UFO墜落
数日後、鬼ヶ島から強烈な光線が空に向かって発射された。その直後空中でまばゆいばかりの閃光と大きな爆発音が響き渡った。ネビロン人によるペルシカ人のUFOへの攻撃が成されたようだ。
一方警報の鳴り響くUFOの内部では----。
「しまった、何者かの攻撃を受けました」
「おかしいぞ、地球にこんな武器が有るはずがない」
「これはネビロン人の武器に類似しています」
「私もそう思っている。数年前に姿をくらましたあのネビロン人ではないか?」
「やっかいな事になったぞ。それにしてもこの船は大丈夫か」
「いえ、致命傷を負いました。あと何分ももちません」
「仕方が無い。脱出カプセルを用意しろ。急げ」
「女、子供を優先するんだ、早く、早く」
瀕死の宇宙船からはいくつもの脱出カプセルが放射状に綺麗な放物線を描きながら地上に落下していった。
ネビロン人はその脱出カプセルを確認すると直ちに次の行動に移った。逃げたペルシカ人を捕らえるために特殊部隊が派遣されたのである。
数時間後、森の中で脱出カプセルによって逃げ延びたペルシカ人の姿があった。
それはペルシカ人のアークとその妻ミノンであった。さらにミノンの腕の中にはソードと言う名の赤ちゃんが抱かれていた。
彼らはネビロン人に追い詰められていた。そして悪いことにミノンは足を怪我していたのである。岩陰にひっそりと隠れていたが、見つかるのは時間の問題であった。
アークとミノンはこの子供だけは何とか助けようとした。
その為に、アークは胸から小さな物体を取り出し、地面の上に置いた。彼はその物体の上に手をかざし、念を送る。
するとその物体はみるみる大きくなり赤ちゃんが入れるだけの大きさになった。その中に赤ちゃんを入れると自動的に蓋が閉まった。そして近くにあった川にそれを浮かばせた。
アークはそれを見て、胸が張り裂けるような感情に襲われる。
「ミノンよ、ソードが親切な地球人に拾われ無事に成長してくれるように祈ろう」
「そうね、あの子だけでも助かってくれたら!」
「大丈夫だよ、きっと。ソードは強い子だから。なにしろ私たちの子供だから簡単に死ぬ訳がないさ」
ソードと呼ばれた赤子は、何も知らぬまま川の流れに身を任せるしかなかった。