バンカーの面汚し浦島
親会社での不始末を押し付けられた挙げ句、子会社へ出向を命じられた浦島太郎は、この日、趣味である釣りへと出掛けていた。
「……ん? あそこに居るのは…………」
浦島が目にしたのは、都内でも有数の大企業『リュウグウ』の課長でもあるカメと、見知らぬ子ども達の密会であった。
カメが子ども達へ怪しげな封筒を渡すと、子ども達はそそくさとその場を後にし、カメは暫しその場で項垂れていた。
「あのー……」
「?」
浦島太郎は名刺を取り出し挨拶をした。
「東京中央太郎の浦島です。以前リュウグウで一目お見かけ致しまして」
「そ、そうでしたか……」
カメはソワソワとあからさまに態度が怪しく、浦島はカメを逃がさぬように、海を背に退路を塞いだ。
「ところで……今の子ども達は?」
「へっ!? な、何でもありませんよ……」
「何やら封筒を渡していたように見えましたが?」
「き、君には関係ない!!」
カメが声を荒げたが、浦島は臆すること無く、鞄から一つの書類を取り出した。
「以前、そちらの財務状況を調査した際に、面白いデータが見付かりました。社長である乙姫氏が使う接待費と名の付いた多額の経費が、一定の期間を空けて、等間隔に上げられているのです」
「──!!」
「そして、その乙姫氏の経費を審査したのは……カメ。貴方です。ココに判子が捺してあります」
「審査は問題無く行われた! 正常に使われた経費だ……!!」
「この書類には続きが御座います、ご覧下さい」
浦島が書類を捲ると、そこには通帳のコピーがあり、なんとこれまた一定の期間を空けて等間隔に、乙姫の口座へと入金が行われていたのだった!
「コレを見れば明らかだ!! 乙姫氏は架空の経費を献上し、その一部を貴方が外部へ委託し、なんやかんやで乙姫氏の口座へと入る……大手の企業であるリュウグウも地に落ちたもんですね!!」
──バン!!
浦島が書類を盛大に叩くと、カメは観念し、事の真相を浦島へと話し始めた。
「申し訳ない!! 申し訳ない!!」
顔を歪ませ卵を産むとき以上に涙をこぼすカメ。そして浦島は社長、乙姫との直接対決へ挑むべく、カメの背中に乗りリュウグウを目指した!
「ようこそリュウグウへ。お噂は兼々……」
社長である乙姫自らが浦島を出迎えた。乙姫は浦島を手込めにしようと、酒やご馳走、そして女を宛がった。
「…………」
シースルーのワンピースを着た女達が浦島を取り囲み、ひたすらに酒の相手をした。
「リュウグウ最高ゥゥ!!」
浦島は堕ちた…………。
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(*´д`*)