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第三八話 ユニティ 四 治癒師見習いピルビット

 独りで患者を治療する権利を得たマルティナには陪診者がひとり割り振られた。若い治癒師見習い、いわゆる本物の陪診者、その実態は名誉ある犠牲者、それがピルビットだった。


 マルティナの陪診から逃げた無責任な院長たち治癒師一同は、いけしゃあしゃあとピルビットに無理を申し付ける。


『君は監視役のつもりでいてくれ』

『くれぐれもマルティナ先生から目を離さないように頼むぞ』

『もしマルティナ君が何かとんでもない失敗をしでかしそうになったら、患者に実害が出る前にすぐに周囲に助けを呼びなさい』

『……分かりました』


(こちとらただの陪診者、しかも治癒師見習いだ。並の治癒師の治療を監視するならまだしも、筆頭治癒師の治療が理に適ったものか、常道に則しているかどうかなんて判断のつくわけがない。無茶苦茶言いやがって……)


 ピルビットは同期の中だとそれなりに優秀な人間ではあるが、あくまでも見習いだ。学んできた知識を活かしきれるだけの現場経験がない。治療現場で行われている診断や魔法の正当性、妥当性など正確に判別できない。むしろ、それら“現場勘”を会得するために陪診をやっている。


 院長たちはピルビットに処理不可能な難題を押し付けていることを自覚しながら、何かしら問題が生じた場合に少しでも自分の責任を軽くできるようにこう言っている。体よく責任の大半をピルビットに押し付け、自分たちは責任逃れするつもりでいるのだ。


 社会の冷たさを目の当たりにしたピルビットは激しく憤る。しかし、激憤してなおピルビットには押し付けられた難題を拒絶する意気地がない。


(もうどうにでもなれ)


 諦めの境地でピルビットはマルティナの待つ治療室へ向かった。




『失礼します』


 ひとり静かにマルティナの待つ元トラヴィスの治療室にピルビットが入室し、自分が今日の陪診者であることを告げる。


 患者が呼び込まれる前の室内にいるのは治癒師マルティナと陪診者ピルビットの二人だけだ。人間が二人しかいない治療室は至ってありふれた光景のはずなのに、今はとても閑散として見える。


 沈黙が広がると、治癒師たちに言われた心無い言葉がピルビットの頭の中で何度も反響する。


 ピルビットは気まずくなってマルティナに目を向けていられず、つい壁の方を向いてしまう。


 マルティナから目を切ると、逆に彼女の存在感が浮き彫りになる。なにせ今のマルティナは言葉の暴力で恩師を叩きのめした危険人物だ。上手く表現するのは難しいが、ヒトの皮を被った獰猛(どうもう)な魔物がピルビットの真横で舌なめずりしているかのようである。


『今日は一緒に頑張ろうね、ピルビット君』


 捕食される直前、物陰で身を固くして震える小動物のように(おび)えたピルビットに、マルティナはとても優しい、朗らかな声を掛けてきた。ピルビットはこれにとんでもなく驚いた。マルティナのこんな声をいまだかつて聞いたことがなかったからだ。


 ピルビットが目を白黒させてマルティナを見ると、彼女はピルビットを真っ直ぐ見てニコリと微笑んだ。ついさっきトラヴィスに噛み付いたとも、記憶喪失になっているとも思えない、とても自然な笑みだった。


 ピルビットは記憶を失う前のマルティナを知っている。ヒトが“一番”とか“最優秀”に憧れるのは自然なことであり、ピルビットもまたロギシーンの最優秀治癒師たるマルティナに憧れている、よくいる治癒師見習いのひとりだった。


 ピルビットはかねてマルティナのことをよく観察していた。ピルビットの知っているマルティナはこんな風に笑わない。


 人間の資源(リソース)は限られており、誰しも資源を自分なりに配分して生きている。外から見た評価として、マルティナは資源の九割九分を治療とその勉強に割り振り、残りのたった一分で全ての社会生活を(まかな)っている人間だった。人付き合いはかなり下手であり、特に男性に対してはぎこちない対応しかできない。相手が年下の、しかも部下である治癒師見習いであっても、はにかみ照れた応対しかできないのだから筋金入りだ。


 マルティナは自他ともに認める内向的な人間であり、仮面を被っていられるのは患者を前にしたときだけだ。治療について談義する際も普通に喋っていられるが、それは意図して被った仮面というよりも、内向性を超越する集中力や熱意のなせる業であろう。


 そんな内向的なマルティナが、ピルビットの目の前で浮かべるはずのない笑顔を浮かべている。自分が憧れとする治癒師の笑顔を見た瞬間、ピルビットの腹の底を今まで味わったことのない謎の感覚が駆け抜けていく。


(こいつは一体誰なんだ? これはウラスでしばしば見かける外傷性の記憶喪失とは本当の意味で訳が違うぞ……)


