表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/67

サイモンの決意

 サイモンは、時間の経過をイライラしながら待っていた。すると、スラッとした美人の女性がやって来た。

「サイモンさん、この方は誰なの。あなた恋人はいないって言っていたでしょ。すみにおけないわね」、里子がじろりとその女性を見ながら言った。

「えっ、ああこれは女性型のロボットですよ。誤解しないでください。食堂でウェイトレスをしているロボットと同じだが、少し改良してあるんだ。名前はレイリーと名付けた」

「そうなの、本当の人間にそっくりなのね?」、とやや疑わしそうに言った。

サイモンは、なんとなく照れ臭そうに笑った。

「まあ、そんなことはどうでもいいでしょう」、サイモンはそう答えると、今度は真面目な顔をして、そのレイリーに顔を向けた。

「さあ、どんな状況になっている。教えてくれ」

「桃太郎のグループは、犬や猿それに熊などの混成部隊です。既にディアボロスは、破壊されました。またネビロン人の中にも大勢の同調者が出ているようです」レイリーは、優しい表情のまま喋った。

「犬や猿だって、それを統率しているのか!それにネビロン人も同調している者がいるとはどういう事だ」

「ゾーン閣下のやり方に不満を感じているようです」

「閣下に対する不満か。私も時々不安に感じる事もあるが----。それにしても桃太郎とは、ネビロン人までも変えさせてしまうほど魅力的なのか? 私もちょっと会って見たいもんだな。それで、彦一はどうしてるんだ?」

「彦一は、他の捕虜と行動を共にしていました。しかし、ゾーンからの命令により捕虜を特殊実験室に閉じ込めました。皆から裏切者と攻められています」

「どうして、お父さんが」、仁美は絶叫し、妻の里子は心配顔になった。

「それは、ゾーン閣下が彦一に命令したからです。命令に従わなければ家族を殺すと言っています」

「まあ、私達を殺すって事なの。なんて悪どいのよ」、里子は怒りを込めてそう言った。

「サイモンさん、どういう事なの?」、今度は仁美が聞いてきた。

「うーん、そんな事は聞いていない」サイモンは困惑した。

「正直に言いなさいよ。私達をどうするつもりなの」と、仁美が問い詰めてくる。

「もしそれが本当なら----」

「本当ならなんなのよ?」仁美は目を吊り上げて睨んだ。

「まあ、落ち着いてくれ。私は殺さないし、殺させもしない。それだけは信じてくれ」

 サイモンは、真剣な目で仁美の強い視線を受け止めた。

 暫くその状態が続いたが、やがて仁美の目が穏やかになり、呟いた。

「分かったは、あなたの言葉を信じてあげるわ」

「ふ、良かった」

「サイモンさん、安心している場合じゃあないわよ。お父さんを救わなければ」

「そ、そうだな」

「本当にそう思っているの。それはゾーン閣下を裏切る事になるのよ」、里子が冷静に聞いてきた。

「はい、分かっています。ゾーン閣下のやり方では、恨みを買う。そんな事で理想世界が出来る分けがないだろう。閣下はどこか狂い始めているようだ」

「それで良いのね」

 サイモンは、二人を見つめて、しっかりと頷いた。

「よし、じゃあここを出よう」

「出ようと言っても、ドアの前には屈強な兵士が二人居るのを忘れたの?」仁美が、皮肉っぽく言う。

「大丈夫だよ。私には強い味方がいるからな」と言いながら視線をレイリーの方へ向けた。

「サイモン様、何かご用ですか?」

「ドアの前の二人を優しく眠らせてくれ」

「優しくですね。お安いご用ですわ」と言いながら、愛らしい笑顔を見せた。

すると、レイリーはすぐにドアを開けて出ていった。

「何だ、何か用か?」一人の兵士が言った。

 レイリーは、にこやかに笑顔を振りまきながら、その兵士の前に立ち、目を見つめた。

「兵士さま、お疲れのようね。少しお休みになったらいかがかしら」

 そう言うが早いか、レイリーの手は素早く相手のこめかみを人差し指で突いていた。

 すると、兵士は力が抜けたようにその場に倒れかけたが、レイリーが体を支え、床に丁寧に横たえてやった。

 もう一人の兵士が、それに驚きレーザー銃を屈んでいるレイリーに向かって放った。

 レイリーは、倒れるでもなく、そのままの姿勢を崩さなかった。

 ややあってから、レイリーは立ち上がり、くるりと振り向いて、もう一人の兵士に笑顔を向けた。

 不死身のレイリーを見て、兵士は凍りついた。

「あら、どうしてそんなに硬くなっているの。それでは私が楽にさせてあげるわね」

 こうして、もう一人の兵士も眠らされ、丁寧に横たえられた。

「ゆっくり寝ましょうね。良い夢を見るのよ」寝顔を見ながら優しく囁いた。

 二人の兵士は、楽しい夢を見ているのか、顔がにんまりとしていた。

「ふふ、どうやら首尾よくいったようだな」

 レイリーの後ろにサイモンが立っていた。

「さて、レイリー。彦一の奥さんと娘を特殊実験室まで連れて行ってくれ」

「あら、サイモン様は一緒に来ないんですか?」

「ああそうだ。他にやることがある。あとは頼んだぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