第2話 事故
あるところに、白いつのを持った女の子の鬼がいた。
女の子には幼馴染がいて、仲良く遊んでいたが、そんな関係はあるときにおわってしまう。
黒い角の鬼と遊んではいけませんよ。それにあの子は、あなたの敵ですから。
周りの大人に何度もそういわれたためだ。
女の子は最初はそうは思わなかったけれど、あまりにもみんながそういうものだから、次第に信じてしまった。
けれど、どうしても嫌いになれなかったから、そんな自分を悪い子だと思い、嫌いになる理由をさがしてまで変わった。
いま、女の子は独りぼっちで周りには誰もいない。
周囲にはたくさん手助けしてくれるものがいたけれど、女の子はそれでも独りぼっちだった。
翌日、香子は自動車に乗って、家を出る。
「幸せにしてもらうんだよ。何かあったらきちんとうちに連絡を入れなさい」
「悪い方ではないけれど、満足に顔合わせできなかったのが心配だな」
母と父が、それぞれ声をかけ、香子の上の姉三人もそれぞれの言葉をかける。
それは嫁入りのためだ。
しかし諸事情あって、見合いで一度しか顔を会わせていないため、詳しくは分からない相手だ。
「お嬢様、お車をお出しいたします」
嫁入り先まで連れて行ってくれるのは、幼い頃から世話になった男性
香子の家と嫁入り先の家の両方の知り合いである。
香子達は自動車に乗って山道を進んでいく。
緑の木々が窓の外を通り過ぎ、さあっと心地の良い風が吹く。
だが、一時間ほどしたころに事故が起きてしまう。
運転手が発作を起こし、通っていた崖から車が落ちてしまったのだ。
車は下に生い茂っている木の上に落ちたが、運転席の前方は大破。
運転手は亡くなってしまった。
「まさかこんなことになるなんて、どうしたらよいのかしら」
香子は、なんとか怪我もなく、無事だった。
自分の足で歩くこともできたが、現在地が崖の下であるため元の道に戻るのは難しかった。
運転手をみとった香子は気持ちを切り替える。
自動車から這い出た香子は、助けを求めるために少しあるいたが、体力を失って気絶してしまった。
そこに、何者かが通り過ぎ、香子を助けたのだった。




