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「出てきました! 鈴田さんです!」


 俺の登場に合わせ、真っ先に反応したのはマスコミたちだ。


「どうやら、日本の災害級の冒険者が、無事今回も迷宮を攻略してきれたようです!」

「鈴田さん! 何か意見ありますか!?」


 ……かなり周囲の声がうるさいが、俺はひとまず下原さんを見る。


「さっき話していた怪しい奴はどうでしたか?」

「……例の魔力増幅薬を使っていました」

「やっぱり、そうでしたか」

「一応、警察機関が所持していた測定器で調べてみたところやはり、同じように変化していましたね」

「良かった、間違えてなかったみたいですね」

「凄まじい感知能力でしたね」


 下原さんは頬を引きつらせながら、こちらを見ていた。

 周囲を見てみるが、捕らえられた人はすでにこの場にはいないようだ。

 まあ、細かい問題は警察や協会に任せておけばいいだろう。

 俺としては今日の仕事を片付けたのだから、もうこれで終わりでいいだろう。

 あんまりここにいても、マスコミたちの被写体にされるだけだしな……。


「……鈴田さん。とりあえず、迷宮攻略はありがとうございました。報酬に関しては振り込んでおきますが……帰りはどうしますか? こちらで車の手配も可能ですが、いかがしましょうか?」

「シバシバの魔法があるので、それで霧崎さんと一緒に戻ります。何か他にありますか?」

「……いえ、大丈夫です。鈴田さん、今回もありがとうございました」

「いえ、こっちこそネタを提供してくれて助かってます。それじゃあ霧崎さん戻りましょうか」

「……はい」


 霧崎さんにそう声をかけてから、俺たちはその場からシバシバの魔法で逃げ出した。

 立ち去る最後の瞬間まで、カメラの撮影音が響いていた。






「また失敗だが、次の手はどうする?」


 そう宣言したルーファウスの言葉に、その場の全員が威圧され、震えていた。

 ルーファウスもまた、そうなるように仕向けていた部分もあった。

 現在、ルーファウスが管理しているこの組織では、迅を暗殺するために動き出していた。

 すべてはルーファウスの指示だ。組織が本気になって追い詰めれば追い詰めるほど、より迅が成長してくれると考えていたからだ。


「迷宮を強化し、それでジンを暗殺する。その作戦は失敗に終わったようだな」


 淡々と、しかし威圧的な声とともにそう告げていく。

 それでも、圧倒的な魔力をぶつければ彼らは恐怖に支配される。

 ここに集まった人たちは皆精鋭のメンバーだ。だが、ルーファウスにとっては取るに足らない程度のものだった。


「め、迷宮の強化は……うまくいきました。ですが、ジンはそ、その想定を遥かに超えていました……」

「みたいだな。それで、どうする?」

「つ、次はさらにもっと……強力な迷宮へと変化させます」

「――そうか」


 ルーファウスはそう返事をした彼らに飽きていた。

 彼の求めていた答えは、魔力増幅薬を使い直接ジンへと挑戦することだったからだ。

 だが、彼らはあくまで自分自身の手は汚したくないはないときたものだ。

 

 ルーファウスは、ここにいる精鋭皆が迅に挑み、そして敗北することを望んでいた。

 曲がりなりにもルーファウスが集めた精鋭たちを退けることが可能ならば、迅も少しは期待できると思っていたからだ。

 これならば、まだジェンスに期待したほうがいいかとルーファウスが考えていると部下の一人が声を荒らげた。


「レコール島に、Sランク迷宮があります。世界最高難易度と呼ばれる迷宮の一つですので、そこを強化しようと思いますっ」

「レコール島、か」

「は、はい……っ。レコール島は日本からも近いです。レコール島の冒険者たちが攻略不可能となれば、きっと日本にも応援要請が出されるはずです……っ。ですので、それでジンをおびき出し、仕留めます!」

「……なるほどな」

「い、いま……日本で不審な動きをすれば、すぐにジンに感知される危険もありますし……」


 レコール島。

 迷宮が地球に現れるようになってから出現した巨大な島だ。

 【バウンティハント】と呼ばれるギルドが島の権利を所有し、治安維持などを行っている。


 現在は一つの国と呼ばれるほどの規模となり、島の滞在者の多くが冒険者として活動している。

 数多の迷宮があり、その島でしか取れない素材も多くあり、どの国にも属さない冒険者島として有名だった。


「分かった。まあ、精々頑張れ」

「は、はいいいい!」


 怯えた様子で声をあげた彼らを送り出した。



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― 新着の感想 ―
主人公を標的にしてるうちは大丈夫そうだな。 これが主人公を日本から引き剥がし麻耶とか凛音達を狙う作戦ならまずそう。
[一言] ルーファウスの(精神面での)小物臭さよ
[一言] 二位は騙されてたとはいえ即座に殴り込みに行ったのにな…一位さんは物言いこそ重くてもヘタレに見えてしまう
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