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第三四話 追想 ジェシカ 二

 クレイブの翻意を引き出せぬままに盗賊団スペルジーチェは事を進める。首領クレイブと副首領ボロゴンの指示の下、半年以上暮らした拠点に溜め込んだ物品を荷造りしていく。これはただの引っ越しではない。この拠点を発つとスペルジーチェは当面、家というものがなくなる。転居ですら不向きな冬の只中に拠点を放棄するという危険性は並々ならぬものである。しかし、所属人員のほとんどは、寒くて面倒くさい、くらいにしか思わずに荷をまとめ、首脳陣の意見に唯々諾々と従って細街道脇の拠点を放棄した。向かうは旧拠点の東、マディオフが誇る三大都市のひとつ、アーチボルクだ。


 除雪の手が入らない冬の細街道を難儀して進み、冬のフィールドを駆ける魔物に出会っては戦い、簡素な野営を作っては寒さに震え、苦労に苦労してアーチボルク郊外に彼らは辿り着いた。


 大荷物を抱えた集団が街を出入りしては目立つ。街の外れも外れで彼らは待機し、クレイブら少数人だけがアーチボルクの街の中へ入った。


 クレイブは比較的すぐにスペルジーチェの待機場所へ戻ってきた。先日、クレイブがパナシェの街で会ったというモラドなる男はアーチボルクにおいて確かに根回しを行い、人を回していた。モラドに差し遣わされた、という“協力者”を引き連れてクレイブは洋々と仲間の下へ戻る。


 陰気な顔をしたその協力者はトレイと名乗った。トレイの話を聞くに、誘拐の細かな手筈は矮石化蛇(バズィリシュカ)側で全て整えてある。


 誘拐の決行場所はダンジョンの墳墓内。スペルジーチェは標的の身柄を確保したら速やかに墳墓を脱出し、奥深いフィールドに用意された場所に人質を連行してしばらくの間そこに潜伏する。身代金の受け取りはスペルジーチェとは全く別の班が行い、身代金入手後、スペルジーチェは人質を解放する。そして、潜伏に用いた場所とはまた別の場所で取り分を受領する、という寸法だ。


 長々と誘拐計画の概要を説明されても、団員の大半は理解が及ばない。彼らが同時に覚えていられる事象は三つか四つ。そこで、彼らは熱心に話を聞くフリに専念している。


『作戦内容を理解する、などという“頭脳労働”は俺の専門外。いざ本番になったら、首領や副首領らが指示するとおりに動けばいい』


 彼らは常々、そう公言して憚らない。ブリーフィングは彼らにとって、退屈を持て余す時間にすぎないのだ。


 凡団員にとってはその程度のものでも、ジェシカたち切れ者にとっては極めて重要な説明である。トレイの説明から察するに、この誘拐はかなり入念に計画されている。スペルジーチェが担うのは誘拐という巨大な舞台のほんの一幕に過ぎない。


(人質を確保して潜伏場所に連れて行った時か、身代金の受け取りに成功した段で、ウチらは矮石化蛇(バズィリシュカ)から切り捨てられるかもしれない。これは誘拐決行前にタイミングを見計らって団から脱走したほうがよさそうだ)


 矮石化蛇(バズィリシュカ)からしてみれば、スペルジーチェは仲間でも下部組織なんでもない、ただの使い捨ての駒だ。矮石化蛇(バズィリシュカ)は遅かれ早かれ口封じの暗殺者をスペルジーチェに遣わす。盗賊団から足を抜くならば、その暗殺者に顔を覚えられる前が望ましい。


 タイミングを逃せば暗殺者に殺される。気が逸り、不適当なタイミングで逃げ出すと誘拐計画そのものが中止ないし延期になるかもしれない。それは矮石化蛇(バズィリシュカ)からしてみれば計画の妨害にあたる。矮石化蛇(バズィリシュカ)の計画を妨害してしまうと、矮石化蛇(バズィリシュカ)の怒りはジェシカひとりに向けられる。怒り狂う矮石化蛇(バズィリシュカ)がスペルジーチェに指示すれば、うんざりするほど顔をよく見知った盗賊団員たちがジェシカを捕らえに奔走することになる。


 脱走時期は早すぎても遅すぎてもダメ。タイミングを見誤れば死ぬだけだ。ジェシカは人知れず息を呑む。




 作戦の概要説明を終えた協力者トレイはスペルジーチェにその場で引き続き待機を命ずる。これには団員一同、一斉に反発する。冬場の長旅によって団員は誰しも深く疲労している。アーチボルクの街中に早々に宿を取り、久々に暖かい屋内で休息したい。その場の全員がそう考えていたはずだ。しかし、どれだけ非難を浴びせられてもトレイは街への立ち入りを厳に禁ずる。


