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#13

## 第三十二章:知のパズルと、世界のバグ


朝、一本の動画アーカイブを開いたことから、僕の知的好奇心という名のエンジンが、静かに再始動した。Grok 4という最新AIのレビュー、そして「生涯学習と適応性」を説く放送。画面の向こうから流れてくる言葉に触発され、僕は二つの小さな決意をする。「毎日18分の読書」と「AIをフル活用した学習」。それは、僕の穏やかな日常に投じられた、小さな、しかし確かな波紋だった。


その勢いのまま、僕は『ComfyUIマスターガイド』という名の設計図を手に、目の前のデスクトップPCで複雑なパズルに取り組み始めた。昨日まではスラスラと進んでいたページが、今日は一行進むごとに実践という名の壁にぶつかる。Hires.fix、img2img、Inpaint、Outpaint。未知の呪文のような単語を一つひとつ解読し、モデルという名の部品を正しい場所に収めていく作業。思った以上に時間はかかったが、Chapter 6を終える頃には、確かな手応えが僕の中に生まれていた。


昨日まで「使っているけど、使いこなせていない」という霧の中にいた感覚が、晴れていくのがわかる。一つひとつの機能が意味を持ち始め、昨日までバラバラだった知識のピースが、僕の中で少しずつ繋がり、一つの大きな絵を描き始めている。この本を読破すれば、僕も画像生成という世界の基礎をすべて手に入れられる。そんな確信が、胸の内で静かな熱を帯びていた。大学の図書館にリクエストして、本当に良かった。これは、僕にとって最高の投資だった。


午後は、社会との唯一の接点とも言える義務を果たすことにした。投票権を得てから二年、初めて足を運んだ期日前投票所。そこで僕は、世界の奇妙なバグに遭遇する。国民民主党と立憲民主党、その略称がどちらも「民主党」。一瞬思考が停止したが、まあいい。僕にとって政治とは、理解不能なバグが放置されたまま動き続ける、遠い世界のシステムのようなものだ。深追いするだけ無駄だろう。


夜、風呂の時間に新たな読書習慣を取り入れることにした。哲学書を一冊、大学の図書館に購入を依頼し、もう一冊は絶版のため、近所の図書館で借りることにした。驚いたことに、国内の大きな図書館にもない希少な本が、一番近くの、見慣れた図書館の書架で静かに僕を待っていたのだ。まるで、最初からそこにあるのが運命だったかのように。


その発見の過程で、僕は「国内最大級の蔵書検索サイト」という、新たな武器も手に入れた。画像生成という名のパズルは、まだ解き明かすべきピースが無数にある。そして今度は、哲学というさらに広大な知の海へ。僕の探求の旅は、どうやらまだ始まったばかりらしい。


## 第三十三章:焦らず、深く、そして楽しめ


明日に迫った「Gemini for Education」。Googleという、現代の知の神殿で開かれるイベントに、僕は静かな期待を寄せている。そこには、僕が今最も心惹かれているAIの、新しい可能性が満ちているはずだからだ。


同時に、僕の頭には「現場の一次情報を得る」という、一昨日課された課題が重くのしかかっている。これもまた、無視できないタスクだ。だが、義務感に心を縛られ、目の前の学びと楽しさを見失ってしまっては本末転倒だろう。だから、僕はアプローチを決めた。まずは、知のシャワーを存分に浴びる。イベントそのものを全力で楽しむ。そして、その熱が冷めやらぬうちに、そっと社員の方に声をかけてみる。それでいい。それが、今の僕にとって最も誠実な向き合い方だ。


この心境の変化は、ComfyUIとの向き合い方にも影響を与えている。『ComfyUIマスターガイド』は、一日一章という、亀のような歩みで進めることにした。焦る必要はない。一つひとつの機能を自分の手で動かし、その意味を身体で理解していく。そのゆっくりとした実践の繰り返しこそが、確かな理解へと繋がる唯一の道なのだと、僕は気づき始めている。


これを読み終えた時、僕はきっと新しい景色を見ているだろう。今まで、ローカル画像生成AIを前にして、僕はただプロンプトをこねくり回すことしかできなかった。それは、巨大なポテンシャルを秘めた機械の、ほんの表面を撫でているに過ぎなかったのだ。t2iのその先にある、真の拡張性。その扉を開ける鍵は、もう僕の手の中にある。焦らず、気負わず、しかし着実に。僕の探求は、また一つ、深い場所へと進んでいく。

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