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この世界について親切なお兄さんにレクチャーして頂きました!

やっとこの世界のことが少し明らかになりました…!

このことが書きたいがための前座でした。

「なんだか知らないがお二人共大変なめにあっているみたいだな…」


兄弟仲良くお口を開けて数秒間見つめあった後「いや信じられない…」だの「いやでも確かにこんな服装見たことないし…」だのブツブツ言った後にお兄さんの方がめんどくさそうに頭を搔きむしりながら口を開いてこう言いました。


「あーんと、 アルス を知らないということはお嬢ちゃん達の世界には所謂”魂によって引き起こされるもの”全般がないということでよろし??」


「「はい…」」


どうやらなかなかにこの世界は不思議に満ち溢れているようで。


ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー

ーーー


「この世界で"魂"というのは世界のエネルギーといっても遜色ない存在だ。

人間を動かすのも魂、俺たちが美味しいご飯を食べられるのも自然の魂のおかげ、そしてアルスが使えるのも魂のおかげだ。

魂というのはそりゃもう大きなエネルギーで、人間のというものが持って生まれる魂を10とすると人間の肉体に宿ることが出来る魂は5から6とされている。

その肉体に宿ることが出来なかった魂はその赤ん坊が生まれた瞬間、何か別の入れ物に入る。そうして出来るのが魔法道具"アルス"だ。

アルスはその魂を分けた人にしか使えない道具で、何に魂が宿るかは分からない。

しかしアルスと人は不思議な縁で惹かれ合い、大方のこの世界の者は12歳くらいまでに自分のアルスを手にする。

俺たちはそのアルスの力を生活や戦闘で扱うことができる。

力…といっても本当に様々でな。

例えば俺のアルスは 盾 だ。普通の盾の数10倍もの強度を誇る。ジフソフィアにだって対抗出来るんだぜ。」


「ふむふむ…。私は"物に魂が宿った"という観点からこの世界でいうアルスという存在に分類されると。」


「そういうことだ。そしてもう一つ重要なのがさっきお前さん達が襲われていた"ジフソフィア"の存在だ。別名"夢みる骸"とも呼ばれている。

さっき肉体に入りきらなかった魂が宿ったのがアルスだと言ったよな?そして魂がエネルギーだとも。

人の魂というのは減ることはあっても増えはしない。どういう条件で減るのかは未だに謎が多いところではあるのだが、アルスと肉体に宿る魂のバランスが大きく崩れた時…一説によれば肉体に宿る魂がアルスの半分以下になった時だそうだ、人は肉体ごと魂をアルスに吸収され、自我を失った"ジフソフィア"というものになる。

こうなったが最後もう助からない。

ジフソフィアの寿命は大体3ヶ月とされている。

ジフソフィアの持つ力は強大で、その多くが人のことを襲う。だから俺たちは宿屋の経営をする傍らジフソフィアから民間人を守る仕事をしているんだ。


…とまあ、ざっくり説明するとこんな感じになるか?お二人方ご質問は?」


なるほど、いまいち分からなかったぞ。

自身が置かれている状況をきちんと把握することが大切であるはずなのにどうもよく分からなかった。

魂がエネルギー?私はエネルギーだった??

…と混乱する私ですが私を抱えている沢城さんは深妙な顔をしながら暫く考えてから


「アルスというのが人の持つ魂の5割が宿るものだとしたらあかりの残りの魂はどこにいってしまったのでしょうか?」


とまあ、トンデモびっくりな質問を致しました。

たしかに…そんなこと言っていた気がします。ですが私という精神体は何一つ欠けた感じがしません。



「普通のアルスは喋れたりしない。そのことから思うにお嬢ちゃんの魂は10割、全部あるとみて間違いなさそうだ。」


と「記憶、欠けたりしていないんだよな?」と私に尋ねながらお兄さんはそう答えました。

「そっか…とりあえず良かった…」と沢城さんが胸を撫で下ろしだのが私に伝わって来たのと同時に私もとりあえずは安心しました。


「しかし何故私が普通のアルスよりも魂の量が多いというだけで10割あると言い切れるのですか?」


「そりゃぁ魂を分けるなんてこと、ジフソフィアだって出来ないもの。人とアルスだって魂は別れているように見えても実は1つなの。

今あなたの体から魂は感じない。

だからあなたの魂は完全体だと言えるのよ。」


妹さんがお兄さんの後ろからひょこっと顔を出して軽やかに説明してくれました。


「そういうことだ。…だから不思議だというところもあるんだが。」

「何故ですか…?」

「魂を分けるなんてこと普通に考えて出来っこない。しかし実際問題お嬢ちゃんの体と魂は分かれてしまっている。だから不思議なんだ…」


とお兄さんは心底不思議に思っているようで、肘を組んで下を向いていると暫く考え込んで顔を上げようとしませんでした。


それを見かねた妹さんが、


「とーりーあーえーず!考えても分からないことは分からないで!これからどうするか考えよ?

私の名前はリリー。こっちはお兄ちゃんのアイル。他の2人の仲間と一緒に宿屋をやっているの。たまにジフソフィアの討伐もしたりするんだよ!

2人のことはさっきアカリが目を覚ます前にキョウカからざっくりとは聞いているよ。…異世界からやってきたというのは驚いたけれど。

とりあえず今は2人とも疲れてて頭も混乱しているだろうから。ゆっくり休んで?」


とテキパキ流れるようにとその場の雰囲気をがらりと変えて、それに私たちはもっともだと思ったのでその言葉に甘えて今日はゆっくり休むことにした。

不幸か幸いか、存外この体は眠ることができるようで。

私は夢を見ることがまだ許されているようで。


この時私はまだ知らない。

私が寝ている間にとんでもないことが起こっているとは。

細々と続いています。

チート臭がどこからか漂ってきました…そんな気がする?しない?

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