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神殺し  作者: 雷禅 神衣
10/41

10.〜ツワモノたちの夢(1)〜

モニターの前で凄惨な殺戮シーンを見ていた魔矢とウルは、その映像を見て少々驚いた。

何故ならモニターにはあっさりとやられたミスターLが映っているからだ。

「まさかここまであっさりやるとはな」

魔矢は予想外と言う表情でそう言った。

実はミスターLの着ていた服には映像を盗撮できる小型のCCDカメラを付けて置いたのだ。

それによってパイフー、鬼武、そしてLとの戦いを魔矢とウルはずっと見ていたのだ。

「しかし便利だな、ヴァンパイアと言うのは。再生能力まで持ってるとは想像もしなかった」

やはり意外そうな顔でウルが言った。

「これで事実上あの二人・・・いやミスターLをやったのはパイフーだからな。ヤツが魔界No,5になる」

魔界でNo,4の実力に程近い集団が存在するため、パイフーはNo,5という事になる。

「白虎のヴァンパイアか、あの攻撃力は確かに驚異だが・・・・」

「俺には届かん・・・そう言いたいんだろ?」

魔矢がにやけてそう言った。

「別にそうとは言ってないぜ」

「顔に書いてあるさ」

「そうかな」

その時、アジトの扉が開いた

「たっだいま〜」

「紅」

入ってきたのは紅だった。鮫島と傷み分けた手には包帯が巻かれている。

「どうだった、鮫島とか言う男の方は?」

魔矢が静かに聞いた。

「う〜ん、想像以上に強かったね。まあ僕も本気じゃなかったけど、あのお兄さんも本気じゃなかったからね。

両方ともガチで勝負したらどうなるだろう、ワクワクするな〜」

「傷追って置きながらワクワクか、お前らしいな」

ウルがそう言うと紅はニッコリと微笑んだ。

「そっちはどうだったの?ミスターLは?さすがにL相手にあの二人も無傷じゃ済まなかったでしょ。

死んじゃった?それとも重傷?」

「意外なほどあっさりカタが付いた。勝敗はあの二人に上がった」

「ほへぇ〜ホントに!?じゃああの二人は魔界No,5じゃん」

「いや、今はな」

「今・・は?」

珍しくウルが口を開いた。

「最近、また魔界に新しく入ってきたやつがいる。名前は焔 羅刹。かなりのツワモノだ」

「ウル、お前知っていたのか」

「ああ、ギネスを更新した大残虐劇だったらしいからな、それなりに知っている」

「ホムララセツ・・・変な名前」

紅はニコニコと笑った。

「さて、俺はそろそろ行くぞ」

そう言うとウルは立ち上がった。

「あれぇ〜何処行くの?」

「仕事さ。裏社会で暗躍しているブローカーを暗殺してくれと以来があってな」

「今回の報酬はいくらだ?」

「5千万だ」

「5千万!?うひゃあ〜ねえねえ今度新しい刀買って良い?」

紅が哀愁漂う目で哀願する。

「お前この前も買ったばかりだろ」

「良いじゃん、お願い!!」

「う〜ん・・・分かったよ。無駄遣いだけはするなよ」

「わ〜い!ありがとっ!」

そう言うとウルは「やれやれ」と言った表情で出て行った。


「さて紅、俺たちも出かけようか」

「ん?遊びに行くの!?」

紅は子供のような笑顔になって言った。

「会いに行くのさ、新たに誕生した魔界No,5にな」



「まったく鬼武のヤツ何やってやがる」

魔界東部にある雑居ビルの一角。ミスターLとの激闘の後、改めて自分たちの住居を探していたパイフーと鬼武は

この雑居ビルの一角にあるアパートに住み着く事となった。

しかし何の整備もされていない、ましてや管理人など居ないボロアパートである。当然ながら建物も古ければ食べ物も無い。

そこでパイフーと鬼武は二人で分担して部屋の整備に取り掛かっていた。

パイフーは部屋の整備、そして鬼武は食料の調達に出掛けたのである。

「チッ!それにしても切断した腕の治りが遅いな。いくら再生するとは言え落としたのはまずったかな」

Lによって傷つけられ、切断を余儀なくされたパイフーの腕だが、ヴァンパイア特有の再生能力によって復元した。

だが当初からあった腕の感触に戻るにはそれなりの時間が掛かるようで、新たに再生された腕はまだしっくり来なかった。

「鬼武のヤツどこまで行ってやがるんだ。クソッ、腹減ったぜ」

今日もパイフーの胸には鎖を食いちぎる大虎の刺青が光っている。

ちょうどパイフーが部屋の整理を終えたときだった。

「ピンポ〜ン、ピンポ〜ン」

「あん?なんだ呼び鈴なんて付いてたのか、この部屋」

「ピンポ〜ン、もしも〜し、居ますか〜」

「あんだよ、まったく。どこのどいつだ!!」

どうやら誰か来たらしい。呼び鈴が付いている事は知らなかったが、明らかにドアの向こうに人が居るようだった。

「誰だよ!?」

「あ、いたいた。宅配便で〜す」

パイフーがめんどくさい口調でそう言うと、少年のような声が返って来た。

「バカ言うんじゃねぇよ!この魔界に住所なんてあるか!それに俺らはたった今着たばかりだっつうの」

「じゃあ、ピザのお届けで〜す」

明らかにバカにしている。

「ナメてんのか!コノヤロー!!」

頭にきたパイフーはドアを開けた。

そこにはまだあどけない表情の少年がいた。