 反発は次第に怒りへ変わり、協力者が何するものぞ、と禁止令を無視して街へ入ろうとする者が現れる。ひとりが行動に出れば、すぐに二人、三人と続く。トレイは云わば矮石化蛇(バズィリシュカ)の代理人。その代理人の言いつけを無視しようとする者たちをクレイブが押し止める。「言うことを聞かないとぶん殴るぞ」と、首領であるクレイブに実力行使をちらつかされては彼らとしてもどうしようもない。


 全員渋々、そのまま寒い野外で時間を潰していると、そろそろ日没という時分になってスペルジーチェの下へまたひとり見知らぬ男が近寄ってきた。


 男の顔を見たクレイブは、「モラドさん!」と大声で叫ぶと、今まで団員に見せたことのない卑屈な笑顔を浮かべてすり寄っていく。


(こいつが矮石化蛇(バズィリシュカ)の幹部を名乗る『モラド』か……)


 モラドはクレイブと二言三言を交わすと、固唾を呑んで様子を見守る団員たちをギロリと睨んだ。身体つきはトレイやクレイブより少し小さいものの、えも言われぬ圧力がある。


「お前らがクレイブ自慢の部下どもだな」


 偉そうな物言いにジェシカは反発を覚えるが、首領であるクレイブはモラドの横で揉み手を始めても違和感がないほどの媚びた表情を作って佇立している。首領が従順隷属を貫いている以上、態度が横柄な程度ではジェシカも団員も文句を言うことはできない。


「お前たちは作戦の重要な部分を担う。作戦決行は当分先の話。それまでの間、作戦準備として訓練を積んでもらう。この辺りの地理を覚えること、フィールドの魔物に対応できるようになること、墳墓のアンデッドを屠れるようになること。課題はいくらでもある。今日は手始めに墳墓に向かい、アンデッド殲滅に励んでもらう」

「はあ~?」

「んなこと、できるかよ!」

「俺たちは疲れてるんだよ!」


 団員が黙って話を聞いていられたのはものの数十秒だった。彼らは矮石化蛇(バズィリシュカ)の幹部に会いさえすれば休息が取れると思い、耐えていたのだろう。それが言い渡されたのは真逆の命令。ダンジョンに行って魔物退治の練習をしろ、と言う。先程、トレイに文句をぶつけた時以上の大音声で団員たちが一斉に不満を叫ぶ。


 ならず者が大勢で上げる怒号というのはそれなりに迫力あるものだというのに、モラドは臆する様子を微塵も見せない。


 そんなモラドを見てジェシカは考える。満堂をのんだ態度からするに、モラドはこのような形の圧力に曝され慣れている。反対意見を述べるにしても力押しは皆目、用をなさない。


「どうしてまた夜なんだい? 私たちが疲れているのは本当だ。一晩休んで、明日の日中から墳墓に行ってもいいじゃないか」


 ジェシカは矮石化蛇(バズィリシュカ)の方針に口を挟むつもりなどなかった。だが、疲れが溜まっているのは他の団員と同様だ。これから墳墓に向かいダンジョンに籠もるとなると、疲労の蓄積はかなりのものになる。疲労困憊になるのを厭い、つい質問を呟いてしまった。


「日中は信学校の学生と修道士の能力を持つ引率の教師どもがいる。二大教会のお抱えハンターもな。そいつらに目撃されることなく演習できるのは夜だけだ」

「なら、明日の夜からでいいじゃねえか!」


 すかさずロスが反論すると、モラドは表情をピクとも動かさずにクレイブの方を向いた。


「クレイブ。今、文句を言ったやつを殺せ。そいつは矮石化蛇(バズィリシュカ)に歯向かう敵だ」

「ま、待ってくれ。ロスは腕利きだ。必ず作戦遂行の役に立つ。俺が言って聞かせるから、今は勘弁してやってくれ」


 非情なモラドの言葉に泡を食ったクレイブは部下の助命を嘆願する。そんなクレイブをモラドは凍りつくような冷たい目で見据える。


「……では、そいつの処分は保留としよう」


 緊張の走ったスペルジーチェ一同に安堵が広がる。しかし、心底から安堵しているのは頭の鈍い者だけだ。


「もし、次に誰かが文句を言った場合、保留分とあわせて処分を行ってもらう。今回、保留にすることで生じる利子と合計して、そうだな……。三人だ。三人殺せ。文句を言った奴が作戦の役に立つというなら、文句を垂れた本人でなくとも構わん。役立たずでも反乱分子でも、誰でもいいからとにかく三人だ。それに従えないのなら、お前ら全員を敵とみなす」


