絶望・・・そして転生
白峰隆則は、三流大学の3回生である。
彼は、大学に入ってからも孤独であり友達がいた事もない。
内気でおとなしい性格が仇になって、空気とまで言える存在感の持ち主だった。
「生まれて20年経つけど、いいことも全くなかったなぁ。このまま、卒業して就職しても将来の希望もねぇなぁ。いっそ、このまま死んじまったほうがいいかもな。」
大学の屋上のフェンスに座りながら一人ごちる。
その時、急な突風にあおられてバランスを崩し落下開始・・・
『ほらな・・・やっぱりいい事なんて全然なかったわ。このまま、地面に打ち付けれてお陀仏だわ。』
そんな事を考えながら徐々に地面が近づいてくる。
束の間の走馬灯が・・・
『結局、こんなもんか・・・』
隆則は、少しも楽しかった思い出がないことを再認識させられた。
『汝はどんな人生が良かったのじゃ?』
頭の中に声が聞こえた。
『そりゃ、友達や彼女を作って幸せで楽しく生きたかったさ』
『ほう。それを叶えてやろうではないか。楽しんでまいれ。今度死んだときにまた話を儂に聞かせるのじゃ。』
隆則の身体が光に包まれこの世界から消え、意識がなくなった。
どれくらいの時間が経ったのかわからないが隆則が目を覚ますと見た事のない景色そして街が見えた。
「ここはどこだよー!!」
隆則は叫んだ。
このままじっとしていても仕方がないので、街へ向かうことにした。
街までの道は整備はされているが、以前住んでいた世界と違い舗装もされてはいない。
歩くこと、数十分で街の入口へとたどり着いた。
街の門番が
「アイキナイトの街に何の用だ?」
「えっと・・・道に迷ってしまって・・・気が付いたらこの街が見えたもので・・・」
要領の得ない答えを隆則は答える。
「怪しいやつだな。どこから、来たのだ?ここに来た目的は?」
「えっと・・・俺は、旭川に住んでたんたんだけど?アイキナイトって何処の国にあるんですか?」
「旭川?聞いたこともない街だな。ここは、ルドイジャイト大陸の北にあるローゼライト国の街アイキナイトだ。そんなことも知らないのか?」
「はぁ・・・俺が聞いたこともない国です。日本はどのあたりにあるんでしょうか?」
「日本?聞いたこともない国だな。本当に怪しい奴だな。」
数回のやり取りをして、隆則は考える。
『俺が知らない国そして場所。ここは、異世界なのかな?』
『そうじゃ。ここは、お前が死んで生まれ変わったルオーニアイトという国じゃ。このままでは、怪しいものとして処罰されそうなので少しだけ力を貸してやるのじゃ。懐にある袋にお前の儂からの紹介状をいれておいた。それを見せるのじゃ。あと、この国で使える通貨を適当に儂の判断でいれておいたぞ。』
『あと、何かあれば儂が質問に答えてやるのじゃ。いつでもと言うわけにはいかぬが心で儂の事を呼ぶのじゃ。』
『なんと呼べばいいんだよ?』
『・・・』
すでに会話が終了してしまったようだ。
言われたように懐を探り、その袋から紹介状らしきものを門番に渡す。
「え?レグランド神からの紹介状?なんだこれは・・・。しばし待て!領主さまに確認を取ってくる。」
「わかりました。」
確認を取ってる間に隆則は門番に話かけてみた。
「えっと・・・ ここで暮らすのはどうしたらいいんでしょうかね?仕事みたいのってあるんですか?」
「確認取ってる最中だがいいだろう。この街で暮らそうと思うなら、冒険者になるのが一番だろうな。他の仕事につこうとしても、お前のようなものは誰も雇わないだろう。」
「ありがとうございます。では、どうなるかわからないのでここでのんびり待たせてもらいます。」
主人公に神様が与えたものを若干修正。