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 会見が終わったところで、俺たちはスーツから戦闘用の装備へと切り替えた。

 武藤さんとシバシバは軽装ながらも、しっかりとした防具だ。恐らくは高ランク迷宮で手に入れた素材を使って作ったのだろう。


 対して、俺はいつも通りのフード付きのコートのようなものだ。

 隠密性能が高く、また魔力を通しやすい素材を使っているので、結局のところこれが一番使いやすい。


 着替えを終えた俺たちは、協会の一室へと移動する。そこでは会長や協会関係者たちが待っていて、俺たちの入室に合わせて頭を下げてきた。


「それでは……すみませんが、お願いします」


 会長の申し訳なさそうな言葉に、俺たちは頷いて返した。

 準備を終えた俺たちは、会長に見送られるようにしてシバシバの空間魔法で移動する。

 彼女の作った穴を通ってレコール島へと向かった瞬間だった。


「……ここまで、濃密な魔力は初めてだね」


 真っ先に口を開いたのは、武藤さんだ。

 表情は険しく、顔色はあまりよくない。


 ……確かに、ここに充満している魔力はかなりのものだ。

 そのほとんどが迷宮から生み出されたものであるのは間違いないが、この魔力は――魔力増幅薬を使用している奴らと同じようなものを感じる。


 この魔力の原因は、また後で考えるとしよう。

 今は、目的を遂行するのが先か。


「シバシバはレコール島に来たことあるんだよな? 案内お願いしてもいいか?」


 俺たちの合流地点は現在【バウンティハント】が拠点にしているというエリアだ。

 シバシバはその近くまで来たことあるようで、今いる場所に移動してもらった。


「ええ。こっちよ」


 シバシバに先を任せ、俺は周囲の様子を見ていく。

 ……今の時点で、ブレードマンティスたちは積極的には人を襲っていない、だったな。

 ただ、この辺りでも交戦したようであり……かなりの傷跡が残っていた。


 また、少し視線を遠くに向ければ、建物などの崩壊があり……まあ凄惨な状況であることは誰が見ても明らかだ。


 シバシバとともに歩いて数分、【バウンティハント】のギルドハウス前へと到着した。

 ……そこにはかなりのマスコミが集まっていて、こんな状況であるにもかかわらず中々の根性だ。

 どうやら、俺たちが来ることは知らされていたようで今か今かと待ち構えている様子だ。


 マスコミたちの奥には、【バウンティハント】と思われる人たちの姿もあった。

 俺一人なら無視していけるが、仕方ないな。

 シバシバを先頭に俺たちが歩いていくと、マスコミたちも一斉に気づいてカメラを向けてくる。


 日本人だけではなく、世界中から集まっているようだ。様々な容姿の人たちが話し始めていき、聞き取れない言葉もちらほらとあった。


「鈴田さん! どうか今回の戦いへの意気込みをお願いします!」

「”ミスター鈴田! 世界ランキング二位のあなたは現状をどのように考えていますか!?”」

「鈴田さーん! カメラのほうに笑顔をお願いします!」


 【バウンティハント】の人たちが道を確保するように動いてくれていたが、それでもかなりマイクを近づけられそんな声が聞こえてくる。

 ……俺ばっかりかなり注目されてしまっているようだ。

 そんなことを考えながら歩いていくと、俺たちはすらりと背の高い女性の前についた。

 彼女は小さく深呼吸をしてから、丁寧に頭を下げてきた。


「初めまして、私は【バウンティハント】のリーダーを務めているレイネリアと申します」


 流暢な聞き取りやすい日本語だ。まさか、日本語を話せるとは思っていなかったな。

 対応するのは武藤さんだ。今回のこういった細かい部分の話はすべて武藤さんに任せることになっている。


「日本語、お上手ですね」

「島には様々な国籍の人がいますので、いくつかの言語は話せるんです。色々とお聞きしたいところではありますが……」

「まあ、それはまた全部落ち着いてからにしましょう。すぐに仕事にとりかかりましょう」

「……わざわざ遠方から来ていただいて、すぐの対応ありがとうございます。移動しながら、簡単に今回の作戦について再確認しましょう」


 レイネリアがぺこりと頭を下げ、俺たちは歩き出す。

 武藤さんが隣に並び、俺たちはその後ろをついていく形だ。さらに、ぞろぞろと【バウンティハント】の人たちが俺たちの後ろについている。

 ……結構な人数だ。それに、質もかなりのものだ。

 Sランク冒険者かそれに近い人たちだ。


「作戦は出発前にも確認しましたが、確か鈴田が敵のボスを押さえている間に島から人々を脱出させる、というものですよね?」

「そうですね。すでに空港、港などにも冒険者は配置済みです。他国から船も手配してもらい、作戦開始と同時に逃げられるようにもなっています。問題は――敵のボスです。我々の探知魔法にもかからず、どこにいるか分からない状況です……」

「……それは、困りましたね」


 ……なるほどな。

 敵のボス――ブラックブレードマンティスとやらも、魔力を抑える方法を知っているようだ。

 初めからできていたのか、あるいは成長してできるようになったのかは分からないが、確かに普通の魔物よりもかなり厄介だな。


 とはいえ、嫌な魔力は完全には消せていない。……近くでこちらを窺っているのは分かるが、いきなり襲い掛かって来ない程度の知性もあるようだ。

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― 新着の感想 ―
このカマキリも喋りそうだな
[良い点] 追いつきました!書籍楽しみです(◦`꒳´◦)
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