 全く表情を変えずに淡々と語るモラドを見て、一同は静まり返る。


 この誘拐計画は決して規模の小さな犯罪ではない。末端で動く実行犯の数はおそらく百を悠に超す。その実行犯たちは元が全員犯罪者なのだ。犯罪者は概して一般人集団よりも我が強い。しかも、犯罪者にも出来不出来があり、数を多く集めれば有象無象も増えるというもの。一大犯罪の陣頭指揮を任されているだけあり、モラドは聞き分けのない実行犯に対する“首輪の付け方”を心得ていた。


 ものの数分で首輪をはめられたスペルジーチェは以降、不平不満を漏らすことなくモラドの指示に従う。


 アーチボルクの西端を発ったスペルジーチェが歩くことしばし、冬の夜という仄明るさの中に佇む墳墓の入り口に到着した。誰もいないヒンヤリとしたダンジョン入り口を通り抜け、クレイブ以下、戦闘力に秀でた団員が先頭となって仄暗いダンジョン内を進んでいく。


 墳墓入りから一時間と経たないうちに、彼らの前に最初の住人が姿を現す。それは、人間が着る衣服にしてはあまりにもずた襤褸(ぼろ)(きれ)を纏っていた。最下級のアンデッド特有の鈍重な動きが、紛い物の屍であることを一行に確信させる。


 墳墓に来たのはアンデッド討伐の練習のためだというのに、アンデッドを目にしてスペルジーチェの動きが固まる。


 彼らがアンデッドを初めて見るのか、というと、決してそんなことはない。ただのアンデッドであれば、地上で何度も見ている。倒したことも数知れない。しかし、彼らはフィールドや街道沿いを仕事場とする盗賊団でありダンジョンには馴染みがない。ダンジョン内に湧くアンデッドにはかつてない緊張を覚えていた。それはある意味で、とても正しいと言える。


 ある土地では食に適していた作物が、また別の土地に植えるとなぜか毒を持ち食に適さなくなる。これと似たような話は枚挙に(いとま)がない。ダンジョンに出現するアンデッドはフィールドに出現するアンデッドよりも強いかもしれない。そんな考えがスペルジーチェの人員の脳裏をよぎったのだろう。もちろん、学のない彼らがそのような訓話を知っていた可能性は低く、おそらく本能的なもの。だが、これは生物として決して間違った反応ではない。


 一番強い首領のクレイブですらそうだったのだから、ジェシカ他、恐れおののく団員たちのことを誰が責められよう。


「うおおおおおおお!!」


 クレイブはひとつ怒声を発してアンデッドに斬りかかる。それを号令としてスペルジーチェの先頭集団が行動を開始する。切り込む首領の後に続くのは、もはや習慣的、反射的なものである。しかし、彼らの動きは普段の活動時を思えば、信じられないほどに鈍い。


 生硬(せいこう)な戦いしかできないスペルジーチェであったが、そんな彼らでも問題なく倒せてしまうほど最下級アンデッドである“ウォーカー”は弱かった。複数人で囲んで一体のウォーカーを袋叩きにした後、彼らは顔を見合わせる。


「へ、へへへ……。倒せたぜ」

「なんだよ。てんで弱っちいじゃねえか」

「だから言っただろ? ただのウォーカーだって。アンデッドサージェントやアンデッドコマンダーじゃないんだ。楽勝よ、楽勝」

「そんなこと言ってたか?」

「ただの強がりだろ」

「何だよ、絡みやがって。お前が一番腰引けてたくせに」

「お前のほうが引けてただろ!」


 息詰まる恐怖から抜け出した団員たちはお互いをおちょくり合い、より緊張を(ほぐ)していく。


「最弱アンデッドを一体倒しただけでこの浮かれようか。活動実績のある盗賊団とは思えんな」


 墳墓探索に同行するモラドは冷ややかな目でスペルジーチェの馬鹿騒ぎを切って捨てる。


「そう言わねえでくれよ、モラドさん。俺たちはハンターでも修道士でもないんだ。アンデッド退治には慣れてねえ。今のはほんの肩慣らし。次からはガンガン行きまさあ」


 墳墓に出現するウォーカーの強さがフィールドのウォーカーの強さと変わらないことに安堵したクレイブがヘコヘコと低姿勢でモラドにすり寄る。


「作戦決行時にはやらねばならんことがいくらでもある。作戦参加人員は全員がウォーカー程度、一捻りにできねばならん。クレイブの腕がソコソコ立つのは知っている。問題なのは他の奴らだ。実力証明のために、次にウォーカーが出てきたら一人ひとり順番に戦え。ウォーカーを倒せたら、そいつは本作戦の人員に加えることとしよう」

