ありふれた転生者に特別なギフトを
「それでは山本様…いえ、今この時よりルーファス様とお呼びしましょう。行ってらっしゃいませ。」
女神は目の前のサラリーマンに優しく微笑みかけると彼は白い光に包まれ魔法と剣の異世界へと誘われた。
「はぁー!疲れたわ〜!肩こるわ〜!」
「そんな格好見られたら転生者に示しがつきませんよ?」
それまで母性あふれる微笑みと包容感を具現化したような話し方をしていた女神はドカッと椅子に勢いよく座り、顔を星が輝く天空を向ける。
非業の死や不慮の事故、天界の手違いによって命を失ったものは皆、ここで転生の女神である彼女と面談する。そして次の転生先を決めるのだが…
それは十数年前のことだった。
一人の人間が転生の女神の運命を変えてしまった。
「うわ!これって転生ってやつ!?ってことは魔法の世界とか?」
その少年の言葉は女神に驚きを与えるのに充分だった。転生すれば前世はもとよりここでのやりとり自体の記憶は消える。ましてやここに来れるのは限られた条件で死を迎えた者たち。
女神は思わず問いかける。
「なぜ?あなたは転生のことを?もしかして以前も…?」
そんな訳はない。転生したものは二度目の人生を送った後に普通の輪廻に戻される。二度もここへ来るものがいるなど聞いたことがない。
「え?それはわかんないけど、アニメで見たからね!」
少年が言うには日本という国では物語として【転生】が流行っているということを教えてもらった。普段の女神なら人の世に興味など持たないが自分の仕事が知られているとなると話は別だ。彼女は少年から【転生物】について教えてもらい、そして…
「ねぇ、僕が転生する時も特別な力をもらえるの?」
「いいわよ?転生するあなたに特別な力…そうね贈り物をあげるわ!」
転生者とその転生先の世界にまで干渉できる力を持つ転生の女神だからこそできる芸当であった。
そして彼を転生させた後、日本から来る転生者からは特別な力を求められ、彼女は女神であるがゆえ、平等に与えた。それはその人間の前世から汲み取りその人間にとって最善な特別な力を与えるという仕事も増えたことを意味する。
「さぁ、次の転生者が来ますよ。姿勢を正して。」
女神が姿勢を正すと少年が現れた。どうやらまた日本人のようだ。いつものように力を与えるために彼の本質を見極めると女神は驚いた。彼には前世で何一つ突出したものがなかったのだから。
「いいわ。一緒に見つけましょう。あなただけの特別な力を!」
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