4話:新たな旅立ち、そして明かされる真実
深い森の中、レオンとエリス、そして謎の少女は息を切らしながら走り続けていた。背後では、黒竜と化したガルドの咆哮が遠ざかっていく。
「ここまで来れば大丈夫よ」
謎の少女が立ち止まり、振り返った。レオンとエリスも足を止め、周囲を見回す。
「あなたは...誰?」
レオンが、警戒心を隠さずに尋ねた。
少女は微笑み、一礼した。
「私はセシリア。アルカディア王国の第一王女よ」
その言葉に、レオンとエリスは驚きの表情を浮かべた。
「王女!? どうして、こんなところに...」
エリスが困惑した様子で問いかける。
セシリアは真剣な表情で答えた。
「私は、王国の腐敗を正すために動いているの。そして、あなたたち二人の力が必要なの」
レオンは眉をひそめた。
「俺たちの...力?」
「そう。古代魔法を操る力。それこそが、この世界を変える鍵なの」
セシリアの言葉に、レオンとエリスは顔を見合わせた。
その時、ルミナの声が響いた。
「話を聞いてみるといい。彼女の言葉には真実が含まれている」
レオンは深く息を吐き、決意の表情でセシリアを見つめた。
「分かりました。あなたの話を聞かせてください」
セシリアは頷き、話し始めた。
「実は、アルカディア王国は今、大きな危機に瀕しているの。王族や貴族の多くが、"影の議会"という秘密結社に操られているわ」
「影の議会...?」
エリスが首を傾げる。
「そう。彼らは古代の禁忌の魔法を使って、人々を支配しようとしているの。さっきのガルドもその犠牲者の一人よ」
レオンは拳を握りしめた。
「兄さんが...あんな姿になったのも...」
セシリアは静かに頷いた。
「でも、まだ希望はあるわ。それが、あなたたち二人よ」
「私たち...?」
エリスが不安そうに尋ねる。
「そう。あなたたちの持つ古代魔法の力こそが、影の議会に対抗できる唯一の手段なの」
レオンは決意の表情を浮かべた。
「分かりました。俺たちに何ができるか、教えてください」
セシリアは微笑んだ。
「まずは、あなたたちの力をさらに高める必要があるわ。そのために、"五大精霊の祠"を巡る旅に出なければならないの」
「五大精霊...」
エリスが呟いた。その瞬間、彼女の体が淡く光り始めた。
「エリス!?」
レオンが驚いて叫ぶ。
エリスの目が閉じられ、別の存在が彼女を通して語り始めたかのようだった。
「五大精霊...火、水、風、土、そして霊。古より世界の調和を司る存在...」
セシリアは驚きの表情を浮かべた。
「まさか...精霊使いの血を引いているの?」
エリスの体から光が消え、彼女は我に返った。
「え? 私...何を...」
レオンが状況を説明すると、エリスは困惑した表情を浮かべた。
「私に、そんな力が...」
セシリアは真剣な表情でエリスを見つめた。
「あなたの力は、私たちの旅にとって重要な鍵になるわ。精霊たちとの対話ができるのは、あなただけなの」
レオンはエリスの肩に手を置いた。
「一緒に頑張ろう、エリス」
エリスは少し迷った表情を見せたが、すぐに決意の色を浮かべた。
「ええ、分かったわ」
セシリアは満足げに頷いた。
「よし、では旅の準備をしましょう。最初の目的地は、"炎の祠"よ」
三人が歩み始めたその時、突然地面が揺れ始めた。
「な...何!?」
レオンが驚いて叫ぶ。
地面が割れ、そこから巨大な岩の精霊が姿を現した。
「来るぞ!」
セシリアが警告の声を上げる。
レオンは咄嗟に古代魔法を発動させ、青白い光の盾を作り出した。エリスは精霊たちに呼びかけ、風の力を味方につける。
「くっ...強い!」
レオンが呻く。岩の精霊の一撃で、光の盾にヒビが入る。
「こんな時に...私たちの力じゃ...」
エリスの声が震える。
その時、セシリアが一歩前に出た。
「私にも、隠し持っていた力があるの」
そう言うと、セシリアの体が淡い紫色の光に包まれ始めた。
「あれは...」
レオンが驚きの声を上げる。
セシリアの手から、紫色の光の槍が現れた。
「はぁっ!」
セシリアが光の槍を放つ。それは岩の精霊の胸を貫き、精霊は砕け散った。
「す、すごい...」
エリスが驚きの声を上げる。
戦いが終わり、セシリアは深く息を吐いた。
「これが、王家に伝わる"月光の力"...ずっと隠していたけど、もう隠す必要はないわね」
レオンとエリスは、セシリアの unexpected な力に驚きを隠せなかった。
「さあ、行きましょう。これは始まりに過ぎないわ」
セシリアの言葉に、レオンとエリスは頷いた。
三人の旅が、本格的に始まろうとしていた。
彼らの前には、未知の冒険が待っている。五大精霊の祠を巡る旅、そしてその先にある真実。
レオンは決意の表情で空を見上げた。
(待っていてくれ、兄さん。必ず、あなたを取り戻す)
エリスは、自分の中に眠る力の可能性に期待と不安を感じていた。
(私に、何ができるのかな...)
セシリアは、二人の成長を見守りながら、自分の使命を胸に刻んだ。
(この二人となら、きっと...)
三人の旅は、世界の運命を大きく変えていく。
しかし、彼らはまだ知らない。この旅の先に待つ、想像を超える試練と真実を...。