「倒せなかったら……?」

「そいつはそのままウォーカーの餌だ。助けには入るなよ。助けたとしても、そんな雑魚は作戦人員に加えられん」


 あまりにも心無いモラドの言葉に、少し(ほぐ)れかけていたその場の空気が一気に凍りつく。


「とはいえ、俺も決して非道なばかりではない」

「で、ですよね。それならそうと――」

「ウォーカーに倒された奴の救助をしてはならんが、介錯ならば見過ごしてやろう。どうだ、安心しただろ?」


 重ねて放たれる非情な言葉に、これ以下は無いと思われたその場の空気の温度が更に一段引き下げられる。


「おい、お前ら。死ぬ気でアンデッドを倒すぞ!」


 モラドに口答えすると仲間の命を手にかけねばならなくなる。かといってモラドに歯向かっても矮石化蛇(バズィリシュカ)に報復される。


 スペルジーチェの生存の目はアンデッド討伐の先にしかない。それを理解したクレイブは何が何でもウォーカーを倒すべく仲間を鼓舞する。


 クレイブに号令をかけられても一同は動き出そうとしない。


 そこでジェシカはボロゴンに助言(しさ)を与え、それを聞いたボロゴンが全員に指示を出す。


「次に出現したアンデッドが複数体だったら全員で戦おう。注意点としては、ウォーカーを一体だけ最後まで残しておくこと。敵を残り一体まで減らしたら、その残った一体をロスが倒す。もちろん、出てきたアンデッドが最初からウォーカー、一体だけだった場合もロスが戦う。ロスは楽勝でウォーカーを倒せるはずだ。そしたら、次はビータだ。アンデッド集団に会ったら同じようにウォーカーを一体だけ残し、ビータが戦う。以下は繰り返しだ。強い順にウォーカーを倒していこう」


 ボロゴンにそれらしい案を提示され、一同は感心した顔で頷く。


 ボロゴン経由でのスペルジーチェの操縦が上手くいったことにジェシカは胸をなでおろす。


 誘拐作戦決行前にスペルジーチェから脱走する、とジェシカは心に決めている。スペルジーチェ結成からこれまでの間、団員の馬鹿さ加減に閉口したこと、苛立たされたことは数知れない。しかし、だからといって彼らのことを憎んではいない。目の前で仲間が死んでいくのは見たくない。


 強いメンバーから順にアンデッドを屠っていけば徐々に緊張は解れ、普段の実力を発揮して全員がウォーカーを倒せるだろう。そう考えたジェシカは団員の無駄死にを避けるべくボロゴンに助言を与えたのである。


「さあ、奥に行こう」


 名参謀ボロゴンに与えられた具体的かつ優れた指示により気を取り直したスペルジーチェは移動を再開した。




 一同は墳墓の奥へ進み、出現するアンデッドを一体また一体と討伐していく。その度にモラドの合格基準を達成する団員がひとりまたひとりと増えていく。


 モラドの言葉は恐ろしくはあるが、単独でウォーカーを倒せ、というのは、試験として決して無茶なものではない。ウォーカーは最下級アンデッドであり、装備を揃えて油断なく立ち向かえば苦戦する相手ではない。スペルジーチェは仮にも盗賊団であり、ウォーカー討伐程度はおしなべてできる。


 少々の時間をかけて団員全員がウォーカー討伐を達成し、一同に笑顔が戻る。矮石化蛇(バズィリシュカ)という底知れない集団と、狂気を露にしたモラドに対する恐怖こそ完全には拭えていないものの、戦闘時の動きに関してはいつもの調子を取り戻している。


 全員がモラドの試験に合格したことでウォーカーを一体だけ残す必要がなくなり、スペルジーチェがアンデッドを倒すペースは一気に上がった。アンデッド出現、即討伐を繰り返してテンポよく道を進んでいくと、いつしかダンジョン内とは思えないほど広い空間に出た。


「おおお!? 何だ、この場所は?」


 空間の広さに驚いたクレイブは、呆れるほど高いところにある天井を仰ぎながらフラフラとフロアの中央へ進んでいく。


「クレイブ。こりゃダンジョンのセーフティーゾーンだぜ」

「あー、それそれ。それだわ。完全に思い出した」


 知ったかぶりでもしたいのか、クレイブは上を向いたままボロゴンに生返事する。


「よーし。ずーっと歩きっぱなしだったんだ。ここらでちょいと休憩しようぜ。……いいですよね、モラドさん?」


 慣れぬダンジョン探索で先頭を歩き、神経を尖らせっぱなしだったクレイブは緊張感のない顔で休憩を提案した。そして言葉を発した直後に畏怖すべき同行者の存在を思い出し、慌てて承諾を得るべく諂う。


「ああ、身体を休めろ。だが、時間は短めにしておけ。帰路にかかる時間を思えば、夜明けまで余裕がタップリあるとは言えん。日中になれば、また信学校のガキどもが墳墓に入ってくる」


