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未確認飛行物体

 その頃地球上では世界各地で未確認飛行物体の目撃が相次いでいた。

 フランスのパリではエッフェル塔越しに見えるUFOの写真が報道された。ロンドンでもニューヨークでも、北京でも写真でとらえたり、ビデオ撮影されたものもあった。

 日本でも東京や大阪などの大都市を中心としてUFOの目撃者が続出した。テレビのワイドショーでは連日のように、この話題が取り上げられた。

 ある日のワイドショーではUFOの撮影に成功した者がゲストとして呼ばれていた。

 女性キャスターは、出演者の顔ぶれを見て『今日は荒れそうだな!』と、直感した。

 だが、さすがにプロである。そのような事は、おくびにも出さず微笑みながら喋りだした。

「最近、世界各地で目撃されているUFOがついに日本にも現れたようです。それで今日は、UFOの撮影に成功された波多野さんに来ていただいております。波多野さん、それはいつ、どのように撮影されたのですか?」

 そこに、小柄で白髪混じりの男が緊張した面持ちで立っていた。

「いやー、本当に驚きました。私はその日、たまたま親戚の子供たちを連れて、東京スカイツリーの見物に行っていて、みんなの記念写真を撮っていたんです。そうしたら、そこに来ていた見物人の何人かが大きな声で“UFOだ”と叫んだんです。場内は騒然となりましたよ。私もまさかと思ったんですが、とりあえず外に目を向けたんです。いやー、あったんですよ。ビックリしましたね。それで慌ててカメラで撮ったんです。本当にラッキーでした」と少し興奮気味に言った。

キャスターは

「これが、波多野さんの撮った写真を拡大したものです。それで波多野さん、UFOはどのような動きをしていましたか?」

「そうですね、暫くはその位置にずっと静止していました。その後ピストンのように上昇と下降を繰り返しました。そして次に左側に長い距離を移動した後、忽然と消えてしまったんです」。

 もう一人ゲストで来ていた自称UFO研究家の玉井は

「ああ、これはUFOに間違いありませんね。世界各地で目撃されているものと形がとてもよく似ています。どうも地球を調査しているような感じがしますね」。

 それを聞いていたコメンテーター常木が

「玉井さん。そんな人心を惑わすような言葉は言わんほうが良いですよ。あんた責任を持てますか。第一、その写真だって大分ぶれているじゃあないですか」

「いやいや、そう言うけれど世界各地で同じような写真があるんですよ!」

「今までだって玉井さんは本当だ、本当だ、なんて言っていたけれど、本当だった事はほとんど無かったでしょう」

「なにを言っているんだ。侮辱するのもいい加減にしなさい」

「侮辱なんてしていない。真実を言っているだけだ」

ほっておいたら、掴み合いの喧嘩もしかねない勢いである。

「まあまあ、そんなに熱くならず、冷静になりましょう!」、と女性キャスターがなだめようとする。

 しかし、二人は一瞬彼女の方を見るが無視した。無視された女性キャスターの額に青筋がでる。

 玉井は持参した写真を持ち出した。その写真は正に水しぶきを上げながら、海に入って行こうとするところを捉えたものである。

「いいですか、この写真を見て下さい。これはハワイ沖で撮影されたものです。恐らく海の生物を調べているんでしょうなあ」

 コメンテーターの常木は、その写真を奪い取り胸から眼鏡を取り出して、じっくりと観察した。

「玉井さん、あんたねー、この写真良く検証しましたか。これはどう見たって合成写真でしょう」

「どうして、そう思うんですか? もう少し素直になった方が良いですよ」

「あんたこそ、もう少しましな写真を持って来なさいよ」玉井は常木を睨み付けた。

すると、蚊屋の外に置かれていた波多野が割り込んできた。「あのー、私の写真は本物ですよ」

 今度は常木が波多野を睨み付けた。「あなたも気の毒に、玉井に色々と言い含められたんじゃあないんですか?」

「そんな事はありませんよ。私は善良な都民ですよ」

「どうだか、あんたの顔も信用できん」

「顔の事は関係ないでしょう」、波多野は常木に詰め寄った。

 常木も波多野の凄い形相にややたじろいた。「なんだ君、暴力でもふるうつもりかね!」

 こんな調子で険悪な雰囲気が広がった。そこで焦った女性キャスターが

「だいぶ話が盛り上がってきましたが、ここでコマーシャルをどうぞ」と言ってなんとかその場をしのいだ。


 未確認飛行物体に対し、世界中で信じるもの、信じないものの間で論戦が激化していった。

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