冒険者登録
しばらくすると門番が戻ってきて、隆則に
「領主さまがお前を呼んでいる。付いて来てもらおう。」
「へ?何で領主さまが俺を呼んでる?」
「詳しくは何もわからんが、連れて来いとの仰せだ。」
門番に案内され、隆則は領主の館までついていく。
立派な門をくぐり、領主の館の前で待機している執事に身柄を渡し門番は戻っていった。
「どうぞ。お入りください。領主さまがお待ちでございます。」
隆則は、館の中に通され立派な応接室に通された。
応接室には、身なりの立派な壮年の男性がいた。
「お前がこの紹介状を持ってた男だな?」
「はい。それを見せろと神が俺に言いました。中身は知りません。」
「ふむ。内容を見せて貰ったがお前は転生者との事だな。名をなんという?」
「転生者?よくはわかりませんが俺は異世界に来たみたいですね。名前は・・・隆則と言います。」
「転生者というのは、数十年に一度召喚されるかされないかと言われている異世界からの人間のことだ。我も実際見たのは初めてだがな。名前については、転生者とすぐわかってしまう名前では不便があろう。別の名前にするのだな。」
「んー。それじゃヤマトという名前にします。」
「うむ。あとはこれを持っておけ。お前の身分証明になる。我がお前の後見人であるという証明である。無くさないようにな。」
隆則改めヤマトは、領主に礼を言って屋敷を出て街にある宿屋を探すことにする。
場所については、領主に聞いていたのですぐ見つけることができた。
「すいませーん。ここに泊まりたいのですが部屋は空いてますか?」
「ああ。部屋なら空いてるよ。2階の一番の奥の部屋を使っておくれ。」
冒険者の宿の女将のナタリーが言う。
「何か用事があれば、私はここにいるから来とくれ。食事は、朝晩のみ出るよ。昼は、何処かで適当に食べとくれ。あと料金は1日ブロンズ貨3枚だよ。お金は先払いで頼むよ。延長の場合はその日の朝にでも言っとくれ。」
『そういえば、この世界の貨幣がわかってないな。神様が結構やってくれたみたいだけど。とりま、全種類だして女将さんに聞いてみよう。』
ヤマトは、袋の中からプラチナ貨、ゴールド貨、シルバー貨、ブロンズ貨、アイロン貨を出してみる。
「えっと、ちょっとわかんないので教えてもらえませんか?」
「ええ?貨幣もわかんないのかい。あんたどっかから来たんだい?お金はどっかから盗んだんじゃないだろうね?盗人はお断りだよ。」
「事情は、説明しにくいです。いちお領主さまから身元の証明がされているってことで許してください。」
「そうかい。領主さまが認めてるなら構わないよ。これが・・・」
貨幣について女将から説明を受け、
「それじゃこれで。」
シルバー貨3枚をナタリー渡す。
「10日分、まいどあり。」
とりあえず、生きていくためには仕事も必要だろうってことで仕事を探しに行くことにする。
『異世界の仕事の定番って言ったら、やっぱり冒険者になることだよな。』
ヤマトは、そう考え
「冒険者ギルドって何処にありますか?」
ナタリーに場所を聞き、冒険者ギルドへ向かうヤマト。
周りをきょろきょろしながら街を歩いていると、いろんな店を見つけることができた。
冒険者ギルドへ到着し、周囲の目に晒されながらカウンターへ。
「冒険者登録をしたいのですが?どうしたらいいのでしょうか?」
受付嬢の女性が返答する。
「誰でも登録することは可能です。まずはこちらの板に手を当てて貰えますか?」
ヤマトが、板に手を当てるとステータスが表示された。
名前:ヤマト
LV:1(Lv上限1)
STR 3
HP 27
MP 13
INT 7
WIS 6
LUK 13
AGI 5
SPD 5
スキル テイム・言語理解・マジックバック及び作成
受付嬢がその数値を見て
「あなたは、冒険者に向いてないみたいなのですが・・・。それでも登録されますか?」
「仕事もないですし、出来ることをしてお金を稼ぎたいと思います。」
「はぁ、そうですか。それであれば、構いませんがくれぐれも無理だけはしないでくださいね。」
「わかりました。」
「依頼に関しては、左手にあるクエストボードで確認してください。登録したばかりですので、ヤマトさんのランクはアイオライトになります。一応、タンザライトまでの依頼は可能ですがヤマトさんに関してはあまりお勧めしません。こちらが冒険者証になります。偽造・改竄ができないようになっています。なくした場合、再発行はシルバー貨2枚となります。」
