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守銭奴無自覚ブラコン妹と盲目ヤンデレいじめっ子皇女に好かれる極悪中ボスの話  作者: 溝上 良
第3章 

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第50話 ち、違う!

 










 革命軍が襲撃してきた。

 民のために現政権を倒すと誇り高い名目を掲げてはいるが、やっていることはただの暴力革命である。

 近衛騎士団や各地領主の私兵団と激突し、幾人もの死者を発生させている。

 よって、国から見たらただのテロリスト集団でしかない。

 まあ、どうでもいいんだ。俺の領地で暴れたら皆殺しにするだけだし。

 今のところ、ホーエンガンプ領で活動していたとはなっていないから、見逃している。

 しかし、遂に王族まで狙うか。

 かなり大それたことである。グスタフはブチ切れるだろうな。

 スイセンも近衛騎士団を援護すると言って飛び出して行ったし……。

 いや、俺と一緒にさせるのはマズイだろ……。何やってんだ側近……。


『まあ、君って悪役キャラのくせに、戦闘能力だけで言うと恐ろしく高いからね。ぶっちゃけ、こういう荒事の時は、君の傍が一番安全だったりするし』


 まあ、俺が強いのは誰の目からも明らかで当然のことなんだが……。


『うん、事実でもそこまで言われるとなんだか腹が立つね』


 ただ、いいのか?

 俺はパトリシアのことを一切考慮せずに戦うぞ?

 戦いの余波で死んでも、責任取らんぞ?

 ……まあ、その心配もいらんと思うがな。

 こいつ、かなり強いし。


『……え? 何それ? それは解釈違いなんだけど?』


 何だ、解釈違いって。


『えっ!? そんなことあるの!? ゲームしていた時、パトリシアが戦えるなんて知らなかった。一度もそんな展開にならなかったし、大体殺されちゃうし』


 俺からしたら、この化物を殺せるという方が驚きだわ。

 だから、シルバーは恐ろしく強いのだろうなと思う。

 まあ、俺の方が強いけど。

 そんなことを考えていると、準備も終わった。

 俺は額の汗をぬぐいながら、清々しい笑顔を浮かべて彼女を見下ろした。


「よーし、これで準備オッケーだな!」

「……ディオニソス様。さすがの私もこれには困惑ですよ。いったい何をしているのですか?」

「え? ほら、たぶんこの騒ぎってお前のせいだから、お前を縛り付けておこうと思って……」


 パトリシアが久々に見る表情をうかべていた。

 困惑と呆れである。

 そんなパトリシアは、俺によってガチガチに縛られていた。

 いやぁ、よかった。縄を持っていて。

 何をするにも重宝するからな。


「思うだけでもおかしいのですが、実行に移すのはもっとおかしいですよ。頭大丈夫ですか? おっぱい揉みます?」

「止めろ。俺は精神的にやられていないし、お前の身体を触るくらいなら死んだ方がマシだ」

「……そこまでですか?」


 さすがに少し落ち込んだ様子を見せている。

 いや、胸を揉むかと言われても……嬉しくないし……。

 というか、どうして頭の心配からいきなり胸を揉むかどうかに飛ぶんだ。

 俺が何か聞き落としたのかとびっくりしたぞ。


「でも、さすがにまずくないですの? これ、ばれたらいくらホーエンガンプ家でも処刑は免れませんわ。あの国王、王族大好きそうですし」


 俺もそんなに王都の事情に精通しているわけではないから詳しくはないが、グスタフがコソコソと動き回っていることは知っている。

 おそらく、地に堕ちている王族の力を戻そうと躍起になっているのだろう。

 王族に力を。

 普通、そんなことしなくても、もともと力を持っているものなんだけどな、王族って。

 だから、この国は俺たちが好き勝手できているわけだが。


「まあ、その時はその時だろ。それに、この騒ぎを起こしている連中が悪い。全部そいつらのせいにできる」

「そいつらが殿下を助け出したらどうしますの? あまつさえ、先に縛られていたとか言われたら、真っ先に疑われるのわたくしたちですわよ? スイセンさんも、わたくしたちが一緒にいることを見ていますし」


 ダイアナの言葉に思案する。

 ……なるほど。一理ある。

 俺は革命軍がパトリシアをぶっ殺してくれると思って縛り上げたのだが、そうでなかったら?

