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神殺し  作者: 雷禅 神衣
13/41

13.〜青天の霹靂?〜

「アタタタ、痛いで、由佳タン!もっと優しくせな〜」

「何言ってんのよ、男のくせにだらしない」

「せ、せやかて、めちゃ痛いねんで」

「我慢しなさい、介抱されてるだけでもありがたいと思ってよね」

「あかん、あのフードヤローどもには勝てても、由佳タンには勝てそうにないわ」

「あのさ、その由佳タンっての止めなさい。普通に由佳で良いから」

「ええ〜そんな呼び捨て〜♪ワイらそんな関係になるんやな〜」

由佳は何も言わず黙ってゲンコツを羅刹の後頭部にぶちかました。

「アタタタ!!ジョ、ジョークやねん、イッツ・ジョークや」

寝そべり、由佳に介抱されながら羅刹は冗談を言った。

「せや、なんでワイの事助けてくれるん?」

羅刹にはフードを着た男たちを倒した後の記憶がなかった。

魔矢との死闘で既に重症だった羅刹だったが、ウルが連れて来たNo,4のフードたちは何とか撃退できたのだ。

その後で気絶したのだろう。ほとんど記憶が残っていなかった。

「貴方があの連中を倒した後、ウルと魔矢が紅君を連れて戻ってきたのよ」

「なんやてっ!、戻ってきたんかい!」

「そう。介抱してやれって言ったのは魔矢なのよ」

「なにぃ!ますますよう分からん連中やな、敵を助けるってどないやねん」

「そうそう、魔矢から言伝があるの」

「な、なんや!!」

「お前とのケリは必ずつける。それまで誰にも殺されるなよ・・・だってさ」

「ごっつムカつくわ!!あんのヤロー、間違いなくワイの方が有利やったで」

「そうでもなかったじゃない。貴方だって限界に近かったでしょ」

「そ、そやけど、まあなんちゅうか、もうええわい」

「フフ」

羅刹は横たわっているから見えなかったが、きっと笑った由佳の顔は可愛かったに違いない。

羅刹は勝手にそう思った。

「良い勝負だったとは思うけどね」

「次は必ずワイが勝つでぇ!関西人は冗談言うても嘘は言わへん」

「だと良いけど。まあ例え魔矢に勝てたとしても、紅君には無理ね」

「紅君?そういやウルってやつもそんな名前口にしとったな」

「矢吹 紅。ここ魔界でNo,2の実力者。見た目はそんな風には見えないんだけど」

由佳は苦笑いを浮かべた。

「魔矢がNo,3で紅がNo,2ってこたぁ、紅は魔矢より強い言う事か?」

「そうよ。で、その上がウル」

羅刹は魔矢との死闘を思い出した。羅刹は今まであれほど手強い相手と戦ったのは初めてである。

無敗だった羅刹が初めて敗北を身近に感じた相手だ。その魔矢よりも強い紅とは一体・・・。

そしてあの神殺しウルである。ウルと拳を交わしたのはほんのわずかな時間だけだったが

羅刹は本能的に感じ取っていた「コイツはあかん」と。

ある程度の強さを誇る人間なら、自分よりも強い相手を前にしたとき、本能が危険信号を送るものだ。

その危険信号がほぼマックスに近い状態で羅刹の本能に走った。

認めたくは無いが、とてもじゃないが太刀打ちできる相手とは思えない危険信号。それをウルから感じていた。

「一体どんなヤツなんやろか・・・・」

「凄く可愛い感じの子よ」

「か、かわええ!?なんや魔界のNo,2はかわええのかいな!」

「ええ、きっと会ったらビックリするわよ。はい、これで終わり」

どうやら傷の手当てが終わったらしい。由佳の手が羅刹の身体から離れた。

「おおきに!ホンマ助かったわ」

「良いよ、これくらいしか出来ないしね」

「ところでちょっと頼みがあるねんけど・・・」

「なに?」

「なんか食わせてくれへん?ホンマは何か食べよう思て由佳ちゃんの店入ったんや。

あかん、もうワイ餓死ししそうやわ・・・」

「まったく、何から何まで世話が焼けるわね」


由佳が下に降りて行ったのを追うようにして、羅刹も下の階にある店に下りた。

「ほへぇ〜魔界には似合わないほど綺麗な店やな〜」

当然客はいない。羅刹を介抱するために由佳は一時的に店を閉めているのだ。

入り口のドアにはcloseと書かれた立て札が下がっている。

「ちょっと大丈夫なの?まだ横になっていたほうが」