ステータスを盗み見た人間から、「お荷物テイマーのLv1らしいぜ。荷物持ちくらいにしかつかえないな。俺はごめんだけどな。」と周りで言いふらす奴がいた。
ヤマトは、無視してクエストボードを見てアイオライト用以来の薬草採取をすることにした。
「こちらをお願いします。」
「ヤマトさんは戦闘に不向きなようなので、くれぐれも気を付けてください。魔物が出る場所ですからね。パーティーを組んでというのがいいんでしょうが・・・ヤマトさんとは誰も・・・」
「大丈夫です。運だけはいいはずですから!」
冒険者ギルドを出て、路地裏に入って神様に声をかける。
『神さま、俺のステータスひどいみたいんだけどどうしたらいいのさ?なんかお荷物扱いで馬鹿にされてんだけど?』
『儂を呼んだか?お前のステータスは、冒険者ギルドでも表示できないスキルがある。それを説明しておくかの。』
『おい、そんなのものがあるなら最初から教えてくれよ。』
『すまん、すまん。表示されなかったスキルは、絶対記憶能力・ステータス改竄・レベル上限∞・全属性魔法適性・身体能力強化・鑑定眼・魅了眼・接触魅了・魔法創造・特殊魔法作成・レベル上限解放・儂の加護じゃな。特殊魔法作成とレベル上限解放については、完全に非表示じゃが他の物ついては表示が可能じゃがお勧めはせん。』
詳しい説明は面倒ってことで、これを読むようにと本を渡された。
『それを読めば、お主のスキルの事も書いてあるしこの世にあるスキルのこともわかるのじゃ。あと一つ忠告じゃが、お主は奴隷を雇うなりして自身のスキルを隠しておくのが良いかもしれぬ。では、儂も忙しいのでな。』
まずは、宿に帰って本を読むことにしよう。
部屋に戻って、マジックバックから本を取り出しすべて読みこんでしまう。
そして、わかったことが・・・
テイム 一般的なテイムはモンスターのみ。
俺に関しては全生物・意識のない物体等すべてのものが可能。魅了したもの。接触したものすべてをテイム選択できる。レベル上限及びステータス・スキルをコピーし、ステータスも現ステータスに加算される。一度コピーしたレベル・ステータス・スキルはテイム解除後も残る。
言語理解 すべての言語を理解。そして会話可能。人間・モンスター・植物と意思疎通可能。失われた言語に関しても適用される。
絶対記憶能力 一度、読んだ書物(魔法書であっても)記憶してしまう。
ステータス改竄 任意のステータス数値を表示することができる。鑑定機でも真のステータスを読み込むことは出来ない。
レベル上限∞ 文字どおり、レベルの上限を∞にする。一般的な人間の上限レベルが99。
全魔法適性 火・風・水・土・聖・邪・空間・時間・竜魔法・暗黒魔法等人間が扱えない魔法であっても使えるようになる。一般的な人間でも5属性が限界と言われてる。
鑑定眼 右目に宿る力。すべてのステータスを見ることができる。相手のレベル・ステータス・スキルまで。無機物も鑑定可能。
魅了眼 左目に宿る力。視線でチャームすることが可能。レジスト判定あり。高レベルのものには抵抗される場合がある。
接触魅了 体の一部に触れることによって、絶対に魅了出来る。
特殊魔法作成 ヤマトのオリジナルスキル。魔法を組み合わせたり改造して新魔法を作成できる。
魔法創造 完全にオリジナルの魔法を作成する能力。現存する魔法であっても創造可能。
レベル上限解放 ヤマトのオリジナルスキル。任意の相手のレベル上限を開放することができる。現在、対象のレベル上限を500まで上げることが可能。
レグランド神の加護 全異常ステータスの完全防御。経験値取得の数値が3倍。
これって、めちゃくちゃチートじゃね?って俺は思った。
宿屋で晩飯を食べ、明日はクエストする前に奴隷を手に入れようと思うがヤマトは若干の抵抗があった。
『奴隷って、俺の元いた世界じゃメジャーじゃないもんな・・・』
考えても無駄なんで、眠ることにし次の朝を迎える。
朝食をとり、薬草採取に向かうと伝え宿を出る。
「それじゃ、まずは奴隷市場を見に行ってからだな。」
この世界の貨幣に関して、主人公が知識がないはずだったのでその部分を修正しました。誤字報告ありがとうございます。適正→適性に修正させて頂きました。 11/3誤字報告ありがとうございました。