ソウル・ダイビング
落ちていく。ただひたすらに落ちていく。吸い寄せられるように落ちていく。
光の世界で怠惰に過ごしている私に対して、お偉いさんはそろそろ行けと言ってきた。もう少し怠けたかったのに、レベルアップなんて望んでいないのに、私はただ永遠の怠惰を満喫したいだけなのに。
しかし、それは叶わないことらしい。レベルがカンストするまでは頑張らなければならないということが魂の使命らしい。永遠の怠惰を満喫できるのはそのあとだそうだ。
私は地球という星の、西暦でいえば2000年の1月1日を選んだ。日本という豊かで創作意欲に富んだ場所を選んだ。特に苦労をしなくても一生遊んで暮らせるだけの富を蓄えている両親を持つ人物を選んだ。容姿が良く、優しく、頭脳明晰、才色兼備の女性という立場を選んだ。
私はこの時代に遊びに来たのだ。怠惰でいたいくせに退屈を嫌う、わがままなヤツ。それが私だ。
まもなく、この意識はリセットされる。そして、平成の日本の金持ちのパーフェクトステータスの女という人生を過ごすことになる。おおいに期待しようじゃないか。この意識を次に取り戻すのはこの人生が終わったときということになる。そのときに今回の人生において、どれだけレベルアップすることができたのか楽しみだ。集計のときがいちばんワクワクする。
病院が見える。
そろそろ母親の腹の中に入るようだ。薄らいでいく。意識が微かになっていく。
最高の人生が今、始まろうとしt、、、、、。