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幼女は成長し困惑する

評価やブックマークありがとうございます、とても励みになり嬉しいです!

拙い作品ですが、楽しんで貰えるように頑張ります。

初めての妃教育から数日後、朝起きて朝食のため降りていくと黒い服装の両親が兄様と話していた。悲しそうな表情をしている母様が気になって見つめていると、降りてきた私に気がついた母様が傍に来て話しかけてきた。


「ステフ、起きて来たのね。母様達はお出掛けしてきますが、エドと良い子でお留守番お願いね。」


優しく頭を撫でて貰っていると、父様と兄様もこちらに来てくれた。


「エドワード、ステフの事お願いね。」


兄様の腕にキュッと抱きつき、急いで出掛ける両親を見送った。


「兄様、母様と父様どこ行ったのですか?」


「ステフはまだ小さいからまだ分からないかもね、父様達は忙しいから僕と一緒に留守番しとこう。朝食の後絵本読んであげるよ。」


「うん。」


幼かった私は気が付かなかったが、この日王国は黒色に包まれ悲しみに染まっていた。



初日逃げてしまった妃教育だが、その後は順調に進んでいた。

スミス夫人は言葉や態度は厳しいが、できた時は褒めてくれ出来ないところは一緒に出来るまで付き合ってくれた。

数ヶ月経つと妃教育が順調に進んでいることで、王妃様からも頑張りを褒められながらお茶をする事も増えた。殿下とは週に1回のお茶と、行政や法などの国の根幹を習う王太子教育を一緒に受けていた。

王妃様からの要請で妃教育だけではなく王太子教育も受けることになった、殿下は勉強が苦手でまだ側近も決まっていない為に1人では不安だから一緒に受けて欲しいと言われ断れなかった。

殿下は女のくせにと悪態をついていたが、王妃様からの要請という事で一緒に授業を受けることを渋々了承した。


いざ王太子教育が始まると殿下が王太子教育以前の問題であることが発覚し、基本の読み書きや算術から始めることとなった。

勉強嫌いの殿下は今まで読み書きや算術の授業から逃げたり聞かなかったりしていたみたいで、今は私がいる事で文句を言いつつ、逃げることも出来ず一緒に授業を受けていた。

授業が終わると殿下が文句を言い出すのがいつもの事だ。


「そもそも優秀な側近が見つかれば、俺はこんなことやる必要が無いんだ。こんな些細なことをするのは部下の仕事であって、俺様は取りまとめさえ出来ればいいんだ!」


「でも、細部が分からないと指示が正しいか判断つかないのではないでしょうか?」


「はっ、俺様の側近になれるんだその位はちゃんと出来て当然だろう。俺様は優しいから、部下の為に仕事を残してやってやるんだ。」


「そうですか…」


この様なやり取りをしているから当然の様に、私の覚える事が増えていく。

妃教育に王太子教育を掛け持ちしながら日々を過ごしていくと、次第に私の評価が上がったのか王妃様以外からも褒められる事が増えた。


ある日の殿下とのお茶会の日、天気は澄み渡り気持ちのいい午後だった。

お茶会会場となっている庭の東屋に向かって行くと、拗ねた感じで反り返って脚を組んでいる殿下が既に座っていて驚く。何時も遅刻かギリギリにならないと来ないのに珍しいと思いつつ、待たせてしまっているので小走りで東屋に向かう。


東屋の入口についてスカートを摘みお辞儀しつつ挨拶をする。


「バルガス殿下御機嫌よう、今日は…」

「遅い!何故俺様が待たないといけない!」


今日は天気も良いので庭の散策をする為に早めに家を出て、今は開始までまだ時間がある筈なのだがここは謝罪する方が良いだろう。


「お待たせしてしまい申し訳ございません、次回はちゃんと間に合うように来ます。」


ふんっと顎を反らせる殿下にお辞儀をして、定位置の椅子に座ると傍に控えていたメイドがお茶を注いでくれた。

暖かな陽気に紅茶のいい匂いで今日も良い日だなと思っていると、組んだ脚を下ろした殿下が護衛やメイドの方を向くと言い放った。


「今から婚約者との時間だ、この様な場所で危険もあるまい。呼ぶまで下がれ。」


幼くはあるが結婚前の一応男女が2人っきりというのはどうだろうと考えてしまうと、護衛やメイドも焦ったように殿下に問いかける。


「殿下城内で広い庭とはいえ、2人っきりには賛成しかねます。」


すると殿下は癇癪を起こしたように、机を叩き怒鳴りつける。


「うるさい!俺様が大丈夫だと言ったら大丈夫なんだ!

呼ぶまで離れて待機しておけ!」


困った様子の護衛たちだが、渋々と距離を取り離れて行った。お茶を飲める雰囲気では無いため、殿下の出方を待つ。


「お前!周りに褒められているからって調子に乗るなよ!」


こちらに指を指しながら怒鳴りつけてくる、何を言われているのか一瞬分からずに思考停止していると


「お前も婚約者である俺の顔を潰して良いと思っているのか!大体女のくせに出しゃばって、いい気になっているんだろ。」


「そんな、私はその様な…」


「出しゃばっているだろうが!母上から褒められているからって、いい気になるなよ。お前が良い点取ると、俺が何も出来ていないみたいに言われてこっちが怒られるんだぞ!」


言われたことに唖然としてしまった。実際に王太子教育の授業には出てはいるが、授業を聞かず出ているだけな所も多かったのだ。なんと答えて良いのか分からずに、オロオロしているとまた殿下が話しだす。


「お前は俺よりいい点は取るな、女のお前には王太子教育も必要ない!妃教育もやりつつ王太子教育をこなしているって周りが褒めるが、妃教育なんてやっても意味の無いもの辞めてしまえ!」


殿下に恥をかかせないように色々無理しつつも頑張っていた結果が、殿下に恥をかかせていたみたいだ。王太子教育も妃教育も講師が時間を作り教えてくれているのがわかっているので、辞めろと言われても困ってしまう。


「どの教育も今後には大切な勉強であって…」


「どいつもこいつも勉強勉強って煩いんだ、そんな事俺様がやる事では無いんだ。お前も婚約者なら勉強なんて辞めて俺様とお茶を飲むだけで良い。」


「しかし…」


「俺様に逆らうのか?婚約者なら俺に逆らうなと言ったであろう。」


婚約した時の約束を思い出した事で、家族を処刑すると言われた時の恐怖を思い出した。恐怖でフルフルと震えて居ると、その様子に満足したのか殿下がふんっと鼻を鳴らした。


「分かれば良いんだ、分かれば。今後王太子教育も妃教育も受けるな。」


その日から王宮で、授業を受けるステファニーの姿を見かけることは無くなった。

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