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第1話:不遇なる神ヘパイストスとは

 若干、補正入れた感じのギリシャ神話世界観です。一応神話ベースですが、出展がゴチャ混ぜだったり名称を現代風にいじったり、勝手に精神描写を勝手に付け加えたりしてます。ご了承ください。


追記:1話が説明ばっかりで導入として機能していないので、1話(真)を新たに作り、2話として投稿しています。どっちから読んでも問題はありません。

 ギリシャ神話

 それは、世界の起源を示すための教養であり、神と人の間で巻き起こる愛憎劇であり、英雄と怪物がその力をぶつけ合う冒険譚でもある。

 人間味溢れる神々の住む世界を舞台にしたその神話は世界中に広まり。、西欧の文化や芸術に対して大きな影響を与えたと言われている。




 そんな、ギリシャ神話の神にヘパイストスという神がいる。

 最高神ゼウスと正妻の女神ヘラの間に生まれた長男であり、物作りを得意とする男の神。


 ゼウスが持つ、あらゆる攻撃を防ぐことができる神器「アイギスの盾」

 黄金と大理石をふんだんに使って作成された、オリュンポスの頂上にある「神々の住まう神殿」

 人類最初の女であり、神々に贈り物として様々なものを与えられた美女「パンドラ」

 他にも英雄アキレウスの鎧一式、太陽神と月神の弓矢、眠る巨人を一瞬で起こすガラガラなど様々な道具を作成しており、民衆からは「名高き職人(クリュトテクネス)」と呼ばれている。そんな風に、割と重要ポジションの神ではあるのだが、ヘパイストスはギリシャ神話の中でかなりひどい扱いを受けている。


 まず、ヘパイストスは生まれてすぐ母親に捨てられている。

 ゼウスは前妻の女神テミスとの間に、秩序を司るホーライ三姉妹と運命を司るモイライ三姉妹をもうけていた。しかし、ゼウスはヘラに一目惚れしてしまい、彼女と結婚するためにテミスと離婚していた。

 最高神の正妻の座を奪い、神々の中でも上位となったヘラ。そんな彼女を白い目で見る者が、神の中にはいた。そのような者たちを見返すためにも、彼女は優秀な神を産まなければならないというプレッシャーに駆られていた。

 しかし、生まれてきたヘパイストスは両親とは似ても似つかぬ非常に醜い顔をしていた。ヘラは、そんな子供の姿を見て怒り狂い、ヘパイストスを海へと捨ててしまう。


 ヘパイストスはレムノス島近海に落下し、その衝撃で両脚が内側にねじ曲がる重傷を負った。しかし、海の精霊達によって発見されて、一命を取り留めることになる。その後、ヘパイストスは地上で鍛冶の技能を数年間学んでからオリュンポスへと帰還し、神の一員として向かい入れられることとなった。




 次に、ヘパイストスは嫁に浮気され離婚している。

 オリュンポスへと帰還したヘパイストスは、出世のために作戦を立てる。

 彼は宝石を散りばめた黄金の玉座を作成し、自分を捨てたヘラに贈り物として送る。ヘラは、大喜びでその座席に座るも、実はその玉座には座ったものを拘束する透明の鎖がしかけられてた。それにより、ヘラは玉座に拘束されてしまう。

 ヘパイストスは、それを外す代わりに皆の前で自分を正妻ヘラの子どもとして紹介しろ、とヘラに要求する。すると、ヘラはあっさりとそれを承諾する。しかし、醜いからという理由で一度捨てられたヘパイストスからしてみれば、そんな言葉は信用できなかった。なので、ヘパイストスはよりハードルを上げた。


「じゃあ、貴方は私を女神アフロディテの夫にすると約束してくれますか? できもしないようなことを、そんな風に軽々しくいわないでください」


 女神アフロディテと言えば、ギリシャの女神の中でもトップクラスに美しい、愛を司る女神である。ヘパイストスはヘラに真剣に交渉をさせるため、そのような無理難題を押し付けた。

 しかし、自分のことが何よりも大切なヘラは、その条件すらもあっさり呑んでしまった。そうして、醜い男神ヘパイストスと美しき女神アフロディテは結婚することになった。


 それで、面白くないのはアフロディテである。好きでもない男と結婚させられ、しかも相手はブサイクでまともに歩けもしない男。アフロディテはヘパイストスを拒絶し、美男子のアレスと浮気をするようになってしまう。ヘパイストスは、疑うことを知らなかったのと、仕事の忙しさから、彼女の浮気に一切気付くことはなかった。


 しかし、ある日太陽神ヘリオスは、アレスとアフロディテの密会現場を目撃し、それを夫であるヘパイストスに報告してしまう。それにより、怒り狂ったヘパイストスは、二人に報復することを誓った。