厨房から由佳が顔を出してそう言った。

「大丈夫や、寝てるほうが身体に悪い気がするねん」

「じっとしていられないタイプ?」

「どっちか言うたらそうやな」

すると由佳が「ふ〜ん」と言いながら出てきた。手には皿が乗っており、北京ダックとライスがある。

「うはぁ〜!これやこれ!店の前のオススメに北京ダック書いてあったからな」

「まあ今日のオススメと言う事で」

「治療してくれた事に感謝しつつ、いただきまっせ!!」

「どうぞ」

よほど腹が減っていたのだろう。羅刹はガツガツ食べ始め、瞬く間に平らげてしまった。

「ウマイ!?こりゃええ嫁さんになるで!どや?ワイの嫁にならんへん?」

「イヤ」

「そんなぁ〜真正面から否定せんでもええやんか〜」

「アハハハ・・・・ところで御代払えるんでしょうね?」

「へっ?」

「へっ?じゃないわよ。お金!北京ダックとライス代、あんたまさか・・・・」

「ああ、御代な、そ、そりゃ払えるで、待ってろ。確かここに・・・・」

羅刹のポケットから出てきたのは100円玉のみだった。

「あ、あかん・・・ワイ、文無しや・・・」

「良い度胸ね、あんた!!」

由佳が両手の骨をボキボキ鳴らしている。

「いや、違うねん!つうか、魔界でも金払うんかいな。ワイは知らんくて、その・・・」

「この食い逃げ男!!」

「わ、わあああ!!!ちゃうで!ワイ逃げてへんよ!!」

拳を振り上げた由佳が襲い掛かる。

「か、勘弁してぇな〜」


無一文だった羅刹はこの後由佳のもう攻撃に合い、ふんだりけったりだった。

勿論、由佳も本気で攻撃したわけではなく、おふざけが半分と言う感じではあった。

とは言うもののこのまま帰すわけにも行かず、羅刹は由佳の命令で店の手伝いをする事になった。

ひとまず羅刹は由佳の店の隣にあるボロアパートを占拠し、定住をどうにか確保した。

「手伝えばそれなりのアルバイト代は払ってあげる」

そんな由佳の優しい一言にすがりつく形になったわけだが・・。

さすがの聖魔剣士、バーサーカー羅刹でも、由佳には勝てない様子である。


「いらっしゃいませ」

「やあ!」

「あら、久しぶりね」

「おっひさ〜由佳さん。調子はどう?」

「悪くないわ。魔矢とウルは?」

「また出掛けてるんだよ、仕事だって言ってた、僕暇になっちゃてさ」

「そうなの、何か食べる?」

「うん、オススメの北京ダック頂戴!」

「は〜い」

「ああああっ!!お兄さんもう動けるの!?」

「ああ〜ん、なんやこのかわええガキは!」

そこにはスーパー童顔の少年がいた。背も低くまるで学生のようである。

「あれだけ負傷してもう動けるんだ♪凄いな〜」

「魔界ってんはよう分からんな。綺麗な店に綺麗な女、それにかわええ少年までおる。

ますます理解できへん世界になってきてもうた」

「そう?結構単純な世界だと思うけど」

「そうかい・・・ってなんでやねん!?」

「アハハハ、面白い♪関西弁!なんでやねん」

「こ、このガキャ、ワイのことバカにしとるな」

「アハハ、ウケる!関西弁♪」

「このヤロ、関西バカにするなや!関西人は怒るとごっつ怖いで!」

「女に弱いの間違いでしょ?」

横から由佳が突っ込んだ。

「そりゃ、男たるもん、女には弱いんや。つうか、お前誰や!?なんでワイの事知っとる!?」

「僕?僕は矢吹紅。魔矢とウルの仲間だよ〜ん♪焔 羅刹さんでしょ?」

「な、なにっ!?こ、こいつが紅・・!?・・」

「ね?やっぱりビックリしたでしょ?」

由佳が苦笑いで言った。

「お前か!魔界No,2言うのはっ!」

「そうだよ」

「いや、そんなあっけらかんとそうだよ言われてもやな・・・なんや、ホンマにNo,2か?

どっからどう見てもガキにしか見えへんのやけどな〜」

「まあまあいつか闘うときが来れば分かる事だよ」

紅がニッコリと微笑みながらそう言った。


「はあ・・・なんだかよう分からん世界や。こういうのを青天の霹靂って言うんやろうな〜」


羅刹が魔界を理解する日は本当に来るのだろうか・・・


やれやれである。


END

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