 専門家は専門的視点から情報を評価し、思考を組み立てる。専門的な思考は時に視野の狭さにも繋がり、ともすれば偏見を深めることにもなりかねない。


 偏見の無さ、という意味では、治癒師見習いのピルビットは()()()()()()治癒師たちよりも柔軟な発想ができる。


 ピルビットはそれまで誰も言い出さなかった大胆な仮説を立てた。


(ふふふ……。それならばそれでいいさ。どうせ僕は生贄だ。社会的に死ぬかもしれないのなら、いっそのこと楽しんでやる)


 ピルビットはこの新しいマルティナを全力で補佐することに決めた。


『何かおかしかった、ピルビット君?』


 黒い笑みを浮かべるピルビットに、マルティナは怪訝な顔をする。


『なんでもありませんよ。こちらこそ、よろしくお願いします。マルティナ先生』


 ピルビットは慌てて取り繕い、歪な笑みの上から対外的な笑顔の仮面を被った。


 ピルビットの決めた薄暗い覚悟にマルティナが気付く様子はない。


『ではピルビット君、本日あなたには陪診者ではなく治癒師として治療を行ってもらいます』

『はあっ!?』


 せっかく覚悟を決めたピルビットに、マルティナの言葉の拳打が勢いよく襲いかかる。


『あなたが主体となって患者を診て、診断を下し、治療方針を決定するのです。治癒師なら誰でもやっていることです。下した診断と決定した治療方針は声に出してから実際の治療に移行してください。もし明らかに診断や治療方針が間違っていれば、可能な範囲で私が修正します。もし、治療方針が決まっても、その中にあなたが使えない回復魔法や治療方法がある場合はそう言ってください。私のほうで実行します。しかし、それ以外は基本的に補助に徹します。今日の私は、あなたの手足の先に伸びた補助具のような存在だと思ってください。陪診者改、ってところですね』


(いやいや、無理に決まっているだろ! これじゃあトラヴィス先生以上に悲惨なことになってしまう)


 ピルビットは絶句しかけるが、ニコニコと笑うマルティナの前で黙っていても事態は好転しない。見えざる圧力で押し潰されそうになっている胸に大きく息を吸い、勇気を振り絞って反論する。


『無理ですよ。そこまでの経験を僕は積んでいません。それぐらいできるようになるには、もっと段階を踏まないと……』

『無理……? 社会科見学の学生さんではなく、あなたは専門職として一歩を踏み出した成人なのでしょう? 今まで何をして生きてきたのです。下らない言い訳は求めていません。もう一度聞きますよ。やるのですか。やらないのですか。もし、あなたがやらないのであれば、別の人を陪診者に当ててもらうことにします』


 マルティナは冷笑を浮かべながら、蛇のように鋭い目でピルビットの顔を覗き込む。


 ピルビットはマルティナから伸びる見えない舌がこちらの心臓を捻り潰そうとしているように錯覚し、恐怖に半歩後じさった。


 マルティナはその半歩を見てピルビットから目を切る。その顔にはもう笑みが浮かんでいない。とても寂しそうな、それでいてどこか退屈そうな表情となっている。


 ピルビットに対する興味を完全に失ったマルティナの様子を見て、ピルビットは一瞬安堵し、直後に負けん気の炎が燃え上がった。自分でも信じられないほどのやる気が胸を焦がしていた。


『すみませんでした。やります。僕にやらせてください』


 後退半歩で踏みとどまったピルビットをマルティナは横目で見て笑った。


 ピルビットがマルティナに対して抱いていた憧れは治癒師としての憧れだ。そこに異性としての感情は伴っていなかった。ピルビットは不敵に笑う今のマルティナを見て不思議な魅力を感じた。それは、職人としての憧憬とも恋愛感情とも異なっていた。先程もろくも崩れ去った黒い覚悟が変質して蘇ったような、濁った陰のある独特な感覚だった。




 こうしてピルビットとマルティナのへっぽこ治療は始まった。何せピルビットは若く経験がない。治療の流れは何百、何千と見て分かっているものの、実際に自分が治療者の主体となってやってみることを想像すると、勝手が全く違うのだ。


 患者を治療室に入れて、患部を見ながら話を聞いて、治療方針を立てて……と、手順を頭の中でゆっくり反芻(はんすう)していると、マルティナのほうが陪診者として勝手に動き、さっさと患者を目の前に連れてきてしまう。


 ぎこちない所作で患者の身体を診察し、診断と治療方針について悩んでいると、ピルビットの“解答”を待たずにマルティナはさっさと治療を始めてしまう。


(てっきり僕が診断を下すまで待つのかと思ったのに、存外にせっかちだ)