 これが矮石化蛇(バズィリシュカ)なりの飴と鞭なのか、ウォーカー討伐前に比べるとずっと優しい声でモラドはクレイブに休憩を許可した。


 モラドの許しが得られたスペルジーチェは背負っていた重い荷物をセーフティーゾーンの地面に下ろすと、休憩にしては大胆に荷物を広げていった。




    ◇◇    




「いやー、誘拐ってのはもっと単純で楽な仕事かと思ったけど、矮石化蛇(バズィリシュカ)が手掛けるとなると立派なもんだよな!」

「ああ。訓練までするってーと、一流の仕事人になった気分だぜ」


 少しでもモラドからの覚えをめでたくすべく、スペルジーチェは手持ちの物資でモラドを(もてな)し、彼らなりに精一杯の巧言を捻り出す。


 ジェシカなどはクレイブのたっての命令により、酌婦の真似事をさせられている。ジェシカにしてみれば酌をする相手がクレイブからモラドに変わっただけであり、やっていることはいつもと変わらない。粗相だけはしないように注意しながら、それ以外は特に何も思わずにクレイブ秘蔵の銘酒をモラドの漆杯に注ぐ。


 スペルジーチェの浅い思惑を見抜いてか、モラドはニヤニヤと笑いながら接待を受けていたが、小腹を満たす程度に糧食を摘まんだところで腰を上げた。


「そろそろ行くぞ。チンタラしていると夜が明ける」

「了解しました。おい、お前ら。荷物を片付けろ。引き上げだ! って、あれ……」


 クレイブが首領に似合わない、何とも締まりのない声を上げる。


「あいつら、どこ行った?」


 か細いクレイブの声につられてジェシカも立ち上がり、セーフティーゾーンをグルリと見回す。


 セーフティーゾーンの地面には、スペルジーチェの荷物がそこら中に広げられている。さっきまでそこで騒がしく休憩を取っていた仲間の姿がトンと見当たらない。飲みかけの水筒やら食べかけの糧食は、そっくりそのまま転がっている。


 気が付くと、セーフティーゾーンにいたのはモラド、トレイの接待される側二人、あとはクレイブ、ロス、ボロゴン、ジェシカの接待する側四人。合計六人しかいなくなっていた。


「ボロゴン。あいつら、中層の方でも見に行ったのか?」

「知らない。俺は何も聞いてない。ていうか、十分くらい前に横を見た時は、あいつら全員いたぞ」

「テイト! ジョニー! 隠れてんのか!」

「フランク! ブリット! おーい!」


 クレイブとロスは仲間の名前を疾呼する。


「ビータ! ローザ! キット! 聞こえる!?」


 事態の異様さを察し、ジェシカも大声で女性陣の名を呼ぶ。


 しかし、呼びかけはセーフティーゾーンに虚しく響くばかりでどこからも返事がない。


 三人が叫ぶのを止めて木霊が消えると、セーフティーゾーンは途端に静かになった。風が作り出す風洞音しか響かないセーフティーゾーンは、先程よりもグンと巨大になったように感じられる。


「何だ……? セーフティーゾーンに迷い込んできたアンデッドにでも襲われちまったのか……皆?」


 クレイブが想定される最悪の事態を震える声で語る。


「アンデッドに襲われたのなら叫び声を上げるはずだよ、クレイブ」


 怖気づくクレイブと自分の心を勇気づけるべく、できる限り冷静にジェシカは言った。


「そ、そうだぜ、クレイブ。あいつら、俺たちをびっくりさせようとして、どこか物陰にでもこっそり隠れてるんだろ……」

「ああ、そうに違いねぇ」


 願望めいたロスの意見にボロゴンが同調する。


 モラドとトレイ、矮石化蛇(バズィリシュカ)の二人は顔色ひとつ変えることなく帯びていた小剣を抜いた。


「ひいっ……」


 抜剣したモラドたちに怯え、クレイブがかつてないほどに情けない声を上げる。


「お、落ち着いて……モラドさん……」


 モラドは剣尖をスッと動かしてクレイブに向けた。


「クレイブ。中層入り口の様子を見てこい。お前の馬鹿な手下が隠れんぼをしているなら、さっさと引っ張り出せ」

「お、俺ひとりで、ですか?」

「連れが欲しければひとりでも二人でも連れて行け」

「じゃ、じゃあ、ロス。俺と一緒に見に行こうぜ」


 ロスは引き攣った笑みで首を細かく左右に振り、随行を拒絶する。


「大丈夫だって! あいつら、悪ふざけしているだけだって! だから、付いてこいって!!」


 クレイブが腰に提げていた剣を抜くと、攻撃されると思ったのかロスも慌てて抜剣する。


「そうだ。それでいい、ロス。ただし、剣を振るうのは俺にじゃねえぞ。もし……もしも中層側にアンデッドがいたら俺と一緒に戦うんだ……。分かったら、俺の後ろに付いてこい」


