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番外編:王太子妃は愛称に惑う

パーティーの後起こった出来事で2人の仲が1歩前進したのを嬉しく感じているが、巻き込まれたダグラス様には謝罪をしなければと思いつつ、機会に恵まれないままダグラス様の見送りの前日を迎えていた。

ここまで時間が取れなかった事も含め謝罪をしないとと思って焦っている私に対して、リヒト様は呑気というかどうでもいいと言い切っていて、仲の良さを見せつけられている気持ちになる。


あの日ダグラス様話をに聞いた時も、2人の仲の良さに少し嫉妬した事を思い出す。


その日はダグラス様個人を招いて晩餐を頂く事にして、王宮内にある少人数用の部屋に招いた。


「今宵はお招き感謝する。アル、硬っ苦しい事は抜きとして、今夜は無礼講で良いか?」


部屋には侍女や護衛は居るが、私達2人とダグラス様の3人しか食卓には着かないので、リヒト様も了承を伝えた。


出される料理に舌鼓を打ちつつ、アルコールも少し回ってきたので会話が盛り上がってきた。


「あの堅物だったアルが、惚れた女の前ではこうも変わると思ってもいなかったぞ。ステファニー嬢の前では、本当に別人の様だ。」


「うるさいぞダグラス!変な事ばかりステフに吹き込むのは辞めろ。」


「また怒るか?だがちゃんと感情が出せる様になったのはいい事だ、以前の様に笑顔で躱されるより良い。」


2人の会話から気安さが伺い知れて、見ていて笑みがこぼれる。

さっきまでリヒト様を向いて話していたダグラス様が、こちらを見て気を利かせて話を振ってくる。


「ステファニー嬢の前でもアルは、貼り付けたような笑みで煙に巻いてませんか?」


「リヒト様はいつも表情豊かで、紳士に対応してくださいますよ。」


少し惚気けてしまって、つい照れてしまった。

恥ずかしく思って視線をさまよわせていると、何故か片手で顔を覆って照れているリヒト様まで見えて余計に恥ずかしくなる。


「熱い熱い、2人仲が良い事で。

そう言えば、ステファニー嬢はアルの事リヒトって呼んでいるが、初めてその愛称聞いたが。うちの国に居る時はアルで通してたよな?」


言われてみればアルリヒトという名前なら、簡単に考えれば頭をとってアルと略す事が多いだろう。私は幼い頃リヒト様自身から、リヒトという呼びを聞いていたので深く考えずにそう呼んできていた。

2人の視線に晒されていたリヒト様が、ああと言って話し始めた。


「気がついたら親しい者にはリヒトと呼ばれていたんだが、そちらに行っている時に線引きをして呼び方を変えたんだ。」


聞いたダグラス様は机に手をついて、リヒト様の方に身を乗り出して問いただす。


「ちょっと待て!それって俺は、まるで親しい間柄じゃないって言われているんだが。」


焦って問いただすのが分かっていての余裕なのか、リヒト様は優雅にワイングラスを傾け楽しそうに微笑んでいる。また見た事のないリヒト様の一面が見れて嬉しいが、2人のやり取りについ笑ってしまった。


そりゃ無いよとボヤくダグラス様をからかってるリヒト様はとても生き生きとしていて、深い絆があるから出来る事だと羨ましく思ってしまった。今までもこうして仲を深めてきたんだと、見せつけられてしまった。

2人の気安いやり取りを笑いながら見守りつつ、楽しい時間が過ぎていった。


翌日の見送りの時間もダグラス様がリヒト様にコソコソと耳元で話をして、リヒト様に怒られていた。何を言って怒らせたのかと伺っていると、私と目が合ったリヒト様が一瞬で真っ赤に頬を染めて、口元を隠して横を向いてしまった。

ダグラス様と目が合うと、ニヤリと笑ながら近ずいて来た。


「最初は思い込みで怒鳴ってすまなかった、これからの2人の幸多き日々を祈ってる。

そして次会う時は2人じゃなくて、人数増えてる事も祈っとく!」


言われて内容が分かった時一瞬で真っ赤に頬を染めてしまって、リヒト様がどの様にからかわれたのか身をもって分からされた。


こうしてダグラス様は笑いながら帰路につき、赤くなった2人が残された。



数日後王妃様とのお茶会で、先日の話を話題にした時に意外な事実を聞いた。


「リヒトの愛称は、リヒト自身が選んで決めたのよ。」


リヒト様の愛称の疑問は、王妃様は笑いながら教えてくださった。


「幼い、本当に幼くやっと言葉を理解出来るようになった頃の話なのだけど。リヒトにアルと呼びかけても反応を返さなかったけど、リヒトと呼びかけた時元気よく返事を返してくれて。自己主張が激しいと、お姉様と2人で笑ってしまったのよ。」


懐かしそうに、愛おしそうに笑う王妃様を見て、私もその時の情景を想像して微笑んでしまった。その時の幼いリヒト様は、とても愛らしく可愛かったであろう。

ささやかな日常のひとコマだが、王妃様とリヒト様との強い絆を感じてしまった。

微笑んでいる私を見た王妃様が、笑顔で爆弾を投下してきた。


「幼い頃を思い出したら、あの柔らかい肌が恋しくなるわね。リヒトと仲の良さは聞いているから、早く孫に会いたいわ。」


つい飲んでいた紅茶を噴き出しそうになってしまったが、なんとか飲み込みむせてしまった。

ここでも子供を望まれた事に、むせてなのか照れてなのか分からないまま頬を染めてしまった。向かいに座る王妃様は、楽しそうにこちらを伺って微笑んでいる。


いつか会えるだろう新しい命に、本当にいつか会いたいと思ってしまった。

制作秘話と言うか暴露話w

リヒトという愛称を先に決めてしまった為、名前が中々決まらなくて困ったんです(汗)今では良い思い出です。

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