 マルティナが始めた治療を見て、ピルビットは自分が心の中で決定しかけていた診断と治療方針に誤りがなかったことを確信する。


(僕は間違っていなかった。足りなかったのは、迷う時間と確信に至るための時間だけだ……)


 治療を手際よく進められないことにピルビットは落ち込む。しかし、マルティナはピルビットの消沈に気付いているはずなのに、ゆっくり落ち込む時間を与えない。


 マルティナは治療の手を途中で止めると、『あとは君がやれ』と耳元で(ささや)いて診療記録を書き始める。


 幸いにも目の前の患者に行うべき治療の難易度は高くない。やり方さえ知っていれば誰でもできるものだ。


 治療を途中で引き継いたピルビットは手こずりながらも残りの治療をひとりで完遂した。


 患者ひとりの治療が終わっただけでピルビットはグッタリである。マルティナはそんなことお構いなし、とばかりに治療済みの患者を治療室から退室させると、すぐに次の患者を入室させる。そして、診療机の横にある椅子に座ってぐったりしているピルビットを見て、(あざけ)るように鼻で笑う。


(負けてられるか)


 ピルビットは椅子から跳ねるように立ち上がり、直ちに診察を開始した。ピルビットはこれ見よがしにベタな褒められ方をするよりも、小馬鹿にされるほうが伸びる性分だったのかもしれない。マルティナの皮を被った謎の存在を前にして、ピルビットはそれまで知らなかった自分の一面を発見した。




 元トラヴィスの治療室で繰り広げられる治療は、とても不思議なものだった。導入部分だけはピルビットが治癒師として振る舞う。しかし、少し長く立ち止まったり(つまず)いたりすると、たちまち主導権はマルティナにうつる。そしてピルビットが治療の正しい道に気付くと、これまたすぐに治療の主導権はピルビットに戻される。もちろん、治療の難易度が高いときは、マルティナはピルビットに押し付けず、自分で治療を完遂させる。


 興味深いことに、マルティナも少し診断や治療方針の立案に苦慮することがある。マルティナは少し悩むと、別の治療室で治療を行っている治癒師にすぐに知恵を借りに行く。ああでもないこうでもない、と長時間悩むことがない。呆れるほどの潔さである。


 マルティナに質問された治癒師は大変だ。なにせ筆頭治癒師を困らせる問題だ。並の治癒師が解決できるはずはない。頼られた治癒師は冷や汗と諦観半分の表情を浮かべながらマルティナの治療室にやってくる。


 そしてこれはとても不思議なことなのだが、意外と的確な助言を与える。


『ああ、マルティナさん。こういう損傷が生じているときは、実はとても簡単な治し方があるんだ』

『そうだったのですね。勉強になります。さすが先輩!』


 マルティナからの援助要請に何とか応えられたことに、治癒師は胸を撫で下ろして去っていき、マルティナは応援に素直に感謝を述べる。


(筆頭治癒師のマルティナが分からないのに、普通の治癒師でも治し方が分かる場合があるんだ)


 本来ならば生じない事態に、ピルビットは大層驚く。


 しかし、患者を一〇人、二〇人と多数診ていくうちに、その感想は変化していく。


 マルティナはそこまで低くない頻度で、周囲の治癒師に意見を求める。しかもそれが、必ずしも難しい問題ばかりではないのだ。難易度としては中程度、時にはピルビットでも分かるような易しい問題の解法に、マルティナは気付かないことがある。


(いくら考えても、これはやはり記憶喪失とは違うような気がする。能力の失われ方があまりにも(いびつ)だ。解離性健忘とは違う何かが目の前で起こっている……)


 マルティナと同じ姿をしたこの新しい治癒師は何かが不足している。ピルビットはその足りない“何か”が、純粋な知識ではなく、治癒師見習いのピルビットと同じ、“実践経験”や“現場経験”であるように思った。


(彼女が記憶喪失なのかどうか、あるいはマルティナ本人かどうかなんて、もう僕にとっては些細な問題だ。凡人の僕には“マルティナ先生”を助けることなんてできない。でも、“このマルティナ”なら治癒師見習いの自分でも、少しは力になれるかもしれない)


 治癒師が持つ、傷病者を治したい、という想いは、誰かの助けになりたい、力になりたい、という養護欲求と通ずるものがある。養護欲求を多少なりとも充足させられるかもしれない、と意識下無意識下の両方で感じ取ったピルビットはますます奮起する。


 マルティナの真の状態がどうであれ、綱渡りの治療をやっていることは事実だ。治療がうまくいかなければ患者に実害が及ぶ。周囲の治癒師かピルビットが何らかの形で適切にマルティナを助ければ、患者には害が及ばず、治療は問題なく進む。ならば、マルティナを助けるのは自分でありたい。