 たとえば、ニックほどではないにせよ、王族に敬意を持つ奴が第一発見者なら、殺さないのでは?

 そもそも、民から人気の高いパトリシアだ。助けられる可能性も十分にある。

 そうでなくとも、殺すよりも生かして捕らえておいた方が、後々の革命行動の際には役に立つだろう。

 人質としては恐ろしいほどに有効だ。

 で、そいつらが『最初から王女縛られていましたよ(笑)』とか言い出したら、真っ先に疑われるのは直前まで一緒にいた俺だ。


「…………ここで殺しておくか」

「ちょっと困ってしまいますね……。エッチなことをする用として、生かしておきませんか? 元王女とか、興奮しません?」

「俺、それよりも弱い者いじめとか拷問とかしている方が楽しいかも……」

「私が言うのもなんですけど、ディオニソス様って頭おかしいですよね」

「同意ですわ」


 うんうんと頷くダイアナ。

 お前、後で俺の娼館から回収したお金、取り上げるから。


「仕方ねえなあ……。とりあえず、このままシルバーくんに渡してみようか」

「あ、それはちょっと困りますね」


 本当に困ったように顔を歪めるパトリシアを久しぶりに見た気がする。

 しかし、シルバーは騎士団長。

 本来であれば、王族である彼女を守る存在だ。

 実際、俺もプレイヤーから聞いていなかったら、そういうことをする奴だってことは信じられなかっただろうし。

 だが、パトリシアがこういう反応を見せるということは……。


「なんだ。お前も気づいていたのかよ」


 シルバーがガッツリ色々な意味で狙っているということに、気づいていたということ。

 ちっ。知らなかったら、すんなりシルバーくんに献上することができたかもしれないのに……。


「あれだけ熱烈な視線を戴いていたら、さすがに……。私、見られることが多いので、そういう視線には敏感になっているのかもしれません」

「えぇ……。なんで平気ですの……? しかも、それを側近に置いて、今回も一緒に行動させているってどういう思考回路をしていますの……?」


 プレイヤーから話を聞いて理解しているダイアナも、引いた目を向けていた。

 同性だからこそ理解できる気持ち悪さもあるのだろう。


「ふふっ、ディオニソス様のためですよ?」

「なんでだよ」


 どこに俺のためになる要素があるの?

 まあ、実際パトリシアがシルバーに殺されたら喜ぶけれども。

 ……え? 殺されてくれるの?


「まあ、ともかく、無駄だった拘束を外して……」

「ここか!」

「あ……」


 面倒事になる前に、とりあえずパトリシアを解放しようと縄に手をかけた時、荒々しく扉が開かれた。

 飛び込んできたのは、顔も知らない青年。誰だテメエ。

 不敬だとして殺してもいいのだが、それよりもマズイのは今の状況である。

 縄で何か縛られている王女パトリシア……おい、俺そんな縛り方してなかっただろ。なんでちょっと卑猥な感じになってんだ。

 そして、そんな身動きの取れない王女ににじり寄っている(ように見える)悪徳貴族ディオニソス。

 うーん、これは……。

 俺たちをじっと見た乱入者くんは、くわっと目を見開いて叫んだ。


「……ディオニソス・ホーエンガンプ! そこまで堕ちていたか!」

「ち、違う!」

『何か違う要素ある?』

「ないですわ」




過去作のコミカライズ最新話が公開されました。

期間限定公開となります。

下記のURLや書影から飛べるので、ぜひご覧ください。


『自分を押し売りしてきた奴隷ちゃんがドラゴンをワンパンしてた』第4話

https://manga.nicovideo.jp/watch/mg991556


『偽・聖剣物語 ~幼なじみの聖女を売ったら道連れにされた~』第33話

https://unicorn.comic-ryu.jp/12028/

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縄『くそっ…じれってーな!俺ちょっとやらしい雰囲気に縛ってきます!!』
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