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この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

駅のレストラン

作者: プププ

 私は美食家だ。


【美味しくて食べすぎてしまう駅のレストラン】と

いう記事を見つけた。


 私は美味しいものが好きなので、その場所へ向か

う。


 歩いて駅に到着したが、この駅は変な駅だ。


 道中に沢山の救急車が道路を行交いして、駅へ近

づくほど救急車の数が増える。


 駅の前に到着すると、救急隊が妊婦のようなお腹

をした女性を、救急車に運んでいくのを見た。


(子供が産まれそうな妊婦でも食べにくるのか?)


 私は妊婦が救急車に乗るのを見て、それほど美味

しい店なのかと期待を膨らませる。


 ICカードで駅の改札口を通り過ぎて、階段を上

った。


 この駅は細長いホームを分断するように、レスト

ランが建っていて、改札口を出て階段を上ると、レ

ストランの入り口がある。


 レストランの入口付近に【必ずレストランに入っ

たら料理を食べないといけない】と注意書きがあっ

た。


 レストランの入り口から見て、右側にはホームへ

向かうための入り口があり、左側にはホームからレ

ストランへ戻れる扉がある。


 どちらも矢印に一方通行と書いてあった、


 店の客はほとんど妊婦だ。


 私は空いている席を探して椅子に座り、メニュー

を見る。


 カレーライスしか書いてなくて、仕方なくカレー

ライスを注文した。


 店員はサキュバスのようなコスプレをしている。


(食べ過ぎてしまうほど美味しい料理とはどういう

ものなのか? それと、コスプレをした店員達は可

愛いな)


 私は涎を垂らしながら、妄想を膨らませて待つ。


 注文してから1分で料理が出されると、私はスプ

ーンを取ってカレーを食べ始める。


「うまぁい」


(けど、食べすぎるほどの物ではない)


 私はカレーを食べ終わると、入った駅からはおり

られないので、次の駅へ向かうことにした。


 電車に乗り、あっという間に、次の駅に到着する

と、さっきまでいた駅と同じレストランがある。


 私はレストランを通って出口に出ようとするが、

ICカードがエラーを起こして出られない。


(なぜだ!)


 私はさらに次の駅で降りようと、レストランでカ

レーライスを注文して、美味しくいただいてから、

電車に乗る。


 次の駅に着いたはずなのに機械が故障しているの

かICカードが使えない。


 それから、私は10回レストランに訪れて、お腹

がいっぱいになり、お腹が少しだけ膨らんできた。


 私は出られるまで駅のレストランでカレーライス

を食べる。


 私のお腹が悲鳴をあげて苦しくなると、周りの妊

婦と同じお腹になっていた。


 お腹を押さえながら、次のレストランに行って、

食べてしまう。


(これは食べすぎるレストランだな……もう動けな

い)


 私は立っていることすら苦痛になり、仰向けで倒

れると、肺などの臓器が膨らんだお腹に押しつぶさ

れて、息が苦しくなる。


 私の体は痙攣して、口の中が泡で満たされると、

私は息を吸えなくなって意識を失った。


 目が覚めると、私は知らないベッドで寝ている。


(さっきのは夢だ)


 私の脳は夢だと思いたいが、自分のお腹が妊婦の

ようになっていた。


 私は変化した体に現実だと教え込まれる。


 白衣を着たお姉さんがやってきて、私に入場券や

駅の事を説明した。


 電車の線路は駅を一周するように作れているらし

いが、駅の入場券という言葉は初耳だ。


「入場券なんだそれは?」


 医者に説明を受けて、持っていた雑誌の注意書き

を見ると、【駅は一つしかないので、入場券を買っ

てください。ICカードで間違えて入ったら大変な

ことになります】と書かれている。


 私は【美味しくて食べすぎてしまう駅のレストラ

ン】という記事の注意書きを見落としていたのだ。


「お腹はいつ戻りますか?」


 私はお腹を擦りながら医者に訊くと、子供を産む

までと返ってきた。


「はぁ?」


 医者の話によれば、レストランの店員は異世界か

ら来た本物のサキュバスで、サキュバスが作った料

理を沢山食べると、私達の体はサキュバスの料理に

汚染されるらしい。


 汚染された体は料理を作ったサキュバスの子供を

宿す。


 宿してから1日経つと、子供が自力でお腹から出

てくる。


 1回子供を産むと母体の寿命が減って、次の産ま

れる時間が10分ずつ早くなり、産んだ直後に新し

いサキュバスの子供を宿すと医者に言われた。


「10分ってことは産まれる間隔が0になったらど

うなりますか?」


 私は不安になって訊くと、寿命が尽きるまでサキ

ュバスが増えることを知る。


 寿命が尽きると、意識だけがなくなり、体は若さ

を保ったままサキュバスを産み続けて、産んだサキ

ュバスに意識が移ると言われた。


 産まれたサキュバスはカレーライスの具材になっ

ているらしい。


 食べ物で後悔したのは美食家になってから初めて

で、私は泣く準備をした。


(もうだめだぁ)