 一層意欲の増したピルビットは、かつてないほど治療に集中した。




 新しいマルティナの治療速度は、以前の彼女とは比較にならないほど早い。変化をきたす前のマルティナは時間をかけて丁寧に仕事をしていた。新しいマルティナは何というか、早い代わりに大雑把だ。衣服に例えるならば、前さえ閉じていれば、(ぼたん)をどれだけかけ違えていても気にしない。そんな様子である。


 新しいマルティナの治療を形容できる言葉はそれだけではない。いい加減、奇妙、斬新、残酷、無謀、大胆、等など。治癒師の治療に対する評価とはついぞ思えない単語が、ピルビットの頭に際限なく浮かぶ。それだけマルティナの治療は異質だった。


 マルティナに遅れぬように治療をするのは並大抵のことではない。それでもピルビットは食らいついた。治療室に入った患者の容態や怪我の程度を診た後、マルティナが治療の手を動かし始める前にピルビットが診断と治療方針を述べると、マルティナは笑って頷き治療を開始する。先回りできたことにピルビットは喜び、それがまた励みにもなる。ピルビットは自分の能力が今まさに伸びていくのを実感しながら治療にあたった。




 種々雑多な問題が発生しながらも、治療初日は大失敗なく終わりを迎えた。精神疲労の極致にあるピルビットを院長たちが(ねぎら)う。


『よく頑張ってくれましたね、ピルビット君。マルティナ先生を上手に助けてくれました』


(助かったのはあんたらだろ……)


 ピルビットは心の中で悪態をつきながら曖昧に笑う。


『今日はさぞ疲れたことと思います。明日からは、別の見習いに陪診に入ってもらいましょう』

『いえ、明日からも僕がマルティナ先生の陪診につきたいです。ダメでしょうか?』

『ダメ……ということはありませんが……』


 思いがけないピルビットの要求に院長はたじろぐ。彼らの中では、犠牲者は一日で交代し、持ち回りとする予定だったようだ。


 マルティナの状態は単純な記憶喪失と様相が異なり、根底には何らかの“謎”がある。保身に走った治癒師たちはまだ誰も謎の存在に気付いていない。


 生贄にされたピルビットは考える。


(ウラスの治癒師たちは確かに優秀だ。だからこそ僕はウラスの門を叩いた。でも、治癒師として優秀だからって、人間として優れているわけじゃない。今のマルティナに潜んでいる謎をこのボンクラどもが知る必要はない。知っているのは僕だけでいい。それが解ける謎であれば僕が解く。いや、むしろ解けなくたっていい。もう僕はこの状況が嫌じゃないし、謎のことはどうせ誰も知らないんだ。はっ、ははは……)


 ピルビットはつい黒い笑いをこぼしてしまった。


 それを見た治癒師たちは当然(いぶか)る。


『何かおかしかったかね、ピルビット君?』

『いえ、今日の治療を振り返って楽しくなってしまい、つい……』


 ピルビットは自分の心が期待に(おど)っていることを自覚した。


(そうだ。今、僕は楽しんでいる。これほどワクワクしているのは、初めて“マルティナ先生”の治療を見学して以来かもしれない。あの新マルティナは面白い。他の誰にも渡すものか)


『大丈夫です。僕はどんな()()が起こっても決して他言しません。見習いの身ではありますが、マルティナ先生の記憶が戻るまで僕が責任を持って支えてみせます。もちろん、それは院長先生方のご助力を賜われてこその話です。管理を一元化する意味でも、陪診につくのはひとりのほうが好ましいように思いますし、僕は貴重な勉強の機会になります。どうか、どうか僕に機会を与えてください』


 ピルビットが少しばかり(ほの)めかした言い方をすると、治癒師たちは難しい顔をして悩む。特に、日中マルティナから治療相談をされた治癒師たちは彼女の危うさを理解している。


 その場では自分が恥をかかないようにすることばかり考えていたから気付かなかったのかもしれないが、落ち着いて振り返ればすぐに分かることだ。


『今のマルティナ先生に治療をさせるのは危険だ。治癒師の任を一時的に解いたほうがいい』

『しかし、実際問題として人手が足りない』

『だからといって、より大きな問題を背負い込むことはあるまい』

『そうは(おっしゃ)いますがね……』


 現在のマルティナの治療能力を“問題”と言い切れる治癒師は多くない。確かにウラスは規模の大きな治癒院であり、優秀な治癒師たちが揃っている。しかし、特別高い能力を持っているのはウラスでもやはりひと握りであり、大半の治癒師は優秀と言っても十人並みだ。決して際立って優れた存在ではない。


 健忘によってマルティナの治療能力は変化し、能力の一部は実際に低下している。しかし、低下してなお、マルティナの治療能力は高い。少なくとも変化後のマルティナよりは高い治療能力がある、と自分の能力に自信を持っている治癒師以外は、マルティナを積極的に仕事現場から排除する姿勢を打ち出せない。


