはまずいわけだ」


 そりゃそうだろ。どう見ても人間のガキにしか見えなかった。多少違和感があったが、あれを食材だと?


「お前達、勘違いしているようだが、あれは人間じゃねぇぞ。見た目は人に似ているが獣だ」


 獣? どう見ても人間…。同じことを感じたのか【風】のギフト持ちが小声でつぶやいていた。


「…子供じゃないか」

「契約前に教えなかったのはこの為だ。ありゃな、獣人族の一種で成長過程でどんどん獣の容姿になっていくんだよ。だが、一般的な獣人ほどではないが知能が高くなる。その関係で人間の前にはめったに出てくることはなく、知らないヤツのほうが多いのさ。成獣になっちまった後で発見されても普通の獣として認識される。だがよ、俺達の主様はそれを生きたまま捕まえて繁殖させたのさ。その結果がさっきの部屋だ」


 多少納得がいくけど幼体に関してはまるっきり人間じゃないか。成長後とか成長途中を見てないと、子供の世話と変わんないじゃないか。しかも食うための世話とか。


「ちなみにあれは成長すりゃ豚とほとんど同じ容姿になるぜ。お前みたいにな」


 オーベルがにやにやしながら俺を見てきやがる。ムカつくんだが表情には出さずにおく。そのままシカトを決め込んでいるとオーベルはつまらなそうに話を続けだした。


「お前達が成体を見る可能性は低い。お前達が関わるのはほぼこの幼体となる。成体がどの種になるかによってはここよりも最初は嫌悪感があるかもな」


 その後は俺達の寝泊まりする部屋の割り振りがおこなわれ、リーダーからの呼び出しが来るまで部屋で待機となった。

 5人全員が同室とはならずギフト持ちの2人と俺は四人部屋へと入れられている。ベッドが4台あり簡素な仕切りがされている。ベッドの側に大きめの収納棚と小さめの棚が設置してあり、小さい棚の上には固定式のランプが設置され、その横に木製の水差しが置いてあった。

 会話もなくそれぞれ空いているベットを陣取る。一箇所だけ既に荷物が置いてあることから俺達の先輩が使っているのだろう。

 ベッドに腰掛けるとありえない音がした。ミシミシではなくメリメリって感じだ。安物はダメだなと仕方なく立ち上がり、手荷物を片してゆく。

 ナイフだけは念の為隠し持っておくか。そういやあからさまに目に付くナタを取り上げられることもなかったなと、物思いにふけっているとドアが開き一人の中年が入ってきた。


「よし、お前達俺に着いてくるんだ」


 挨拶もなくいきなりの指示だが従わないわけにもいかず、それぞれ中年のもとに集まる。俺を見た中年は一瞬身構え、まじまじとこちらを観察した後肩の力を抜いたようだ。


「ふぅ、まあいい、こっちだ」


 何がまあいいのか分かんないけどさっさと動き出した中年に着いていくと、最初に話した食堂へと入っていった。

 最初に中年が長机の一角に腰掛けると、促されるまま俺達も席に着く。椅子の強度に不安を隠せないが今は耐えてくれと、心の中で椅子にエールを送っておく。


「俺はお前達の指導員でありリーダーであるジョージだ。今後俺の指示に従ってもらう。そうだな、まずは自己紹介をしてもらおうか」


 まずはお前と指定された青年が座ったまま自己紹介を始めた。


「えーっと、僕はカールと言います。特にこれっといった事は出来ませんがよろしくお願いします」


 カールっていうのか。【風】のギフト持ちで緊張でおどおどしていたやつだな。


「俺、リオネル。これから、よろしく」


 どこか片言っぽい話し方で【生命維持】のギフト持ちがリオネルか。言葉遣いに注意が入りそうだが、次は俺だな。


「ユージと言います。こんな体型で申し訳ありません」


 カールとリオネルはすぐさま俺から視線をそらし、肩を震わせ始めやがった。さっきの出来事を思い出しているんだろうか。失礼な奴等だ。

 そのてんジョージは訝しげに俺を見ながら笑うことはせず、落ち着くように促してきた。


「落ち着いたか。何があったかは知らねーが、ここでは人を笑うことはするな。お前達がスラム出身者だとも聞いているが、ここでは人をさげずむ行為は禁止だ。仕事上の上下はあるが、人としての上下はない」


 ジョージ、いいやつじゃないか。この世界の常識では、貧富の差程度でかなりの差別があり、それを止める者の方が少ない。

 特にスラムにいる者の風当たりは強く、まともな人間扱いはほぼされない。


「俺もスラムの出だ。しかしここでは関係無い。それとだ、最初はなれないだろうが言葉遣いには気をつけろ。俺ならまだ分かっちゃいるが、視察に来る方々には通じない。特にリオネル、空いた時間に俺が教えてやるから直せ。カールとユージは大丈夫そうだが不安なら聞け。しかし、スラムから来たわりに珍しいな」


 やはりリオネルは注意されたか。しかしカールはなんでそれなりの言葉遣いか出来るんだ? 当然俺は日本出身だしな。使えて当たり前だ。どこまで通じるかは知らないけど。


「それより、まずは熟練カードの登録をしてもらう。スラムじゃ馴染みながなかったかもしれないが、ここでは重要なものになる。軽く説明は受けているかもしれないが、そこに現れるお前達の技術は給金の査定に影響するからな」


 そう言うと腰に下げていた荷物入れから三枚のカードを取り出し、俺達の前に一枚ずつ並べていった。

銀色のプレートに黒い枠、カードタイプで枠の上両サイドから革紐が伸びており首にぶら下げられる様になっていた。

 結構かっこいいな。


「今から仮登録してもらう。あくまでも貸し出しであって正式にお前達のものになるわけじゃないからな。だから大事に扱えよ」


 



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