 ヘパイストスが用意したのは、ヘラを拘束した見えない鎖だった。ヘパイストスは鎖をベットにしかけておき、彼らが裸で抱き合っているのを見計らって拘束する。

 ヘパイストスは、家に他の神々を呼び出して、拘束された彼らをさらし者にした。そして、近くにいた能弁の神ヘルメスに対し、こう聞いた。

「ヘルメスは、一度アフロディテと寝たいと言っていたよね? アレスと場所を変わって貰ったら?」

 するとヘルメスはこう答えた。

「いいえ、私のモノはアレス様と比べて頑丈でも逞しくもありませんから」

 他の神々はたまらず噴出した。


 その後、ヘパイストスとアフロディテは正式に離婚することが決定。浮気相手であるアレスは、ヘパイストスに対して多額の賠償金を払わされることになった。




 最後に、ヘパイストスには他の神を強○しようとした逸話が残っている。

 アフロディテと離婚したヘパイストスだったが、長い間彼女に相手をしてもらっていなかったので、非常に欲情していた。そんな時、たまたま工房にやってきた海王神ポセイドンから、こんな話を聞かされる。


「女神アテナはどうやらお前に気があるらしい。今度、お前の工房にやってくるだろう。そうしたら、そのまま押し倒してしまえ。嫌がったとしても、それは単に照れてるだけだから、そのままヤっちまえ」


 ヘパイストスは、非常に驚いた。なんせ、アテナと言えばゼウスに生涯純潔を貫くことを誓ったという処女神である。知恵の女神メティスの血を引いているだけあり、その美貌はアフロディテにも引けを取らない。

 非常にうさんくさい話だが、この話を教えたのはゼウスをも超えるプレイボーイであり、女性の機微に詳しいであろうポセイドン。しかも、ポセイドンにはアフロディテとの離婚調停を取り持ってくれた恩があった。そのせいで、ヘパイストスは彼の言ったことをすっかり信じ込んでしまう。


 その話はもちろん嘘である。

 実は、アテナとポセイドンは非常に仲が悪い神だった。彼らは、都市の取り合いで幾度となく争いを繰り広げており、負ける度にポセイドンは嫌がらせとして津波や干ばつを引き起こしていた。アテナも、保有する神殿でポセイドンが恋人と逢引したことがあり、それ以降彼を嫌っていた。

 今回、ヘパイストスに嘘の話を持ちかけたのも、アテナがヘパイストスの工房に武器を作ってもらいに行くと聞いたので、嫌がらせとして行ったことだった。


 そんなことは知らずに工房に入ってくる、何も知らない女神アテナ。ヘパイストスは、情欲に任せてアテナを押し倒そうとする。突然のことに驚くアテナだが、彼を払いのけて工房から逃げ出す。脚の不自由なヘパイストスは、俊足の女神には追いつけない……はずだった。


 ヘパイストスは、執念によって彼女をひたすらに追いかけた。戦いの神であるアテナは必死に応戦するも、ヘパイストスはひたすらアテナを追いかけた。それほどまでに、ヘパイストスは暴走していたのだ。


 最終的に、欲望があまりにも高まりすぎたヘパイストスの多銃身機関銃(バルカン)(意味深)は暴発。一週間ため込んだ白い弾薬()をアテナの脚に思いっきりぶちまけたのだった。


 まごうことなき変態の所業である。


 アテナは、ヘパイストスから逃げ出した後、白い汚れを羊毛でふき取り地面に置いた。すると、そこから上半身が人間で下半身が蛇の赤子が誕生した。その赤子は後にエリクトニオスと名付けられ、アテナの守護する都市の王になり、ヘパイストスから教わった技術で戦車を発明したとされている。




 このように、ヘパイストスの逸話は残念な物ばかりなのである。

 古代ギリシャにおいて、鍛冶神という存在は非常に軽んじられていた。ヘパイストスが醜いのは、当時の鍛冶師が作業中に出た有毒ガスによって肌病になったり脚を悪くしたりしていたことの表れとも言われる。鍛冶というのは文明にとって必要な要素ではあったが、古代ギリシャの人々は彼らを重く見てはいなかった。それが、ヘパイストスの神話として表れているのだろう。




 ここまで、振り返ったところで、そろそろ本題に入ろうと思う。

 死んだと思ってたらヘパイストスになってたんだけど、どうすれば良いんですかね?


 「ヘパイストス」と僕を呼ぶ母親らしき人の腕に抱かれながら、僕は非常に混乱していた。

補足解説

 ちなみにバルカン砲の名前の由来は、ローマ神話の火の神ウウルカヌスである。

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