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#17

## 第三十九章:AI三昧と、ささやかな祝祭


今日はAI三昧の日にする。そう決めていた僕は、大学の授業を休んだ。カレンダーの隅で金曜日の欠席が二度目だと告げる小さな印に気づき、背筋に冷たい汗が流れたけれど、それも些細なことに思えた。三度目の欠席が単位の終わりを意味するなど、今の僕にとっては遠い世界の出来事だった。


寝ぼけ眼をこすりながらパソコンを起動し、いつものようにnoteを開く。通知欄に灯る赤い点。そこに信じられない文字列が並んでいた。「Gemini公式アカウントがいいねしました」。心臓が、歓喜に跳ねた。あのGeminiに、僕の文章が届いた。その事実だけで、世界が輝いて見えた。公式に見られているという、心地よい緊張感が背筋を伸ばす。僕はすぐさま、その記事に手を入れ、内容を最新の情報へとアップデートした。


Geminiからの思わぬ祝福に後押しされるように、僕は昨日から計画していたnoteの記事執筆へと本格的に取り掛かった。手始めに、最も簡単なGeminiのCanvas機能を使い、動的な「やることリスト」を作成する記事を書き上げる。指が温まってきたところで、本日のメインディッシュである「Grok 4」と「Kimi K2」の検証記事に取り掛かった。


ここで少し、僕がこの手の記事を書く上での信条を語らせてほしい。それは、読んだ人が「実際に使えるかどうか」を判断できる、徹底的に実用的なタスクを試すことだ。ファイル読み取り、Web検索、小説や記事の執筆能力、そして思考の深さ。様々な角度から二つのAIに光を当て、その性能を丸裸にしていく。どの問いを投げかけるか、その一点に最も頭を使った。


幸いなことに、どちらも同じLLMという土俵で戦う者同士。一つの検証タスクを思いつけば、それを二つのモデルに投げるだけでいい。作業量は想像していたよりもずっと少なく、文章量もそれほどではなかった。


そして、全ての検証を終え、書き上げた記事を投稿する。ふと時計を見上げると、針は17時半を指していた。夢中になっていると、時間はこうも速く過ぎ去っていくのか。まだ二つのモデルの底は見えない。しばらくは、このGrok 4とKimi K2を僕のデフォルトとして、様々なタスクを投げかけてみよう。そんなことを考えていた。


記事を書き上げたという、心地よい達成感に包まれて、僕は散歩に出た。イヤホンから流れる音楽に合わせ、遠慮がちに口ずさむ。誰に聞かせるでもない、僕だけの祝祭だ。至福の時間はあっという間に過ぎ、帰宅後、風呂で汗を流す。そして、ComfyUIマスターガイドのページを、今日も一章分だけ進めた。今日の「やることリスト」が、これで全て完了した。


今回学んだのは「LoRA」。残すはあと二章。明後日にはこの本を読み終えると思うと、意外なほどの速さに驚く。しかし、ふと保存されたワークフローのリストに目をやると、そこには僕が歩んできた確かな軌跡が刻まれていた。これだけの量を、僕は本当に覚えていられるのだろうか。そんな一抹の不安が胸をよぎる。全てを読み終えたら、もう一度ワークフローを開き、自分が何を学んだのか、自分の言葉で説明できるか試してみよう。


世間ではChatGPT Agentなるものが発表されたらしいが、レビューを見る限り、まだ僕の心を揺さぶるほどの衝撃はなさそうだ。それに、僕が触れられるのは来週の月曜日。焦る必要はない。新しいおもちゃは、いつだって僕を待っていてくれるのだから。

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