幼女は恐怖に震える
初めましての方もお久しぶりですの方も閲覧ありがとうございます!
婚約破棄物書きたくてリハビリがてら書いた作品ですが、前の更新止まってんのに何なってんだって感じですみません。
私は幸せ者だと思う、何時も温かい日常が溢れている。
私はエルメシア王国の侯爵家の長女に生まれた、この前5歳の誕生日を迎えお茶会への参加を楽しみにしている普通の女の子だ。
家は侯爵で責任ある立場なのだと何となくしか分からないけど、特別なんてない普通の一家で毎日温かく平穏な日々を過ごしていた。
仕事が忙しいのに遊んでくれる父様に、怒らせたら怖いけど優しい母様。そして何時もからかってきて、たまに泣かされるけど面倒みの良い兄様。屋敷の使用人も笑顔で見守っていてくれる、温かい日常が大好き。
寝る前に聞く母様のお話も好きな時間、母様と父様がどうして結婚したのかを面白く語ってくれる。
そうして何時も「あなたも素敵な人と出会って、素敵な結婚をして温かい家族を作れるわ。」って言ってくれる。
いつかそんな幸せな家庭を持つのを夢見ている、本当に平凡な女の子だった…
あの話が持ち込まれるまでは…
私に第2王子との婚約話が来た、突然の知らせに家中パニックが起る。
会ったことも見たこともないが、噂では金の髪に緑の瞳で絵本に出てくる王子様みたいらしい。そんな素敵な人なら会ってみたいなと軽く考えて浮かれていたけど、家族は違う反応をしている。
王家からの申し出で断ることは出来ないと父様が悔しそうに言った、母様は私を抱きしめて「好きな人と結婚させてあげれなくてごめんなさい。」と泣いた。
その状況になって自分の小さな夢が叶わなくなったのが分かった、だけど父様や母様には笑って欲しくて「素敵!王子様と一緒になれるなんて、私は本当に幸せですね。」と嬉しそうに振舞ってみた。
ちょっと不安そうにしていた両親だったが、楽しそうにしている私を見てほっとしたようだ。
その晩ベッドの中で、小さい時からの小さな夢にお別れした。
そして今度会う王子様を想像したり、王子様と一緒に幸せで温かい家族を作れるように願いながら眠りについた。
また平穏な日々が戻ってきて、婚約者との初顔合わせのお茶会になった。
両親と一緒に馬車で訪れたお城は大きくて綺麗で、本当に絵本の中に紛れ込んだのかと思うほど素晴らしい場所だった。
そうなると王子様も絵本の様に素敵な人なんだろうと、期待をしてしまっていく。
案内された庭は綺麗な花が一面に咲き誇り良い香りを運んでくる。
少し先にある東屋で国王陛下達の訪れを待つ間、色とりどりの庭を見回し夢みたいだと興奮してしまう。
陛下達が到着されて軽い挨拶を交わし、両親に挟まれた状態でお茶会の時間になる。
目の前には第2王子のバルガス様が少し不機嫌そうな表情で座っているが、本当に絵本から抜け出して来たのではと疑うほど絵本の王子様みたいにキラキラしていて素敵な人だった。
親同士話が進んでいるけど難しい話は分からないので、お茶を飲みつつ王子様を見たり景色を見ていた。
ふとした瞬間王子様と目が合った時、キリッと睨まれた気がしたけど直ぐに横を向いてしまう。
何か王子様の嫌がることしたのかと不安になってきた時、両親と陛下夫妻が「子供だけで話してみなさい。」と東屋から出ていってしまった。
まさか2人っきりにされるとは思ってなかったので、慌ててしまい泣きそうになる。改めて挨拶しないとと思い、椅子から降りて軽くスカートを摘み自己紹介を始めた。
「初めましてリデル侯爵家のステファニーです、これからよろしくお願いします。」
挨拶が出来てほっとしつつ、王子様の方を見てニッコリと微笑んでみた。こちらの反応を見て余計に不機嫌そうになった王子が怒鳴る。
「名前など先程の挨拶で聞いた!お前俺様の婚約者になったからと喜ぶなよ、お前みたいななんの取り柄もなさそうな奴が婚約者だなんて恥でしか無い。」
なにをどう反応を返すのがいいのか分からず、泣きそうになる。
王家からの申し出じゃなかったのだろうか、どうすればいいのかとオロオロしていると指をさしつつ反り返り王子が言い切る。
「俺様の婚約者になれて光栄だろう、婚約者になれたお前はこれからずっと俺様の言うことを聞くんだ。」
はあと言葉が漏れてしまったが、どうしていいか分からず王子の言葉を待つ。
「もし命令を無視したり逆らったら、王家に楯突いた罪でお前の家族全部処刑してやる!」
私が王子様の命令を聞かないと皆が死んでしまう、なんとか耐えていた涙がこぼれ落ち嗚咽が出始める。
この場で泣かせたことがマズいと感じたのか王子が言い放つ。
「このことは誰にも言うな!言ったらお前の家族処刑してやる。」
悲しさと自分の行動で家族皆んな殺されてしまうかもしてない恐怖で、私は自分を抱きしめて恐怖で震えていた。喉の奥に何か詰まったように感じる、出ない声で誓った。
「私は王子様に逆らいません、約束も必ず守ります。」
その言葉に満足したのかふんと鼻を鳴らし王子は庭を出ていった、その場に残された私は泣きながら王子に誓った言葉を忘れないように心に決めた。
戻って来た両親や陛下夫妻は泣いている私を見て慌ててたが、王子に言われた内容や約束については話さず泣き止むまで父様に抱っこされて宥めてもらった。いきなり親に置いていかれてビックリして寂しかったのかなと、親たちが話しているのが聞こえたが泣き止むと疲れからか寝てしまった。
こうして私ステファニー・リデラ侯爵令嬢は、第2王子バルガス様の婚約者になった。
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