〜決戦の刻〜
イリア「お兄ちゃん、早くぶっ殺しちゃおうよ!」
アグリア「あ、あぁ、そうだな!」
いずみとナツの能力覚醒に、二人は明らかに焦っていた。そこにつけこんだのか、ナツといずみが仕掛けた。
ナツ「.............えいっ」
イリア「?」
ナツがイリアの眼前に指を出す。キョトンとするイリアの一瞬の隙をつき、イリアの両目玉に触れた。
イリア「ちょ、何して!........えっ?」
イリアが何も喋らなくなる。それもその筈、イリアの両目玉の視覚は奪われていた。そう、これが覚醒したナツの能力である。
ナツ「ナツの能力は、触れた相手の五感のうち一つを奪う能力、「ロストダウン」!」
アグリア「てめぇこの野郎!」
アグリアが何度もいずみにパンチを打ち込もうとするが、いずみはまるでどこから攻撃が来るのか分かっている様に正確に、攻撃を躱した。
いずみ「アンタの攻撃の軌道は全てお見通し!これが私の能力、「パラサイトシーイング」!」
イリア「どこだくそガキ!」
イリアは必死に亜空間で飲み込もうとするが目が見えないためナツが何処に居るのかさっぱり分からない。ナツが後ろで笑いを必死に堪える。そして....
ナツ「奥義「千年殺し」!」
鈍い音を立てナツの指がイリアの尻の穴に刺さった。イリアはあまりの痛みに悶え、亜空間で暴走しだした。
イリア「ぎゃああああああああぁぁぁ!!!」
亜空間状態で暴走するイリアは、徐々にアグリアの方へと近づいていった。
アグリア「バカ、イリア来るなああああああああぁぁぁ!!」
アグリアを飲み込み、イリア自身も裂溝の中へと転落していった。この深さだ、無事では済まない。
ナツ「やったね!」
いずみ「ま、こんなもんでしょ!」
二人は大笑いしながら家の中に戻っていった。その後、キキ、麗子、まどかが帰宅。その日あった事を二人は全て話した。
まどか「と、なると......そのプロミネンスっていう会社が元凶なのね。」
麗子「そうね....けど、目的がわからないわ。」
ナツ「いたずらにスラム街の人間を傷つける為だったとしたら?」
キキ「でも私達以外、スラム街の人間は誰もプロミネンスの被害を受けてないわ。」
いずみ「とにかく、プロミネンスに行かないと分からないわ。ここで話してても、埒が明かないし。」
五人は手を重ね、結束を固めた。
まどか「行くよ、みんな!」
四人「おう!」
〜プロミネンス本部〜
イアリ「............森岡様?」
森岡「............どうした?」
イアリ「お食事........お口に合いませんでしょうか?」
心配そうにイアリが森岡の顔をのぞき込む。森岡は何でも無かったかの様に再び食事を摂り始めた。
森岡(何だ......この胸騒ぎは.......)
すると突然、警報装置が作動した、侵入者である。
龍座「アニキ、侵入者だ、数は五人!どんどん突破してきてやがる!」
森岡「胸騒ぎの原因......これだったか。」
森岡は立ち上がり、上着をはおった。
森岡「歓迎しよう.......スラムの人間共!」
〜プロミネンス1階、会議室〜
まどか「ここは会議室か..........」
辺りを見回す。最新の機器が搭載された、近代的な会議室だった。あまりの凄さに、五人はしばらく見とれていた。すると...
森岡「ようこそ、プロミネンスへ。」
まどか「...............あなたは?」
森岡「申し遅れました。私はプロミネンスの代表取締役社長、森岡一成と申します。」
森岡の丁寧すぎる態度に、五人は踏み込むことが出来ない。仕掛けようとすると恐らく端にいるイアリと龍座に阻まれるだろう。
森岡「遠方スラムからわざわざご足労頂いて、誠にありがとうございます。本日はどう言ったご用件で?」
いずみ「言わなくても分かるはずよ.....」
森岡「.............確かに、分かっている。だから貴様らには、ここで死んでもらう!」
まどか達は一気に戦闘体制に入った。龍座とイアリも森岡を庇うように立ち塞がり構える。
まどか「キキといずみはイアリの方を、ナツと麗子さんは龍座をお願い......私は.......」
まどかは森岡を睨んだ。それに答えるように森岡もまどかを睨む。
まどか「私達の幸せな日常......壊させはしない!」
森岡「来るがいい、俺の信念の拳は、誰にも砕くことは出来ん!」
〜続く〜