 


 対立に伴う燻りが、その場に嫌な臭いを立ち込めさせる。大きな衝突を嫌った凡治癒師たちはまたも責任者の裁量を求めて院長の顔を見た。


 視線を大量に浴びせられるのが本日二度目の院長は、えへん、えへん、と咳払いする。“前回”の再現度はとても高い。


『科学者も職人も仕事人である限り成長への意志を失ってはなりません。マルティナ先生は記憶を失ってもなお強い成長への意欲を見せています。苦しみ成長する仲間を我々は支えなければなりません。伸びようとする若人の手も引かねばなりません。歩みを止めてはならないのです。マルティナ先生には明日以降も治療を続けてもらおうと思います。治癒院ウラスは病んでなお治癒師の仕事に従事し、学ぶ意欲を失わないマルティナ先生の歩みを支えます。マルティナ先生を支えようとする若い治癒師や治癒師見習いのピルビット君の背中も全力で後押しします。これは院長決定です。いいですね』


 またしても適当に綺麗事を並べる院長を、一部の治癒師は失望の目で見ていた。


(今日初めて気付いた。院長は典型的な、“損切り”できない人間だ。自分の身体に刺さった刃物が心臓に到達するのを黙って見ていることしかできない、今、肉ごと削ぎ落とせば確実に命は助かるのに、怖くてそれができない。できるのは、刺入が自然に停まるのを期待して座視することだけだ。大きな痛みは決して自ら選べない。だからこそ僕は“機会”を得た!)


 冷ややかな目は院長に対してだけでなく、出しゃばった発言をしたピルビットに対しても向けられている。


 ピルビットは同期に先駆け治癒師として治療の一歩を踏み出すと同時に、治癒師たちの泥沼の闘争に足を踏み入れた。




 翌日以降も、新マルティナとピルビットの二人三脚は続いていく。二人で息を合わせて一台の台車を牽引する、とても危険な二人三脚だ。マルティナは左右にふらつきながらも、信じられない勢いで前へ走っていき、引っ張っている台車を何度も転倒させかける。傾いた台車を立て直すのはピルビットか同僚たちの仕事だ。大言を吐いた院長は我関せず、だ。決して自ら手助けしようとしない。


 この危険な二人三脚に不安を覚えるのは何もウラス関係者ばかりではない。マルティナに治療を施される患者もまた、大胆過ぎる彼女の治療を見て激しい不安に駆られる。


 大雑把にも程がある治療を済ませ、勢いよく診療を終わらせようとするマルティナに、ひとりの患者が勇気を振り絞って疑問を呈する。


『先生。俺の怪我は本当に大丈夫なんですか? ちゃんと治してくれましたか?』


 患者の疑惑の目は、ピルビットではなくマルティナに向いており、ピルビットは何も言うことができない。


 するとマルティナは、診療記録を書き記しながら、患者の顔も見ずに片手間に答える。


『私たちはあなたの怪我を自分の目で診て、考え、治療方針を選択し、そして治療しました。あなたはこれら一連の過程を信じてもいいし信じなくてもいい。解釈はあなたに委ねられています。さあ、あなたの治療時間は終わりです。次の患者さん、どうぞ』


(これが大恩あるトラヴィス先生をロジカルハラスメントで怒らせた人間の言うことかよ。くくっ、新マルティナは本当に面白い)


 マルティナはまるで占い師のような口上をすらすら述べると、それ以上は患者との会話に応じずさっさと治療室から追い払ってしまう。


 こんな返事を聞かされて安心して家路に就ける患者がどこの世界にいる。これと似たような遣り取りはマルティナの治療室で何度となく繰り返された。多くの患者は奇怪な文言を聞くと、唖然(あぜん)として治療室を出る。謎の迫力がある今のマルティナに面と向かって文句をつけられる患者はなかなかいない。


 患者はマルティナの治療室で被害者になり、被害者は治療室の外に出てから怒りの感情を思い出す。そして時には治癒院の受付担当者に、時には終業後のピルビットに声を荒げて苦情を申し立てる。マルティナが記憶を失って以降、ウラスに申し立てられる苦情の数は倍以上に膨れ上がった。


 では、マルティナが全ての患者を流れ作業で診ているかというと、これが違うのだ。ひとりの患者を相手に極端に長く診療時間を取ることもしばしばだった。時間をかける患者には、ハッキリした傾向があった。


 まず大前提は患者の意識があること。意識不明の患者にマルティナはダラダラと時間をかけない。必要な治療を終わらせると、とっとと次の患者のところへ行ってしまう。患者の意識があることは、長時間診療の必須条件だ。


