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守銭奴無自覚ブラコン妹と盲目ヤンデレいじめっ子皇女に好かれる極悪中ボスの話  作者: 溝上 良
最終章

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第77話 ボケ











 光り輝く聖剣を見て、ディオニソスの反応はそれほど大きなものではなかった。

 なんかピカピカしていて鬱陶しいな、くらいである。

 なにせ、強力な武器を持つ敵なんて、今まで腐るほどいた。

 それこそ、数は少ないものの、聖剣と呼ばれるものを装備していた者はいた。

 確かに、強力な武器だった。恐るべき能力を持っている。

 だが、それも殺した。

 今までの実績から、ディオニソスがひどく狼狽することはなかった。

 一方で、ひどく反応を見せたのは、彼の脳内に寄生するプレイヤーである。


『ま、マズいよ! 聖剣エイジスを使わせたら、いくらディオニソスでも勝てない! 原作だと、エイジスを手に入れるのは後半も後半なのに……。どうして今になってオオトリは持っているんだ!?』

(は? どういう意味だ? 使わせたらって……)


 眉を顰めるディオニソス。

 使った時点で負けが確定する武器なんて、どんな武器だ。

 そんなものがあれば、当然世の中に広く知れ渡っているだろうが、少なくともディオニソスは聖剣エイジスと呼ばれる武器のことを聞いたことはなかった。

 だが、原作をやりこんでいたプレイヤーは、その武器のことをよく知っている。

 なにせ、その武器を使ったキャラで、物語を進めていたのだから。


『とにかく、速攻で勝負を決めるべきだよ! ここは、僕のことを信じて!』

(いや、お前のことは微塵も信用できないが……。まあ、警戒して見合っていても仕方ないしな。……というか、もう名前を叫んでいる時点で、あの聖剣の力を使っているんじゃないか?)


 プレイヤーの言葉に乗るのは何となく嫌だが、ここで見に徹しても意味がない。

 ディオニソスは剣を振り上げ、オオトリに襲い掛かる。

 しかし、先ほどまで圧倒されていた彼は、笑みさえ浮かべる余裕ぶりだった。


「ふっ。この力を使った時点で、僕に勝つことはできないよ。さっさと諦めて、首を差し出すといい。そうすれば、痛みも少なくして殺してあげるから」

「よくしゃべる口だな。二つくらいあるのか? なら、一つはいらないだろ」


 切りかかるディオニソス。

 その剣の威力はすさまじく、オオトリが圧倒されるばかりのものだったが……。

 迫る脅威に対しても、オオトリは笑みを浮かべたままだった。


「ああ、そんなに強い言葉を使っても、もうお前のことは怖くないよ。なにせ……」

「……あ?」


 パッと血が飛び散る。

 それは、オオトリのものではなく、ディオニソスのものだった。


「僕の勝利は、すでに確約されているからね」


 返す刀でディオニソスを襲うオオトリ。

 そして、ひどくあっけなく、ディオニソスの首が飛んだ。











『あ、ああ……。やっぱり、聖剣エイジス、強すぎる……!』


 ディオニソスの首を飛ばすことができたのは、オオトリ自身の能力によるもの、とはいいがたい。

 おそらく、お互い同じ武器を使って正々堂々一対一で戦えば、百回やって百度ディオニソスが勝つだろう。

 その実力差を一気に埋めることができたのが、聖剣エイジスである。

 その能力を、原作を知るプレイヤーは十分に把握していた。

 聖剣エイジス。その能力は、運命を操ることができる。

 今回、オオトリはこの勝負の行く末……すなわち、運命を操ったのだ。

 この戦いに勝利し、相手を殺すことができるのは、セイヤ・オオトリであると。

 結果を確定させる、絶対的な能力。

 それこそが、聖剣エイジスの能力だった。


「いや、やっぱりすごいな、この力。絶対に負けないもんな。まあ、一つの対象に一度しか使えない制約はあるけど、そんなの一度目で殺してしまえば、何の制約にもならないもんな。いやー、原作主人公ってやっぱり凄いわ」


 ケラケラと軽薄に笑うオオトリ。

 そんな様子を見て、プレイヤーはようやく思い至る。


『やっぱり……! さっきから、原作主人公って……。もしかして、こいつ……僕と同じか!?』


 プレイヤーは、この世界を創作物の世界だと知っている。

 そして、オオトリもまた同じなのだと、ようやくここで理解できたのだ。

 そんなプレイヤーの声が届かないオオトリは、ディオニソスを殺すことができた歓喜から、独り言をブツブツと呟き続ける。


「リョナ鬱グロゲーの世界に憑依という形で突っ込まれて、どうしたものかと思っていたけど……。いや、案外何とかなるね。それに、やっぱりヒロインの見た目も良いわ。そういう女をものにするのが、僕がこの世界にやってきた理由なんだろうな」


 セイヤ・オオトリという存在は、間違いなく創作物の主人公である。

 ただ、今の彼は、そんなオオトリに憑依した存在だった。

 プレイヤーと同じだが、彼の場合はオオトリという人間を完全に乗っ取ってしまったのだった。


「あの王女パトリシアと、守銭奴のダイアナ。この二人は、やっぱり別格だな。絶対に僕の女にしてやる……!」

『こ、こいつ……!』


 そんな憑依者の目的は、このえげつないゲーム世界のヒロインたちを、自分の手中に収めることである。

 凄惨なゲームであるが、ヒロインたちの魅力は高い。

 だからこそ、現実世界でも人気のあるゲームだったのだ。

 そして、憑依者はこの世界で起きることを、事前に知識として知っている。

 だから、原作で起きた悲劇的なことも、回避することができるのだ。

 まさに、オオトリに成り代わった者からすれば、楽園のような場所だった。


「さてと、ヒーローだからな、僕は。まずはパトリシアを迎えに行ってあげようか。一応、僕をはめようとしたことは、お仕置きしないといけないからねぇ……」

『あ、あれ……?』


 怒りのあまり声を張り上げそうになっていたプレイヤーだったが、ふと思い至る。


「ディオニソスは死んだはずなのに、どうして僕はこうして考えることができているんだ……?」


 プレイヤーは、あくまでもディオニソスに寄生した存在だ。

 そして、そんな存在は、宿主が命を落とせば同じく命を落とす。

 ディオニソスは、即死するレベルの致命傷を負っていた。

 それなのに、どうして自分はまだ意識があって、しかもこんなにはっきりとした感情を発露させることができているのか。

 その疑問に答えるのは……。


「――――――んなもん、俺がまだ生きてるからに決まってんだろ、ボケ」


 先ほど受けた致命傷が嘘のように消えて立っている、ディオニソス・ホーエンガンプだった。


『え、ええええええええ!? ディ、ディオニソス!? さっき首飛ばされていたのに!?』

「なん、だと……!?」



過去作のコミカライズ最新話が公開されました。

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下記のURLや書影から飛べるので、ぜひご覧ください。


『自分を押し売りしてきた奴隷ちゃんがドラゴンをワンパンしてた』第7話

https://manga.nicovideo.jp/watch/mg1013137

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― 新着の感想 ―
な、何故タヒらない! 首を飛ばしたらどんな生物だってタヒぬはずだ!! なんでやろなぁ、魔剣くんはどう思う?(疑惑の目)
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