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神殺し  作者: 雷禅 神衣
12/41

12.〜三つ巴の死闘〜

金属音の交じり合う音、そして鳴り止まない銃声。

地上を駆け回る音は、既に3時間以上も続いている。

「くそっ!」

魔矢はオリハルコン・オロチを休む事なく使い続け、既に疲労はピークに達している。

「ちょこまかと素早いヤツだ」

マシンガン、バズーカ、ライフル、マグナム。もはや有りとあらゆる銃撃を行なっているが

決定的なダメージを得るには至っていない。羅刹も無傷ではないが負傷はしている。

だが致命的な攻撃を与えられないと言う事実は、魔矢にとって大きな不覚であり予想外の出来事だった。


しかしそれは羅刹に取っても同じである。

自慢の聖魔刀だが、魔矢に決定的なダメージを与える事は出来ていない。

いつも寸でのところで交わされ、そのわずかな隙に魔矢の砲弾が飛んでくる。

無論全てを交わすことは不可能で、羅刹は数発の直撃を受けている。

致命傷を避ける形だからまだ動けるが、体力にも限界と言うものがある。


物陰に隠れて銃弾を補充しながら魔矢は羅刹の動きを目で追った。

「冗談じゃない、魔界No,3の俺がこのザマとはな・・・認めたくは無いが、あの羅刹とか言う男

相当な強さだ。この俺が明らかに圧されてる」

だがその羅刹も魔矢に対しては同じような事を思っていた。

「チッ!魔界No,3かい、確かにめちゃ強いわ。あかんで、このまま持久戦にもつれ込んだら不利や。

せやかて迂闊に飛び込んだらアウトやしな。魔界か、あの組長はんの言っていた事は本当やった。

No,3でこの鬼神の強さやったら、2と1はどんだけ強い言うねん」

羅刹は肩の傷を拭いながら魔矢に近づいた。

「よう、金属男。そろそろケリ付けようや」

「そうだな、いい加減飽きてきたぜ」

「行くで。この一撃でキメたるさかい」

そう言うと羅刹は信じられない高さまで跳躍し、持っていた聖魔刀を振り上げた。

「冥土の土産に見せたるわ。これが聖魔刀の奥義、形無し夢幻陣!?」

そう叫ぶと羅刹は聖魔刀を自分よりも更に上空へと投げた。

「な、なんだ」

「受けてみぃや!!」

魔矢が上空を見上げた瞬間、聖魔刀は無数の光の矢に変化し、隕石のように落下してきた。

「うわあっ!」

それはまるでメテオのようだった。無数の夥しい光の矢は魔矢だけを目掛けて落下する。

もはや避け様がなかった。魔矢は羅刹の形無し夢幻陣の直撃に合い、後方へと吹き飛んだ。

「ぐっ・・・・」

「ケケケ、どうやワイの奥義の味は。ナメたらあかんで」

ジリジリと羅刹が魔矢に近づく。魔矢の身体からは煙が立ち上っており、その肉体はもはや傷だらけだ。

「これで終いやな。ワイの勝ちや!!」

「さあ、それはどうかな」

「な、なにっ!ぐはあああっ!!」

魔矢の腕が光った瞬間、オリハルコン・オロチから無数の刃が飛び出し、羅刹の身体を切り刻んだ。

「な、なんやこれは・・・まるでカミソリや・・」

「奥義の披露感謝する。これが俺の奥の手、オリハルコン・滅だ」

「ぐうがああああああっ」

オリハルコン・オロチから飛び出した無数の刃は羅刹の身体を持ち上げ、止め処なく切り刻んでいる。

やがてその刃も元に戻ると、羅刹の身体は地面に叩き付けられた。

「ワ、ワレェ・・・ふざけた真似しよって・・・」

「ぐう・・・」

もはや二人とも満身創痍だった。魔矢も羅刹も血塗れで動く事もままならない。両方が地面に倒れ起き上がる事さえ出来なかった。

「はい、二人ともそれまで」

「由佳!?」

突然の女の声に魔矢が驚いた。見るとそこには由佳が立っており、やれやれと言った表情でこちらを見ていた。

「これ以上闘っても意味無いわ。両者痛み分け。引き分けよ」

「あかんで由佳ちゃん。これは男の勝負や。勝敗ははっきり付けんと気味悪いで」

「死にそうな顔して何が男の勝負よ。意味の無いことはしても意味が無いでしょ」

「せやかてどっちが強いかハッキリせんと・・・」

「五月蝿い!!」

「ヒィィ!由佳ちんが怒った!!」