 クレイブはロスに背を向けると、構えを取ったまま一歩一歩ゆっくりと中層側に向かって歩いていった。


「ボスの指名だ。お前も行け」


 その場で立ち尽くしていたロスだったが、モラドに促されて渋々クレイブの背中を追う。




 亀のようにゆっくりとした歩みで進むクレイブとロスは長々と時間をかけて中層に繋がる道の端に辿り着き、恐る恐る道の奥を覗く。それからセーフティーゾーン真ん中で待つモラドらに向かって叫んだ。


「道には誰もいませんぜ、モラドさーん!!」

「ならば道の奥を見てこい。最初の曲がり角か岐路まで当たって誰もいなければ戻ってこい!」


 中層の魔物は上層に比べて段違いに強い。その中層の様子をたった二人で見てこい、という指示にクレイブとロスはしばらく躊躇していたものの、そこで立ち尽くしていたところで指令から逃れることはできない。


 数分の時間をかけて覚悟を決めると、クレイブとロスの二人は中層へ伸びる道に消えていった。


 そして、そのまま戻ってこなかった。




「おい、モラド。どうする?」


 墳墓に入ってからほとんど口を開かずにいた協力者のトレイがモラドに尋ねる。


「いなくなった奴らは全員、中層に消えていったのか? それにしては、それらしい気配やら騒ぎ声やらは全くしなかった……。どうするもこうするも、ここを出るしかないな。おい、女!」


 モラドはジェシカを振り向いて声を荒げる。


「な、何だよ」


 この場に至っても凄もうとするモラドにジェシカは辟易とする。


「俺たちはこれから墳墓を脱出する。お前が先頭を歩け」

「なんであたしが? ボロゴンに歩かせればいいじゃないか!」

「そいつはダメだ。愚図すぎて役に立たん。お前が先頭を歩け」


 モラドとトレイがジェシカに剣を向ける。二人がかりで威嚇されては堪らない。


「わ、分かったよ。行きゃあいいんだろ」

「つべこべ言わず、さっさと行け」


 ジェシカは懐に忍ばせていた小剣未満の短剣を鞘から抜いてギュッと握りしめた。


 セーフティーゾーンには出入り口が二つある。ひとつはクレイブとロスが消えた、中層に繋がる出入り口。もうひとつは、上層に繋がる出入り口。その上層に繋がる出入り口へ向かってジェシカは歩きだす。


 クレイブやロスら同様、彼女の荷物もセーフティーゾーンに放っぽりだしたままだ。その荷物に惜しさを感じるものの、荷纏めの時間をモラドとトレイが与えてくれるようには思えない。荷の持ち帰りを諦めたジェシカは意識を前方上層側に向け、一歩一歩慎重に歩みを進める。


(クレイブとロスの二人は、出入り口までは無事に辿り着いた。中層へ伸びる道の奥で何かあったんだ。なら、私も……)


 ジェシカには、上層へ伸びる道に足を踏み入れたところで自分の命が絶たれてしまうように思えてしかたなかった。出入り口が近づくにつれてジェシカの足取りはどんどん重くなっていく。


「グズグズするな。キビキビと歩け」


 終焉の最前部に立たされるジェシカの気も知らず、後ろでモラドが冷たく言い放つ。


(どうしよう? 道に入ったら、そこから全力で走るか? アンデッドも危険だが、矮石化蛇(バズィリシュカ)も危険だ。墳墓を無事脱出できたとしても、多分ウチらはモラドたちに殺される。なら、上層を全力で駆け抜けてこいつらを振り切ったほうが……)


 何とかして生き残るべく、ジェシカは牛歩を続けながら策を練る。


 すると、後方から思いがけない言葉が聞こえた。


「むぅ!? あいつら、戻ってきやがった!」

「ほ、本当かい!?」


(クレイブが戻ってきた。なんだ、無事だったのか!)


 仲間の帰還に驚くトレイの言葉を聞き、ジェシカは全力で後ろを振り返る。彼女の視線の先にはクレイブとロスと思われる二つの人影があった。


 それで終わりだった。


 それからジェシカの身体は指一本、思いどおり動かすことはできなくなった。




「なんでこんなに時間がかかった。中層には何があったんだ。他の奴らはいたのか」


 モラドとトレイがクレイブらしき人物に近寄っていく。


 クレイブとロスもこちらに向かって歩いてくる。しかし、普段の二人とは様子が違う。簡単に見て取れる違いは歩き方だ。


 首領という立場を意識してか、クレイブは日頃、肩をいからせた癖の強い歩き方をしている。静かさや美しさ、洗練さとは無縁の粗野な歩き方である。


 それが今は全く違う。身体の動きに無駄は感じられず、歩様はゆったりと一定だ。それなのに進む速度はやたらと速い。それに足音をまるで伴っていない。まるで体重が無くなってしまったかのようだ。なぜかは分からないが、横のロスも同じような歩き方をしている。 