 それ以外にもいくつか条件があるようなのだが、それは少し幅があるようだった。


 ウラスで診療しているのは、何も生傷を負った者ばかりではない。慢性病を患った者や、流行り物に身を冒された者も、時としてウラスに救いを求めてやってくる。そういう患者はなるたけ今のマルティナに当たらないように受付担当者が配意するのだが、何分にも忙しいウラスでは、どうしてもマルティナに診させざるを得ない状況が生じる。


 また、患者によっては長年の付き合いでマルティナとの信頼関係が出来上がっており、『記憶を失っていてもいいから、マルティナ先生に診てもらいたい』と強く指名してくる者がいる。それが街のお偉い様だと、受付も拒否が難しい。マルティナが時間をかけることが最も多いのは、こういう社会的地位の高い人間だ。


 長く取った診療時間でマルティナが何をするかというと、別に特別なことは何もなく、ただ患者と話し込む。話す内容は、治療にまつわるあれこれではなく、ロギシーンの最新事情やユニティの将来について、と概ね決まっている。


 治癒師と患者の関係というのは不思議なもので、大きな怪我、あるいは重い病を負った患者は時に、家族にすら話したことのない大きな秘密を、『絶対に口外しないでくれよ』と前置きしてボロリと治癒師に漏らす。これは、迷える者、弱った者が教会で告悔するのに近い心理なのかもしれない。


 マルティナは秘密を打ち明けられると少しだけ悄然(しょうぜん)としてから、すぐに毅然たる態度を取り戻して患者に応える。


『私が持つ力はとてもわずかであり、あなたを悩ませ、苦しませる問題を消し去ることができません。私にできるのは、治る怪我の治りを早め、治らぬ傷病の苦しみを軽減し、私を訪ねる全ての人の心を慰めることだけです。治癒師の私にできることはごくごく限られている。でも、あなたは私のできないことができます。私にはない力を持っています。だからこそ、あなたの肩には重圧と責務が伸し掛かるのです。私にはその重荷を下ろしてあげることも、一緒に背負ってあげることもできません。ただ、重荷で痛んだ肩を撫で、ほんの少しだけ癒やしを与えることができます。私はあなたの秘密を家族にも、治癒院の同僚にも、誰にも話しません。だから安心して休んでください。快癒したら仕事に復帰すればいい。治りが悪ければ、またここに来ればいい。快癒しても、また重荷に押し潰されそうになったとか、新しく病気を患ったならば、そのときもここに来ればいい。怪我には回復魔法をかけましょう。病には薬を練りましょう。悩みには共に心を痛めましょう。誠実に生きるあなたを私は常に受け入れます』


 マルティナは治癒師というよりも司祭のような受け答えをする。健康な人間には、マルティナの答えが“幻惑”やまやかしのようなものにしか思えないかもしれない。だが、病める者は、そういう受け止め方をしない。漠然と広い解釈を包む答えに患者は光を見出す。マルティナがもたらす不気味な光に魅入られた者たちは、目の中に怪しい光を灯して帰っていく。


 ピルビットは彼らの眼差しを見て何度もこのように思った。


 洗脳されて正気を失った人間のようだ、と。


 これは必ずしも極端な解釈ではない。マルティナの言葉は、()()()()に強い影響を受けている。それは本来ならばありえないことであり、だからこそ“謎”の心臓に通じる道のように思われる。




 マルティナの変化を物語る逸話は他にもまだまだある。中でもひとつピルビットの印象に深く残っているのがこれだ。


 ある日、ひとりの男性がマルティナを指名して診察を希望した。ここではその男性をジャミと呼ぶことにしよう。ジャミは壮年期から中年期に入りかけた、マルティナよりも少し年上の常連患者だった。いつも診療にかこつけてマルティナに猥談(わいだん)を持ちかけては、嫌がる彼女の素振りを見て楽しむ、どうしようもない奴だった。


 その日、ジャミが治癒院を訪れた理由は、わざわざ治療を受ける必要などない、ほんのわずかな擦り傷だ。こんなのはいつものことである。治療とはただの名目で、ジャミの目的は自分の仕事をサボりがてら、マルティナに会うことだ。もちろんジャミはマルティナが記憶を失ったことを知っている。


 ジャミは人間性に劣っていても、社会的地位はそれなりに高い。特別な顧客からの指名とあって、ジャミの対応はピルビットではなくマルティナが行った。


 ジャミはいつも以上に期待に胸を躍らせた顔でマルティナをからかう。


『いやあ、俺もまだまだ若いみたいでさ。仕事中でも()()になっちまって困ってるんだ。ちょいと一発、先生がなんとかしてくれないかな、ヘヘヘ』


 ジャミの顔に張り付いているのは女性を辱めることに悦びを見出す歪んだ笑顔だ。決して、随意にならない身体症状に困り果てた人間の表情ではない。


 こういう卑猥な話を振られるとマルティナは決まって気まずそうに黙り込む。気丈な女治癒師なら、こういった馬鹿な男の頬を思い切り張るのだが、マルティナはそういった対応のできない人間だ。