こんな時までユーモアのある男だ。

「しかし、勝負はまだ付いていない」

魔矢がいち早く立ち上がった。

「あまり由佳を困らせるもんじゃないぞ、魔矢」

ハアと溜息を付いた由佳の隣から一人の男が現れた。

「ウル!?」

「なっ!ウ、ウルやてっ!!」

羅刹は目を見開きウルと呼ばれた男を見つめた。

「魔矢、急用が出来た。急いで来い」

「どうしたんだ」

「ゲノムが出た」

「な、なんだとっ!」

「今紅が様子を伺っている。急いで合流するぞ」

「お前知っていたのか・・・ゲノムが蘇った事を」

「当然だ。お前は何かと策を練っていたようだが、ずいぶん前から知っていたぞ」

「何もかもお見通しってわけか」

「まあな。行くぞ」

「ああ」

「ちぃと待てや、おのれら!?」

「羅刹、貴様まだ」

羅刹は血塗れになりながらも立ち上がった。

「ワレが神殺しのウルかい。ちょうどええわ、探す手間が省けたわ!

その首、ワイが貰ったで!!」

そう言うと羅刹は負傷をもろともせず、ウルに襲い掛かった。

「ま、待てウル!そいつは俺の敵だ、手を出すな」

「手を出すなと言われても・・・」

「シャアアッ!」

ウルは羅刹の攻撃を避けながら言った。

「まったくどいつもこいつ勝手な連中ばかりだ」

ウルの眼差しが鋭くなった瞬間、羅刹の腹部に激しい激痛が走った。

「がはあああっ!、な、なんや、今のは・・・」

それはウルの繰り出したボディブローに過ぎなかったが、あまりにも速過ぎて羅刹の目に映らなかったのである。

「行くぞ、魔矢」

「あ、ああ・・・」

ちょうどその時、明らかに羅刹の身体から放たれる気のようなものが変化した。

「おのれら・・・・・ゲノムだ、紅だ分けの分からん事言いよって、ワイは無視かい。

お前らみたいな連中、ワイは一等ムカつくんじゃぁ!?」

「な、なんだ!」

「!!」

「がああああああっ!」

それはまさにキレた形相であった。だがしかし、どうも様子がおかしい。羅刹の白目が赤く染まっていくのだ。

「こいつ、ただの人斬りじゃない!!」

ウルが叫んだ。

「ご名答や。聖魔刀は単なるワイの趣味に過ぎん。ワイの本当の姿はこれや!!」

羅刹がそう叫ぶと、身体中の筋肉が一回り大きくなり、体格が増した。

「バカな、こんな事が・・・・」

魔矢は驚きで動けなかった。

「こいつ、バーサーカーだ!!」

バーサーカーとは狂戦士のこと。何らかの異状によって敵味方の区別が付かなくなり

相手が死滅するまで戦い続ける地獄の戦士である。

「ピンポ〜ン。せやけどワイのバーサーカーは狂ってないで。力が上がるだけで敵味方の区別は付くんや」

「ほう、なかなかのもんだな」

ウルは至って平常心だった。特に臆する事も無い。

「神殺しのウル、覚悟せえや!!」

「良いだろう、相手になってやる。だが俺が直接相手をする前にコイツらと闘って勝ったら、いつでも相手になってやる」

ウルはそう言うと、口で軽く口笛を吹いた。

すると何処からとも無く真っ黒なフードを纏った3人の人間たちが現れ、ウルの周囲に立ちはだかった。

「なんやそいつらは」

「こいつらは魔界で4番目の実力を持つ戦士たち。こいつらに勝てたら俺たちのアジトに来い。

場所は由佳から教えてもらえ。いつでも待ってるぞ」

そう言うとウルは身体を翻し、紅の待つ場所へと走り出した。

「羅刹、貴様との決着はいずれ必ず・・・・」

魔矢もそう言うと霧の中に消えて行った。

「ケッ!どいつもこいつも敵前逃亡かい!まあええわ。後で由佳ちんから教えてもらうさかい」

「その由佳ちんって言うの止めてくれる?」

「じゃあ由佳タン」

「殺すわよ?」

「ヒィぃ!由佳タンがまた怒った!!」

そう言った瞬間、フードを被った男たちが羅刹に奇襲を掛けてきた。

「ワイの強さを見て惚れるかも知れへんで」

「それはまず有り得ない」


「一瞬で片付けたるわ!!」


バーサーカーと化した羅刹と、フードを纏った男たちの死闘が始まった・・・。



END

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