「なんだ、このガキは。俺様になんか用か?」

そうは言いながらもパイフーはあまりにも美しい少年に目を奪われた。言葉にするのも困難なほどの美貌の持ち主である。

「別に用ってわけじゃないんだけどさ、挨拶くらいして置いた方が良いと思ってね」

「挨拶?バカじゃねぇの。初対面でいきなり挨拶ってか?俺たちとは関係ねぇだろ」

「そうでもないさ」

どうやら居るのは少年だけではなかったらしい。少年とは別の声が聞こえた。

見るとそこには大人の男が立っていた。

「魔界へようこそ。まさか俺たちを知らないとは言わないだろうな?」

「ああ?言ってる事がよく分からねぇな」

確かにどこかで聞いたことのある声である。だがそうしても思い出せない。

「じゃあこう言えばきっと思い出すよ。ねぇ、魔矢」

「ま、魔矢!!て、てめぇ、まさかM・・・・」

「ご名答、会うのは初めてだよな。俺が音羽魔矢だ。こっちは矢吹紅。名前くらいは知っているだろ?」

パイフーの背筋に冷たい汗が流れた。

「バ、バカな・・・な、なんであんたたちがここに・・・・」

そしてパイフーは心で思う

(嘘だろ、なんでこいつらが俺たちの所に来やがるんだ。冗談じゃねぇぜ。こんな時に限って鬼武がいねぇ・・)

「ミスターLを撃破するとは、大したもんだ。その後腕は大丈夫なのか?」

「な、なんで知ってんだよ、その事」

「ヘヘヘ、実はLの服には盗撮用のCCDカメラが着いていたんだよ。だから二人が戦っているのずっと見てたのさ」

紅が微笑みながら言った。

「ケッ!あんなたたちに盗撮の趣味があるとは知らなかったぜ」

(クソ・・・どう考えても不利だぜ。こっちは俺しかいねぇ・・せめて鬼武がいれば・・)

「見事な戦いぶりだったよ。ウルも褒めてたぜ。久しぶりに骨のある連中だってな」

「余裕じゃねぇか、そのウルは居ないようだが」

(鬼武がいれば俺が魔矢を、鬼武が紅を。2対2になるが・・い、いや・・・勝てるかどうかも分からねぇか・・)

「ウルは仕事に出てるよ〜ん」

「んなことはどうだって良いぜ。何の用だ!?殺るつもりならやってやんぞ!!」

しかしパイフーは内心恐怖している。鬼武が居るのであればまだ違ったが、今は一人である。

おまけに相手は魔界No,3とNo,2が揃ってる状況だ。いくら屈強のパイフーとは言え勝算は皆無である。

「ずいぶん威勢が良いな。その震えは武者震いか?」

「う、うるせぇ!?」

「今日はね、お兄さんたちに伝える事があって来たんだよ」

「伝える事?」

「そうだ。Lを倒した褒美みたいなもんだ。喜べ、お前たちは現在魔界No,5に位置されている」

「俺たちがNo,5・・・・」

「ああ、ずっとLがNo,5だったからな。そのLを倒したんだ。今度はお前たちがそのランクだ」

「その事を伝えようと思ってね〜」

「だが気をつけろよ。No,10から5までの立ち位置は割りと入りやすいランクだからな。

お前たちが5になったのは既に魔界中に知れ渡っている。これからは昼夜問わず気を付けた方が良い」

「何に気をつけろってんだよ」

「つまりお前たちの首には賞金が掛かってると言う事さ。この魔界には賞金を狙ったバウンティハンターも存在する。

俺たちのように誰も手が付けられないほどのランクになれば狙われる事もないが

No,10から5までの間は格好の標的だ。出歩くときは注意した方が良いぜ」

「No,10から5までの間っていつも流動的なんだ。移り変わりが激しくてさ。

あまり注意を怠るとバウンティハンターに殺されちゃう。バウンティハンターも結構強いんだよね」

バウンティハンターがこの魔界に存在するとは初耳だった。

「フン!人の心配よりも自分たちの心配した方が良いんじゃないか?俺たちがいつあんたらに牙を向くか分からないからな」

ここまで来るとパイフーももはや引っ込みがつかない。

魔界に来る前は「ウルたちには関わらない」と思っていたが、こちらとしてもナメられるわけには行かない。

「ああ、俺たちはいつだって良いんだぜ。狙ってみるか?魔界No,4の座。そして3,2,1を」

「くっ!・・・」

「こう見えても僕たちチョー強いよ。僕たちからしたらLなんてゴミだからね」

不覚にもLとの戦闘中、鬼武を人質に取られてしまった。それは明らかに二人の采配ミスであり迂闊だったところ。

ゴミと言い切られた相手にパイフーは片腕を切断している。これが魔矢や紅が相手だったらと考えると

もはや背筋が凍り付くなどと言う言葉さえ生温い。

しかしパイフーにしろ鬼武にしろまだ強さに関しては発展途上国に過ぎない。

言い換えればこの先いくらでも強くなれるということだ。

「それだけ言いに来たんだ、邪魔したな。相棒にもよろしく伝えておいてくれ」

「バイバ〜イ」


締め切ったドアを背中に、パイフーの両肩は上下に揺れ動く。呼吸が乱れているのだ。

「魔界」・・・・侵入当時は勢いも確かにあった。しかし実際に来て見ると、やはり想像を絶する世界である。

そこは呼んで字の如く「魔の世界」であった・・・・。



END


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