朝だよ! 全員集合!
「待ってよ~、みんなぁ~。」
黒い扉が開き、少女が眠たそうに目をこすりながらリビングに侵入。
完全に彼女のことを忘れていた。あともう一人、この中で唯一の頭脳派で、知識が優れているやばいやつがいる。
「みんな酷いよぉ、私のこと忘れないでよ~。」
すごく眠たそうだな……。寝起きなのか?
スザクに習って、朝の運動でもしたらどうだ?
「さては今さっき起きただろ。」
「えぇ~、違うよ~。 ほんの20秒前だよ~。」
いやさっきじゃないか。
この上下黒ジャージ姿のゆったり口調のこの子。
彼女は『北土 玄武』。北を司る蛇と亀の神。属性は【地】。
ボサボサの髪型にジャージ、一見すればニートに見えるがこいつは違う。
前述の通り、ゲンブは優れた頭脳と知識力、それに加え技術力と科学力(化学も含む)を誇る発明家兼科学者である。
様々な賞や功績を成し遂げ、学会からも指示を受けている。正に優秀である。
だが、完璧な存在なんていない。それは彼女も一緒だ。
ゲンブにも欠けている部分が二つ程ある。容姿もそうだが、もっと決定的な部分が。それは———————
「もう少し、ゆっくりしようよ~。『急がば回れ』だよ~。」
……っていう感じで、まず一つは性格である。
ゲンブの性格、ざっくりまとめると、「亀みたいにゆっくり(だらだら)したマイペースな性格」である。
これによって周りは彼女の事を『残念な秀才』、よく徹夜して昼間など居眠りをしていることから『眠り姫』と言われている。
二つ目、それは身体的に欠けている部分の事で、ゲンブの右脚が義足という事実だ。
日頃は、ジャージズボンで隠れて分からないが、右の脚のみ金属で出来ている。
これに至っては、本人にもなぜこうなったのか原因が分からず、話題に触れないようにしている。
まあ、仕方が無い事だ。
「寝坊するあんたが悪いんでしょ。自業自得よ。」
スザクが御尤もな正論をゲンブに叩きつける。
こんなことなら、起こしに行けばよかった……。
「どうせまた夜ふかしでもしてたんでしょ。」
「寝る間も惜しむくらい忙しかったんだよ~。もうすぐコンテストだからね~。」
ゲンブは毎年、年に一度開かれる『発明品コンテスト』に参加している。このイベントのおかげでゲンブは有名になったのだ。色んな意味で。
「とりあえず、ゲンブも座ってくれ。話は食事をしながらで頼む。」
もう空腹で我慢ならない。早く朝食を済ませて、昼と夕飯のメニューも考えなければならないからな。
ゲンブを席に座らせて、全員が揃ったところで再び———————
「「「「いただきます。」」」」