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「世界ランキング四位……ゴルドさんは、ブラックブレードマンティスによって一撃でやられました。……その相手を、どうにか鈴田さんに押さえてほしいのです」


 レイネリアの視線がこちらに向いた。

 事前に聞いていた作戦の通り、俺が押さえている間に全員が脱出という流れだ。

 ……まあ、ただ――それはあくまでできればの話だ。


「分かりました。まあ、倒せそうなら倒しますね」

「……そ、それは。本当に危険な相手です。とにかく、油断しないでください……っ」

「ええ、もちろん分かってますよ」


 レイネリアが慌てた様子で叫んだが、どうやら俺が相手を舐めているのだと考えているようだ。

 少し怒っているようにも見える。

 そんなレイネリアをなだめるように、武藤さんが声をかける。


「そこの判断はもう次元が違いすぎて、我々にはできません。そこについては、鈴田に任せましょう。……問題は、敵の存在ですね。ブラックブレードマンティスの居場所がわからないとなると、救助活動を開始するのは危険ですよね……」


 武藤さんの言葉を聞きながら、俺は資料に書かれていたことを思い出していた。

 おびき出すための作戦はいくつかある。

 どうにもブラックブレードマンティスは、俺たち人間を島から出したくないらしいからな。

 逃走しようとすれば、おそらく姿を見せるだろう。


 ……ただ、それだと飛行機や船の近くで戦闘することになるから、被害が出る可能性もある。

 なら、やるとしたらもう一つだな。


「とりあえず、暴れてきます」

「へ? ど、どういうことですか?」


 俺が指を鳴らしながら言うと、困惑した様子のレイネリアの問いかけが返ってくる。


「ブラックブレードマンティスはたぶんですけど、優秀な部下を育成してるんですよ。将来の夢は地球全体の支配とかですかね? まあ、詳しいことは分かりませんが、とにかく強い個体を増やしたい。なら、その個体たちをつぶしていけば、何かしらの行動を起こす可能性があると思います」

「で、出てくるでしょうか?」

「実際、ゴルドのときもそうだったんじゃないですかね? まあ、このまま増え続けられたら面倒なんで、数減らしてみますね」


 ブレードマンティスたちも強いと聞いているからな。

 黒竜の迷宮の100階層以降の魔物と比較して、どのくらい強いのか知っておきたいしな。

 俺は三人をその場に任せ、結界へと歩いていく。


 何やら背後からは不安がるような声が聞こえてきたが、結界の前までたどり着いて足を止める。

 結界はかなりしっかりとしている。


 これを破壊して中へと入ってしまうと、再展開が大変そうなので俺はレイネリアへ視線を向ける。

 レイネリアはとても不安そうな表情だったが、それでも結界の一部に穴を開けてくれた。


 その出口の近くでは、仲間を喰らって肉体を強化していくブレードマンティスの姿があった。

 迷宮内で魔物同士でいざこざがあることはたまにある。彼らも人間と同じで魔物を倒せば成長するらしい。

 いわゆる、ユニークモンスターといわれるものだ。


 ブラックブレードマンティスもそういう意味でいえばユニークモンスターなんだろうな。

 だが、ユニークモンスターに先導されたからといって、他の魔物までユニーク化するという事例は聞いたことがない。

 よほど、このブラックブレードマンティスが珍しい魔物なんだろうな。

 スーパーユニークモンスターといったところか。


「シャアアアア!」


 俺に気づいたブレードマンティスは歓喜の声をあげ、こちらにとびかかってくる。

 人型をしたそいつらの両腕は、窯のようになっていて、それが俺へと振り下ろされたが――吹き飛んだのはブレードマンティスの首だ。


「――俺は麻耶以外で待てはできないからな?」


 近くで息をひそめているであろうブラックブレードマンティスに伝えるつもりで、俺はそう独り言を呟き、戦闘を開始した。



ここまで読んでいただきありがとうございます!

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[一言] やっちゃえお兄さん
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