ディアボロス無害化装置は?
「桃太郎、もう少し早く助けに来られなかったの、いつもハラハラさせるんだから」と、ユリカがちょっとおどけながら怒ってみせた。
「やあ、ゴメンゴメン。しかし、その怒った顔もなかなか、チャーミングだね」
「なに言ってんの、誤魔化さないでよ」
二人の無邪気な会話を聞きながら、みんな微笑ましい気持ちになれた。
そこに田中の声が響いてきた。
「おーい、ちょっと来てくれ」
田中は、電波搭を調べているようだった。彼は制御盤の蓋を開けていた。
「これを見てくれ。中が空っぽだ。くそ、ネビロン人にやられたのか?」
「あら、本当だ。これはどういう事かしら」、ユリカも不思議そうに制御盤の中を覗きながら言った。
天海は、しばし熟考した後、
「やはりそうか。これは偽物だ。ユリカの父さんが、ネビロン人を惑わすために作ったものだろう」と言った。
「えっ、それでは本物は何処にあるのかしら?」
「それは、例の二股の道を右へ行ったところにある」
「いや、あそこには3本の巨木しか無かったはずだ」
「そうだ、その木じゃよ。あの木を見て、どうも違和感を感じたが、あれこそ妨害装置だったんじゃ。それにしても、よくカモフラージュしてある」
3人は、再びその巨木の所に戻り確認した。
「ああ、さすがは父さんだわ。この巨木は特殊な材料で出来ていて、枝や葉から妨害電波を出しているわ」
「手で触ってみても、本当の樹木にしか見えないぞ。葉っぱの葉脈まで本物そっくりだ」田中は詳細に観察したり触ったりしながら、その精密さに驚いた。
「よし、いずれまたネビロン人が攻撃してくるだろうがワシがこの場所を死守しよう」と、天海は宣言した。
「ところで、天海さま、一つ聞いても良いですか?」と田中が尋ねた。
「なんじゃ、言ってみろ」
「天海さまは、杖や数珠が無いと術を使えないんですか?」
「なんじゃそんな事か。杖や数珠は単に意識を集中させるための道具にすぎない。そんなものは無くても、レーザー砲ぐらい跳ね返せたわい」
「ああ、恐れ入りました」
田中は、つまらない事を聞いたと申し訳なさそうな顔をした。