王太子妃は恋心で戸惑う3
Pv感謝企画の番外編これにて完結です。
本当に皆様に感謝です、本当にアクセス数が凄くてビクビクしてました。
少しでも楽しんでいただけたなら、嬉しいです。
リヒト様に腰を強く引き寄せられたまま歩き、会場に戻り何人かと挨拶を交わしているが、リヒト様の表情は硬く怒っているのが分かる。そんなリヒト様の隣で、私も困惑を表情には出さない様に挨拶を交わしていく。
リヒト様が何に怒っているのかが分からないまま、時間だけは過ぎていきパーティー会場から2人で部屋に戻る時間になった。
リヒト様は侍従と明日の打ち合わせをしながら歩いているが、腰を強く抱かれたままの私は気まずく感じる。大切な話をしているのだから離れようと思うが、離れようとすると手に力を入れて更に強く引き寄せられてしまう。
諦めて横を歩きつつ、リヒト様を怒らせた理由を考える。ダンスを終えた時は機嫌は良かった、私とのダンスの後他の人と踊るのはいつもの事だ。
そしてテラスではもう怒っていた、迎えに来てくれた時点で怒っていたのだから謎である。
部屋の前に到着して侍従と別れて、部屋の中に入りドアを閉めた瞬間ドアに貼り付けられ激しい口付けをされた。
何が起こっているのか把握出来ないまま、激しい口付けに翻弄されていく。上手く呼吸が出来ないまま腰が抜けてしまうと、腰を抱き抱えられてまだ続く。
余りの苦しさにリヒト様の胸を叩くと、ゆっくりと口を離してくれた。やっと呼吸出来る喜びを感じつつ、激しく呼吸をしているとリヒト様が耳元に囁く。
「ダグラスと何話してたの?」
酸欠で朦朧とした意識で聞いた言葉に、咄嗟に答える事が出来ないと更に聞いてきた。
「2人で楽しそうに話してたけど、何を話してたの?」
何を知りたいのか分からないが、少し落ち着いた呼吸を整えて答えた。
「ダグラス様に、リヒト様の事をお聞きしておりました。私の知らないリヒト様の事を聞けて、嬉しくて愛おしくて…。」
耳元で息を飲む音が聞こえた、フッと息が耳にかかりビクッとした瞬間ギュッときつく抱きしめられた。
限度というものがあるだろうに、リヒト様は本当に力強く抱きしめてくれた。余りの苦しさに背中を叩くと、肩に手を置きそっぽを向きながら離れてくれた。
そっとリヒト様を伺うと珍しい事に、真っ赤に染まった顔をしていた。耳たぶまで赤いのを見ていると、目を瞑りかすれた声で「余り見ないで」と訴え、手のひらで口元を隠してしまった。リヒト様は完全に照れてしまった様だ。
ああ、また新たな発見が出来て、どんどんと愛おしさが増えていく。愛おしさが溢れるように笑顔も溢れてしまう、この心を伝えたい。
「また私の知らないリヒト様の一面が見れました、嬉しくって愛おしく思います。」
私の首筋にリヒト様が顔を埋めて、今度は優しく抱きしめてくれた。リヒト様の背中に手を回して、ギュッと抱き返す。
この温もりが幸せの温もりなんだと実感する、これ程誰かを愛おしいと思った事は今まで無かった。
そしてまた新たな一面などを知る度に、こうして愛しさが溢れていくんだろう。
しばらくして落ち着いたのかリヒト様が抱きしめる腕を緩めてきたので、私も力を抜くと額を額につけてきた。
リヒト様は少し視線がさまよっていたが、覚悟を決めたのか真っ直ぐ私を見つめてくる。近さに恥ずかしさを覚えるが、間近に見える綺麗な青い瞳にトクンと心臓が跳ねる。
「俺の我儘で振り回してごめん。」
いきなりの謝罪に対して、何に対しての謝罪か分からなくてキョトンとしてしまう。
「さっきのパーティーでの私の態度だ。
ステフがダグラスと笑っているのが見えて、余裕を無くしてた。」
さっきまで怒っていたのはこの事だったんだと、独り納得してしまう。
「何をしてしまったのかと、心配になったんですよ。」
少し拗ねた様に訴えると、リヒト様は眉毛を少し下げて困り顔でごめんと告げてくる。
「私は愚かだな、やっとステフと思いが通じると欲張りになってしまった。君の笑顔を独り占めにしたい、誰にも見せたくないんだ。
情けないところを見せてしまったが、こんな私の事は嫌いだろうか?」
自信なさげに告げるリヒト様が、何故か可愛く見えてしまった。普段頼もしく私を導いてくれるリヒト様も好きだが、こうして弱さを見せてくれるリヒト様も好きだなと思う。
「嫌いになんてなれませんよ。こうして私だけに見せてくれる表情が特別な気がして、またリヒト様の事をもっと好きになりました。」
素直な気持ちを告げると、何故かリヒト様は泣きそうな表情で笑ってる。何を不安に思っているんだろうか、この愛おしい人の不安を取り除いてあげたい。
リヒト様の頬に両手で触れて、コツンと額をぶつけて目線を合わせて話す。
「私はずっとリヒト様の傍で、笑って生きていたいです。なのでこれからの人生を過ごす為には、思っている事やして欲しい事をお互いに伝えていきましょう。」
ニコッと微笑んで見つめると、泣きそうな表情だが目尻を下げて微笑むリヒト様の笑顔が見えた。
「リヒト様大好きです、これからもずっと愛してます。」
「私もステフの事を狂おしい位に愛しているよ、もう君を離してあげられない。」
「離さなくて良いです、ずっと隣りに居ます。
リヒト様が逃げようとしても、私がギュッと捕まえて逃がしませんよ。」
お互いに笑いがこぼれて、2人でクスクスと笑い合う。
この愛しさが少しでもリヒト様に伝わって、不安が減ると良いなと思う。
いつまでも2人で笑い合える日々が続いて、この愛おしい愛が永遠に続きますように。
もう数話ほど短編を書きたいなと思っています
誤字脱字変換ミスがありましたら、ご連絡よろしくお願いします。