 外見だけはクレイブとロスにそっくりな完全なる別人。ジェシカには人の形をした二つの“影”を見てそのように思った。


「おい、お前ら。何とか言え。なぜ黙りこくっている?」


 矮石化蛇(バズィリシュカ)の幹部であるモラドが青筋を立てているというのに、二人とも沈黙を貫き何も返事をしない。


「まさかお前ら――」


 モラドが、とあることを口にしかけた瞬間、クレイブとロスの身体がふっと低く沈み込み、モラドとトレイの二人に突進した。


 突進からの一撃をモラドは(すんで)のところで躱す。だが、彼の背後から放たれるジェシカの一撃は避けられなかった。


 本人の意思とは無関係に動くジェシカの身体は、短剣の斬撃をモラドの背中に叩き込んだ。


 短剣ゆえに深くこそないものの、長い創を背中に負ったモラドはその場に倒れた。


 その横ではトレイがロスとボロゴン相手に奮戦している。ジェシカの視界に映るボロゴンは未だかつて見せたことがないほど軽快な動きをしていた。スペルジーチェの中でウォーカーを倒せるかどうか最も危ぶまれたのがボロゴンであり、彼はスペルジーチェ最弱だ。それが今や、普段のクレイブと同等かそれ以上の俊敏な動きでトレイを攻め立てている。


 トレイはロスとボロゴンによる挟み撃ちを巧みに捌くものの、十秒と経たずに手が追いつかなくなり、攻撃を身に受けてその場に倒れた。




 セーフティーゾーンに倒れるモラドとトレイに向かってボロゴンが話す。


「お前たちは先程、誘拐がどうのこうの喋っていたな。その計画について詳しく話せ」


 ボロゴンが発した声は、普段の彼の声と全く違っていた。誰の声かといえば、確かにボロゴンの声だ。ただし、まるで別人格に精神を乗っ取られてしまったかのような、喉の使い方が違う声である。ボロゴンの肉体には、今は別の何者かの精神が入り込んでしまっている。


(こいつは誰なんだ? 何だろう、この喋り方……。どこか聞き覚えがある)


「貴様ら……。こんなことをしてタダで済むと思うなよ!」


 モラドは床に倒れ伏してなお威勢を失っていない。しかし、身体をまともに動かせぬ傷を負っている以上、虚勢に過ぎなかった。


「『貴様ら』だと……? ああ。お前らはこいつの状態が分かってないのか。()は、今までのこいつとは違う、全く別の人間だと思え」


 ボロゴンの一人称は、これまた普段と違う。参謀気取りのボロゴンではあるが、自分のことを『私』などと呼んだことはない。気色の悪い変化がジェシカの肌を粟立てる。


「何を言っている。意味が分からん」

「馬鹿にでも理解できるように説明するのは難しいな……。ふむ。理解するのは諦めろ。お前はただ私の質問に答えればいい」

「ふ、ふざけるな!」


 モラドはボロゴンを鋭く睨む。すると、クレイブがモラドの腹を激しく踏みつけた。


 モラドの苦悶がセーフティーゾーンに響き渡る。


「いいか、お前らはこれから死ぬ。それは確実だ。生き残る手段はない。しかし、幸いにも死に方は選べる。私の質問に素直に答え、最小限の苦痛で安らかな眠りに就くか、苦しんだ後に私の質問に答えて悶え死ぬか、どちらかだ。私は“善”になど属していないが、善性に満ち溢れた選択肢の提示を厭わない。私のお勧めは前者だ。私は手間が省け、お前らは穏やかに眠りに就ける。皆が幸せでいられる理想的な選択肢だ。それに比べて後者はどうだ。私の手間は増え、お前たちは苦しみの果てに死ぬ。いいところが無いではないか。取るべき選択は明らかだ。だから、間違えないでくれ」

「何だ、お前……。俺の真似をしているつもりか……!?」


 ジェシカは気が付く。今のボロゴンの話し方は、先程までのモラドにどことなく似ている。感情に乏しい声の出し方。相手の事情を顧みない一方的な要求の通達。不遜な態度。理不尽な二択。傲慢な矮石化蛇(バズィリシュカ)の幹部さながらではないか。


 クレイブが今度はモラドの脇腹を蹴り上げる。蹴りの勢いにより、モラドの身体が少し宙に浮かぶ。


 腹部に受けた二度目の痛打にモラドは悶絶し、横を向いて激しく嘔吐(えず)く。


「馬鹿と“話し合う”場合、単純な規則を設けなければならない。馬鹿は複雑な規則を理解できないからな。この話し合いにおける絶対の規則はな、お前が口を開いていいのは私の問いに対して答えるときだけ、ということだ。いいか? 理解できたなら大きく一回(うなず)け」