 普段であればそんなマルティナを陪診者が割り入って助ける。しかし、今のマルティナの陪診に当たっているのはピルビットだ。ピルビットは動かない。


 それどころか、ピルビットの心は期待に震えていた。マルティナがこの下劣な馬鹿者を如何様(いかよう)(ちゅう)するのか楽しみで仕方なかった。ジャミに対して怒るどころか、ニヤニヤと笑みを浮かべて成り行きを静観している。


 ジャミはピルビットの醜悪な笑みを見て(わら)う。もしかしたら、ピルビットは自分と同類の人間、とでも思ったのかもしれない。“観客”の無言の応援に気を良くしたジャミは、膝部分の創処置を手際よく行うマルティナの無防備な胸元に、ねっとりとした視線を注ぐ。


 今のマルティナはとんでもなく他者の視線に対して敏感だ。ジャミの視線に気付いていないはずがない。それなのにマルティナはまるで動じずに処置を終わらせると、そのまま診療机に向き直って真面目な顔で考え込む。


『あなたは最近、何度も怪我を負ってウラスに見えていますね。性機能の異常は、怪我を切っ掛けに起こったのですか?』

『うんにゃ、怪我は関係ねえな。俺は昔っからこうなのさ』

『昔とは、どれくらい昔なのです』

『昔ってのは昔だよ』

『うーん、もっとハッキリ言ってほしいです……。では、耐え難い喉の渇きや著しい尿量増加はありますか?』

『泡酒なら底なしに飲める。飲めば、そりゃあ出るもん出るわな』

『尿崩の線は捨てきれない……。一般的には機能低下をきたすとされているが、全く逆の症状をきたすこともある』


 マルティナは少し口調を変化させて手元の診療器具をクルクルと器用に回した後、自信満々の笑顔で男に提案する。


『原因は色々と考えられますが、原因検索よりも、あなたを困らせている症状の解決を優先しましょう。そういうのに覿面(てきめん)効く、良い注射があります。注射といっても痛みはあまりありません。どうします、今日やっていきますか?』

『ええっ!? 本当にいいのかい? いいなら、是非注射を()()()()ぜ』


 マルティナから思わぬ返答が得られ、嬉しさ半分驚き半分といった様子でジャミは注射を請願した。


『分かりました。すぐ準備します。そこの寝台に横になり、下服を下げて待っていてください。あ、一応聞いておきますが、あなたは独身ですね。子供を作る予定はありますか?』

『若々しくは見えても、俺はこの年齢だぜ? 子供は全然考えてなかったよ。でも、もしも先生が欲しいっていうなら、それはそれで――』

『ええ……? そういうのは治癒師の意見に左右されるべきものではなく、自分の考えで決めることだと思いますよ。とにかく、挙児希望は無い、ということでいいですね』

『ああ、そのほうがお互い、都合がいいだろ?』


 ジャミの返答を聞いたマルティナはピルビットに指示を残すと治療室の奥へ引っ込み、鼻歌を歌いながらカチャカチャと物音を立てて、注射の準備を始める。


 ピルビットはマルティナに与えられた指示に従って男を寝台の上にうつ伏せに寝かせ、男の下半身が隠れるように視線を遮る覆い布を引いていく。


 笑顔で準備を整えるピルビットにジャミはヒソヒソと話し掛けてきた。表情は若干緊張気味である。


『先生って、ああ見えて好き者だったんだな。記憶と一緒に束縛が消えて、本能で生きてます、って感じがするぜ。あの嬉しそうな顔を見ただろ? あれがマルティナ先生の本性だ、ぐふふふう』


 治癒師には患者を治す本能のようなものが備わっているのだろうか、とボンヤリ考えながら、ピルビットは、『そうですね!』と抑揚だけは快活にジャミに生返事した。


 治療室内の三人は三様の期待で楽しそうにしている。優しい空間がそこには広がっていた。




 やがて用意を済ませたマルティナが部屋の奥から戻り、寝台の端に腰を掛けた。二人分の体重が掛かり、木製の寝台がギシリと悲鳴を上げる。


『では、下着を脱がしますよ。腰を浮かしてください』

『お、おう。なんか先生、手慣れてんな。最初は下向きに寝たままでいいのか? ま、慣れ親しんだ手順があるなら任せるけど、とにかく優しく頼むぜ。俺ってば、こういうの案外緊張しちゃうほうだからさ、へ、へ、へ』


 覆い布が引かれているせいで、ジャミからはマルティナが何をやろうとしているのか見えない。視界が妨げられていると人は誘導に従いやすくなるものであり、それを証明するようにジャミはいつになく従順にマルティナの指示に応じている。


