プロローグ-3
私──ハナはこの家で暮らし、三年が経つ。
そんなにも経つのに、ウォンの言う『奴ら』に見つかっていないことを不思議に思い、問うたことがある。
「ここは砂漠のド真ん中で、砂嵐もよく発生する。幾ら帝国の力は無限と言えど、流石にこの中に突っ込む勇気は無いだろうよ」
曰く、帝国は機械の国だそうで、砂嵐の中に飛び込めば殆どがダメになるらしい。通信系や食料等保存の為の物まで。
ウォンの持つものは大丈夫なのかと聞いたら、それらは旧式の物でアナログなのだそうだ。燃費は悪いが機械ではないので砂でダメになることはないらしい。
故に、帝国には見つかっているかもしれないが、来ることはないのだそうだ。
しかし、ウォンの知る帝国と今の帝国では違いがあることを知らなかった。
◆◆◆
「まさか、本当に来るとはな……」
ある日の深夜、砂の一粒も舞わない夜に、その時は来た。
私の知らない、どんなものにも類似しない装備をした兵士数名が、私達を囲む。
黒く、硬いそのアーマーは私の銃弾を弾く。しかしその硬さでいて身軽だ。
はっきり言って勝ち目はない。私達の攻撃の殆どは効果がない。さらには兵の一人一人が中々の腕だ。当然、勝機はない。
それをウォンを悟ったのだろう。小声で私に伝えてきた。
「合図したら逃げろ」
そう言うと彼は腰に隠していたハンドガンを素早く取り出し構え、兵の一人の脳天を貫いた。
私は頭で判断するよりも反射的に身体が動いていた。彼の右手の甲から放たれる光のおかげで、気付かれることもなくその場を離れることができた。
閃光弾ではない。手の甲──つまり紋の力なのだろう。私と出会った時同様、ワープや今の光を発すると言った超常的なことを可能にする。それが紋の力、らしい。
私は勝つよりも、生きることを選択した。そう教わったからだ。ウォンは過去に言った。生きていれば、その内回ってくる、と。夢を叶えるチャンスも、戦いの勝利も。
だから今は────。




