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捕虜収容所前での死闘

 ユリカと猿のグループは、捕虜収容所の入り口付近まで来ていた。ここまで来ると、ネビロン人の反撃もかなり激しくなってきた。

 大勢のの兵士がレーザー銃を向けてきた。

 それを見たユリカは、皆の先頭に立ち身構えた。次の瞬間レーザー銃が一斉に照射された。すると、ユリカの前で激しく光が溢れ、何も見えなくなった。レーザー銃でやられてしまったのだろうか。

 だが、ユリカは何事も無かったかのようにそこに立っていた。ユリカの腕時計に仕込んである電磁バリアが皆を守ったのである。

 すると間隙を縫って、サスケを先頭に数匹の猿が飛び出し、引っ掻き攻撃に出た。更に飛雄が体当たり攻撃を繰り返し、次々に兵士たちを気絶させていったのである。

 こうして、ついに捕虜収容所の入り口までたどり着いた。

 だが、そこは頑丈なドアで守られていた。複雑なパスワードを入力するか、磁気カードを通さなければならなかった。

 そこで飛雄が翼を変形させて磁気カードの溝へ入れた。そして飛雄の電子頭脳を使って磁気カードに変形させた部分に、それらしい様々なデータを入れながら確認していった。うまくヒットすればドアが開くはずである。

「さあ、飛雄急いで、また何が来るか分からないわ」

 だが、中々的確なデータを探し出すことが出来なかった。時間がかかればそれだけ危険が高まる事になる。

 そんな風にして手こずっていると、近くで守っていた猿たちが急に騒ぎ出した。見ると飛雄と同じような機能を持った鷹の形をしたロボット、ファルコンが攻撃を仕掛けてきたのである。

 ファルコンは次々に猿を跳ね飛ばし、ユリカの所まで飛んできた。

 ユリカは急いで電磁バリアを張った。そこへファルコンが激しく突っ込んできたのである。ユリカは言った。

「このファルコンの力はすごいわ。この電磁バリアでは長くもたせることは出来そうにないわ。飛雄急ぐのよ」

 ユリカは頑張っていたが、ついに電磁バリアが突破され、ユリカも吹き飛ばされた。その際、床に体を強く打ってしまい気絶する。

 それを見て、飛雄はドアを開けるのを中断して、ファルコンに立ち向かっていった。

 壮絶な空中戦が展開された。お互いに目からレーザー光線を照射したり、体当たり攻撃を行った。

 ただしレーザーは連続して使うことができない。2,3回使用すると数分間チャージが必要であった。

 スピードは飛雄の方があったが、パワーはファルコンの方に少し分があった。それでも、ほぼ互角に戦いが続けられたが、ファルコンは急に攻撃目標を、床に倒れているユリカに切り替えた。

 それを見た飛雄は、ユリカの前に飛んで行き、羽を広げて立ちはだかった。その瞬間、飛雄は跳ね飛ばされ、羽を著しく傷つけてしまい、床に転がった。

 更にファルコンが、もう一度体制を整えてユリカに攻撃をしようとした時、今度は熊のダイモンがユリカの前に立った。

 ダイモンは、ファルコンの体当たり攻撃に強い衝撃を受けたが何とか持ちこたえた。立て続けにファルコンは何度も体当たり攻撃を仕掛けてきた。ダイモンは限界線を越えても尚も立ち続けた。

 それを見て、猿たちも何とかファルコンを捕らえようと必死に飛びか掛っていった。その内の一匹が何とかファルコンを押さえ込むと、何匹かの猿が、その上に覆いかぶさっていった。

 だが、ファルコンはそれらの猿を全て跳ね飛ばし、再びダイモンに向かっていった。そして、ダイモンに突き当たろうとしたその瞬間、激しい閃光が煌き、ファルコンは床に転がり動かなくなった。

 なんとダイモンは傷ついた飛雄を抱いていて、ファルコンが突き当たる直前に、飛雄の目からレーザー光線が放たれたのだった。

 倒れていたユリカが漸く覚醒する。

「ダイモン、サスケ、飛雄、皆大丈夫なの」と、ユリカは床に座り込んだまま叫んだ。

「私は羽をやられてしまった。これではユリカを守れない」と飛雄が答えた。

「飛雄、後で直してあげるから大丈夫よ」とユリカが言った。

 そのとき、ダイモンは飛雄を床にそっと置いた。その直後、苦痛に耐えかねてその場に倒れこんだ。何度と無く繰り返されたファルコンの攻撃にダイモンの頑丈な体も悲鳴をあげていたのだ。

 その様子を見て、ユリカがダイモンの側へ駆け寄り、心配そうに顔を覗きこむ。

「ユリカ、俺は人間が嫌いだ。だが桃太郎の言葉を信じて戦った。桃太郎に伝えてくれ、お前が人間を変えるんだと」、そう言ってダイモンは目をつむり動かなくなった。

「ダイモン死んじゃだめよ。ダイモン、ダイモン・・・・・」ユリカは、目に涙をいっぱい浮かべダイモンを撫でながら言った。床はユリカの涙で濡れた。そして、その場にユリカも動けなくなってしまったのである。

「ユリカ、我々にはまだやるべき事が残っている。元気を出せ。ダイモンの死を無駄にしてはならない」、猿のボス、サスケが言った。

「でも、飛雄まで動けなくなってしまったわ。どうやってこのドアを開ければ良いの」

「希望を捨てるな、何か手はあるはずだ」

「でも・・・」、ユリカは混乱していた。

 その時である、遠くから犬の吠える声がしてきた。それは空気孔Aから侵入した犬のグループである。飛雄二号も一緒に飛んできていた。

 飛雄二号はユリカの傍にひらりと着地し「ユリカ、大丈夫か」と聞いた。

「ああ、飛雄二号ね」、ユリカは涙を拭い、もう一度戦う決意をしなければならないと自分に言い聞かせ、涙を拭った。

「よし、やるわよ。ダイモンの死を無駄にはしないわ。桃太郎だって何処かで戦っているはずだから!」

「そうだ、その意気込みだ」、サスケはホッとした。

「さあ、飛雄、あのドアを開けるのよ。正しいデータを見つけ出して」

飛雄二号は、羽を変形させて磁気カードの溝に差し込んだ。

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