 一方、ピルビットの立ち位置からはマルティナが治療室の奥から持ってきた道具の全てが見える。これから行われる治療に見当がついたピルビットは、こみ上げる笑いを噛み殺すため、必死に自分の太腿の肉を(つね)りあげた。


『最初に痛み止めの魔法をかけますね』

『ん、痛み止め……。俺に? 先生に?』


 マルティナの言葉の意味が分からず、ジャミが聞き返す。


『どうして私に魔法をかけるのです。患者はあなた。私は治癒師。あなたにかけるに決まっているではありませんか。変なことを言わないでください』

『変なこと……かなあ……?』


 マルティナ先生、そいつは普段から変なことしか言わないんです、とピルビットは言いたくて言いたくて仕方がない。ブルブルと身体を震わせながらも、ピルビットはなんとか言葉を飲み込んだ。


『よし、魔法は完了しました。今、触られているのが分かりますか?』

『分かるけどよ……。今、先生が触っているのは俺の尻じゃねえか。俺は、別にそっちの趣味は――』

『痛みは感じませんか?』

『うん? 痛くはねえよ。……って、おいおいおい? 先生、一体何をやってるんだ?』


 色欲、期待、緊張、疑問。本日、治療室に入ってきてからというもの、ジャミの声が含む色は刻々と変化している。


 手を伸ばして覆い布を除ければ疑問は解ける。ジャミは衝動的に身体を動かしかけた。


『あっ、針を使っているので動くと危ないですよ。大丈夫。あと一本で終わりますからね』

『ひえっ、針っ!?』


 繊細な部分に針を当てられていると知り、ジャミは硬直して動くのを止めた。


(だから、マルティナは最初に“注射”って言ったじゃないか。何を今さら驚いている)


 ピルビットは面白くって愉快で仕方ない。もしも、ピルビットからこの場で理性を取り去ったら、大笑いしていたことだろう。


 事態を飲み込めないジャミの声が含む疑問の色は恐怖の色へ変化し、震える声でマルティナに尋ねる。


『先生が何を言っているのか、俺には全然分からねえよ。俺はまだ何も――』

『はい、終わりました。では、ピルビット、後はよろしくお願いします。片付けが終わったら彼を椅子に座らせて、次の患者の入室準備をしてください』


 マルティナはそう言って寝台から立ち上がると、机の前に座り診療記録を書き始めた。


 ピルビットは治療が終わったジャミに下着と下服を着直させると、覆い布を外した。


 ジャミは自分の身体に何が起こったか分からぬまま、再び椅子に座らされた。催眠術にでもかけられたかのようなトロンとした顔でジャミがマルティナに尋ねる。


『先生は、俺に何をやっていたんですか?』

『え? やだなあ。注射をする、と言ったではありませんか。意図せぬところで勃起するから困っていたんですよね? 原因はハッキリしませんが、原因究明に拘泥するのは時に下策です。取り敢えず問題を解決する手段を選ぼう、ということで、前立腺の裏側を通る神経に注射しておきました。即効性がありますので、もう効果は出ているでしょう。平常時はもとより、性的思考を巡らせても性的な刺激を受けても、もう何も反応しないはずです。子供が欲しい人には選択できない、やや不便な治療ではありますが、あなたのように挙児希望がない方には安心して使えます。ああ、あと、あまり失敗はない治療ですが、もし反応があった場合はもう一度同じ注射をできますので、そのときはまた治癒院にいらしてください。では、治療は以上です。待合室で会計をお待ちください』


 ジャミはあんぐりと口を開け、椅子の上でそのまま動かなくなった。ピルビットは茫然自失となったジャミの脇に身体を入れて無理矢理立たせ、治療室の外へ連れ出した。ジャミはその後、待合室で人目も憚らずにさめざめと泣いたと言う。


 ジャミの悲嘆を知らぬマルティナは治療後、ピルビットにこう呟いた。


『治癒師をやっていると色々な悩みに遭遇しますね。これもまた勉強です。治療手法は多数備えておくに越したことはありません。さっきの患者さんの表情は凄かったですね。喜び過ぎて呆気にとられていましたよ。あれだけ喜んでもらえると、私も治癒師冥利に尽きるというものです』


 マルティナが行ったのは、嫌がらせをする下衆男への仕返しではない。マルティナにとって、あれは純然たる治療行為なのだ。


 ピルビットは自分の嗜癖がますます歪んでいくのを感じながらマルティナの独語じみた呟きに答えた。


『僕も“いいもの”が見られて、とても嬉しいです』


 マルティナとピルビットはお互いの顔を見ると、にっこりと微笑みあった。


 上機嫌となったマルティナはその日、更に過激度を増して患者を診ていくのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] もし政治家だったら「子供の学費が高くて払えないんですよ!」とか言われたら子供の方を減らしそう
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