 首肯を指示されてもモラドは応じようとせず、クレイブの蹴りが三度襲いかかる。


「話し合いは時間がかかるな……。こんな馬鹿に時間を取られるのは私にとっても痛いことだ。昔、学校の教師が児童を叱る際、『あなたを殴る先生の手も痛い』なることを言っていたが、その気持が今はよく分かる。教育の場においても話し合いの場においても、痛みとは双方が分かち合うものなのだ。私はまた真理の理解を深めてしまった」


 学校になど行ったことのないはずのボロゴンが学校における叱責の一幕を語る。ボロゴンの不明さを熟知しているジェシカは世界が裏返ってしまったかのように感じた。




 それからジェシカは、この世のものとは思えぬ拷問が繰り広げられる様を延々数時間眺めることになった。数時間で終わりとなったのは、二人が口を割ったからではない。モラドもトレイも最後まで口を割らなかった。


 拷問が終わりを迎えた理由はたったひとつ。セーフティーゾーンに近付く人間たちの気配があったからだ。


 声変わりの完了していない若い男の声、高すぎず低すぎずの青い未熟な声が上層側の出入り口から聞こえてきた直後、クレイブとロスの形をした二つの影は矮石化蛇(バズィリシュカ)の二人を絶命させた。何の前置きも躊躇いもなく、とても滑らかな動きで首をかっ切った。


 ヒトがヒトを殺す時は覚悟が要るもの、(りき)みが生じるものである。それなのに、クレイブたちはまるで道端の花でも摘むような、覚悟も力みもない、自然で迷いのない力の抜けた所作でヒトの命を二つ奪った。


 スペルジーチェは盗賊団であり暗殺集団ではない。彼らは金品を盗む際、往々にして人を殺す。だが、盗賊業を楽しんでいるクレイブですら、こんな暗殺者のような無感情な殺し方はできない。




 辛くも生き残った……いや、生き残ってしまった者たちは中層に伸びる道をひた走る。


 ジェシカの目に映る生存者はクレイブ、ロス、ボロゴンの三人。ジェシカ自身を含めると四人。しかし、ジェシカたちの背後には、何かがいるような気がする。


 足音はない。気配は微弱。だが、恐ろしい得体の知れない“何か”は四人の背後、すぐ傍にいる。


 ジェシカは、背後を振り向いて確かめたい、という強い衝動に駆られる。しかし、衝動だけ。身体は一切言うことを聞かない。ごくわずかに背中に感じる背後の気配から推測するならば、後ろにいるのは「死」そのもの。


 ジェシカは恐怖する。モラドとトレイが拷問の末、家畜を屠殺するよりも呆気なく殺されてしまったように、きっと自分も殺されるのだろう、と。


 かなりの速度で走っているというのに、強すぎる恐怖が全身の発汗を止めている。腕と足はガクガクだ。震えの強さは、道の起伏に足を取られずとも転んでしまいそうなほどである。いや、むしろ転倒しないほうがおかしい。それほどまでにひどく震えていながら、なぜかジェシカの身体は転倒せずに走り続けている。(リベット)でも打たれたように、足が地面にピタリと吸い付いているせいかもしれない。ジェシカの身体から練り上げられる魔力が謎の抵抗と推進力を生み、身体を前に押し出しているせいかもしれない。


 ジェシカの横を走るボロゴンが口を開く。


「あの口の固さ。あいつらは矮石化蛇(バズィリシュカ)だな。無駄に時間を費やしてしまった。だが、君は違うのだろう。()()()()君」


 クライムという名前の人物は、スペルジーチェの中にはいない。どうやらクライムとは、首領のクレイブを指したものらしいことにジェシカは気付く。


「名前は『クライム』ではなかったかな? 私は名前を覚えるのが苦手だからな。まあいい。もう少し奥まで走ったら、君と“話し合う”ことにしよう。心して待っていてくれ、クライム君」


 ボロゴンは前を走るクレイブの背中に向けて拷問の再開を予告する。


(用が済んだらウチらは殺される。モラドやトレイみたいに……。ああ、せめて死ぬ前にもう一度だけ、温かいラム酒が飲みたかったなあ……)


 死に水代わりの甘く温かい酒。有り得るはずのない甘美な未来を夢想してジェシカは現実から逃避する。


 絶望が見せる幻影なのか、それとも不可避の未来絵図なのか、先頭を走るクレイブの身体が既に左右に両断されているように空目しながら、彼女は墳墓の奥深くへ走り続けた。

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