 お腹が痛くなってきたのでうずくまり、お腹を押

さえていると、自分の下から鳴き声がする。


 声を聞いた瞬間にお腹の痛みが消えて、私は声の

主を見た。


 私に似た可愛い姿で、生まれたばかりなのにサキ

ュバスのコスプレをしている。


 子供ができたことで母性が芽生えると、私は嬉し

くなって優しく抱きしめた。


「カレーの具材にしないから」


 生まれたばかりのサキュバスに私は宣言すると、

医者が私の子供を奪い取る。


「私の子を返せー!」


 私が医者に襲い掛かると、医者は注射器を出して

注射針を私に刺した。


 私の体はさっき産んだばかりなのに、今すぐに新

しい子供が産まれそうになる。


「くるしぃ……助けて……」


 医者の説明では注入された薬は、子供を宿したら

すぐに産む効果があるらしい。


 私の体はさっき産んだばかりなので、10分早く

なると0になる。


 お腹が膨らむと、仰向けに倒れて、子供が沢山生

まれた。


 私の寿命が尽きた時に、生まれた混血サキュバス

は、抜け殻なので私の魂が入る。


 新しい肉体を手に入れた私は医者に連れて行かれ

て、レストランの厨房に運ばれた。


 私の子供は肉に変わり、私は鍋に入れられて、ぬ

るいお湯で出汁を取られている。


 料理長のサキュバスにキスをされると、頭がボー

っとして嬉しくなり、鍋の中で粗相をした。


 鍋の色が変わると、サキュバスは私の口に液体を

流して、液体の効果で私の粗相は止まらなくなる。


 体の水分を強制的に排出させられて、私は意識を

失った。


 目が覚めると、サキュバスに体を洗われて、私の

新しい体と同じぐらいの子供達が、浴槽に入ってい

る。


 目は見えるけど、見る場所は固定されて、感覚は

感じ取れるが、体を動かすことができない。


 今の私はぬいぐるみと同じだ。


 私は沢山のちびっこサキュバスがゴミ箱に入って

いるの見た。


 可愛がられ、出汁を取られて、飽きたら捨てられ

る。


(どうか、捨てられませんように……)


 私は天に願う。


 毎日サキュバスとキスをして、出汁を取られてい

ると、ゴミ箱に入る時が来た。


 私はゴミ箱に捨てられて、次々と使えなくなった

出汁用サキュバスが入ってくる。


 私の体はサキュバスに埋もれ、他のサキュバスと

触れ合うことで、体と心が温まった。


 入っているゴミ箱がいっぱいになると、別の場所

に運ばれる。


 私は運ばれている時に眠ってしまう。


 目を覚ますと、体は自由に動いて、鏡が目の前に

置いてあり、人形のような服を着ていた。


 私の体は小さい人形のような大きさだ。


 私は自由になったことを喜び、狭くて壁と天井が

鏡になっている部屋を動き回った。


 私が動き回ると、誰かが数字を叫び始める。


 鈴の音がなると、天井が取れて大きな手が私を掴

む。


 数字は私の値段だった。


 私は大きなサキュバスにキスをされて、頭の中が

幸せになり、サキュバスが口を開けて私を飲み込ん

だ。


 胃に直送されると、私の体は胃の壁に包まれる。


 サキュバスの胃には倉庫の機能があり、私の体は

永久保存されて、意識が別の場所に移された。


 私はサキュバスの胎内で自分を食べたサキュバス

から栄養を貰い、胎内にある体が育っていく。


 数分後、サキュバスの中から私が産まれて、私は

純血の体を手に入れる。


(繋がってる。サキュバスの子供になっちゃった)


 サキュバスの胎内と私の臍を繋ぐ緒を見て、現実

を受け入れた。


 サキュバスの力を手に入れると、2体の私と今の

私は感覚を共有される。


 私の体だった2体は抜け殻になっていて、快感だ

けを感じ取り、私の体に幸せ信号を送信していた。


 外に出してもらえなくて、日付もわからない、私

は生まれ変わった日も知らないのだが、かなりの時

間が経過していることだけはわかる。


 私を買ってくれたご主人さまと二人暮らしで、今

の私はご主人様の子供兼愛玩ペットとして、可愛が

られているから幸せだ。


 私のご飯はご主人さまの唾液で、それ以外を口に

すると不味くて吐き出してしまう。


 ご主人様の唾液は私がこれまで食べてきた中で、

一番美味しい。


 それが美食家だった私の唯一の救いだ。

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