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神殺し  作者: 雷禅 神衣
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アナザー・ストーリー〜エピソード5「聖魔刀が呼びし男、バーサーカー羅刹」

「ぐはっ!!」

「上村道場も話にならへんな〜こんなザコばかりが門下生じゃその名が廃るで」

大阪府にある有名道場「上村道場」に突如として現れた「道場破り」は

この道場の主である上村を意図も簡単にねじ伏せた。

「き、貴様・・・・」

「なんや、まだやるんか?止めたほうがええで。ワイが本気になったらあんさんの首、チョイや」

焔 羅刹、この道場破りの名は大阪では有名だった。関西に存在する8つを道場が羅刹の手によって破壊され

その看板を持って行かれている。いずれの主は皆大怪我を負わされた挙句に金目のものは強奪されていた。

羅刹は上村を見下しながら首を掻っ切るポーズを取った。

「ほんなら看板持って行くさかいな。ケケケ、これで9つ目や」

上村は黙って見ているしかなかった。師範代である自分が負けたのである。目の前には門下生が何人も居る。

そんな場で見苦しい事など出来るはずもなかった。

「それからこの刀貰って行くで。道場には必ずある言う真剣♪もうワイご機嫌や」

主の座っている椅子の後ろに日本刀が携えてある。羅刹はそれを手に取ると鞘を抜いた。

「お前は刀狂か?」

上村が言った。

「ワイ?そうやで。刀がごっつ好きやねん。人を斬るのはもっと好きやねんけど」

羅刹がそういった瞬間、門下生たちが身を引いた。

「これで真剣は9つめや。見てみい、この美しさ。最高やな」

「刀ごときで満足するために道場破りか。なるほどな」

「な〜んや、その言い方。ごっつムカつくな」

羅刹は真剣を持ったまま上村に詰め寄った。そして左手で胸倉を掴み、軽々と持ち上げた。

「お前、負けといて何抜かすねん。偉そうやないか」

「ふ、ふん!所詮人を斬って楽しむだけの狂人なのだろう?」

「せやから何が言いたいねん。あんまナメた事抜かすようならコロスで!」

「お前は確かに強い。だが刀だけに魅了された人間など所詮それまで。いくらお前のような男でもあの刀は手に負えないだろうと思ってな」

「あの刀?なんやそれ」

「聖魔刀・・・・」

「セイマトウ?」

「日本古来より伝わる鋼鉄と、西洋より伝わった聖剣の素材になっているオリハルコンを融合させた聖なる刀。

かのナポレオンやルイ14世ですら扱う事のできなかった伝説の名刀だ」

「ほほう〜」

「その切れ味は日本刀を軽く凌駕する。だが同時に魔を秘めた魔剣でもある」

「興味ある話やな〜何処にあんねん」

「ここ関西にある篭手ヶ裏山脈の奥深く。魔の岩と呼ばれる岩ノ下に、聖魔刀へと続く洞窟がある」

「ほうほう、そうかい」

「うわ!」

羅刹は上村を手放すと歩き出した。どうやら興味を引いたようだ。

「せや、忘れとったで」

羅刹はそう言うと引き返した。そして上村の頭上で刀を大きく振り上げた。

「ええ事教えてもろうたお礼や、その身を持ってじっくり味わえ」

「や、止めろ!!ぐはああっ!!」

刀は垂直に振り下ろされ、上村の身体を縦に切り裂き、真っ二つに割れた。

夥しい鮮血が飛び散る。

「ひ、人殺しだ!!」

「うわああああっ!」

門下生たちが逃げ惑う。

「ケケケ、聖魔刀か。待ってろ、今ワイが取りに行くさかい」


篭手ヶ裏山脈、通称「天狗山」

その昔天狗が舞い降りた山脈として崇められ、今でも多くの登山家たちが訪れている。

山頂には天狗の銅像が立てられており、周囲の美しい情景を見守っている。

敏捷性に長けている羅刹にとって登る事は容易だった。だが魔の岩を破壊し、洞窟を発見するまではかなりの時間を要した。

何せ魔の岩が思いのほか丈夫で、羅刹の抜刀を持ってしても破壊する事ができなかったのだ。

仕方なく羅刹は抜刀の際に巻き起こる衝撃で徐々に岩を移動させた。

そして上村が言ったとおり、岩の下から洞窟が現れた。

「けったいな場所や。汚れてまうやないか」

ブツブツと愚痴をこぼしながら羅刹は最下層まで降りた。

地上から約30メートル。ようやく下まで降り立つと羅刹は異様な魔の妖気を感じ取った。

洞窟はまさにトラップの山だった。至るところに罠が仕掛けられており侵入者を拒んでいる。

それでも羅刹はなんとか行き止まりの場所まで辿り着くと、その場で目を見張った。

「こりゃ・・・天狗やんけ」

そこには氷漬けにされた天狗が立っていた。一体どのようにして凍っているのかは不明だが

腐敗せずにそのままの形で残っている。その天狗の手に禍々しい刀が握られていた。

「あれやな、聖魔刀とか言う刀は」

そう言うと羅刹は持参した日本刀を勢い良く振り上げ、氷ごと斬り裁いた。

氷漬けになっていた天狗が嫌な音を立て地面に倒れると「カラン」と言う音が響き、羅刹の足元に聖魔刀が転がった。

「ん?なんやこれ」

そこには一枚の紙切れがあった。

「古より伝わりし魔剣。扱えるものなら扱ってみろ・・・・やと?偉そうなこっちゃ」

まるで馬鹿にしたように聖魔刀を拾い上げ、鞘を抜いたときだった。

「なんや・・・」

抜き取った刃と共に、封印されていた闇の力が解放された。

「うおおおっ!!」

天を舞った闇の力は結集し、頭上から羅刹の身体に入り込む。

「うがああああああっ!!な、なんやこの疼きは・・・」

闇の力が侵入すると、羅刹の身体は変化を始めた。

全身に至る筋肉が膨張し、体格が一回り大きくなる。白目は真っ赤に染まり、自分でも抑えの利かない力が溢れ出る。

「これが、闇の・・・魔剣の本性か・・・!!」

聖魔刀とは文字通り魔を秘めた聖なる刀。その魔こそがバーサーカーの力であり

バーサーカーの力を取り込むことの出来ない人間は、魔の力に圧死してしまうのだ。

刀はあくまで表面的な武器に過ぎず、その本性は刀ではなくバーサーカーの力に有る。それが聖魔刀の全てである。

「か、かああああああっ!!ぐがががが・・・」

凄まじい激痛とドス黒い闇が心に広がる。

羅刹は倒れ、地面でのた打ち回った。

激痛と闇はその後四ヶ月続き、羅刹はたった一人で四ヶ月もの間、この洞窟で際悩まされたのである・・・。

助けてくれるものなど誰も居ない。孤独な洞窟で。


一年後・・・・。


「ここが魔界の入り口やな。あの組長、けったいな説明しかせえへんから迷ったやないか」

羅刹の腰には聖魔刀が携えられている。

「ワイの実力、それに聖魔刀の威力を試すには打ってつけの場所や。

神殺しのウル、その首はワイが取る!?」


この年、羅刹は魔界に侵入。そしてその魔界でウルたちと出会い

ゲノムとの壮絶な死闘を繰り広げる運命が待っていた。


END





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