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「いいよ。何かしらないけど、スノ…耐寒性できたからさ」
ここで、スノーマン(=雪だるま)姿になっていた事が夏丞に知られれば絶対、馬鹿にされると思い、濁した。だが…
「そうだな。ゆきんこは、スノーマンだもんな」
「え!?」
夏丞は何故か知っていた。
「それにしてもスノーマンって、ネーミングセンスないな」と、夏丞は笑う。
「うっせぇーなぁ。あん時は必死だったんだよ!ってか、何であんた知ってんの?!」
「ゆきんこ」
夏丞が微笑みを向ける。
「な、何?」
夏丞から北極よりも寒いものを感じる。
「言葉遣い」
「あ…ご、ごめ…」
雪太が謝るか謝らないかのうちに、夏丞は雪太の頭をわしづかみにする。
「い゛だだだだっ!!!」
雪太は泣き叫ぶ。
「雪太」
優しい、優しい声で夏丞は雪太の名を呼ぶ。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!」
雪太は必死に謝る。
「次から気をつけろよ。次はねぇーぞ」
一瞬、夏丞から笑みが消えた。
「ハイッ!」
雪太は裏返った声で返事をする。
「よろしい」
再びもとの夏丞の表情に戻った。
「空っぽ、ドンマイ」
「ドンマイ」
メリ、クリは笑って声をかける。
「空っぽじゃねぇ!ナメとんのかゴラァッ!!」と雪太は、メリ、クリに威嚇する。
「八つ当たりはやめろよー」
「みっともないぞ」
デジャブ。
そうこうしている間に、ソリは厚い氷の陸を発見する。そして、そこに降り立った。
「ここ北極?」
雪太はメリ、クリに確認する。
「うん、北極」
「おいら達が連れて来たんだ北極に決まってんだろ、空っぽ」
「空っぽっじゃねぇって言ってんだろうがっ!!一応、確認しただけだろ!?」
どうやら、雪太とメリ、クリの相性は最悪のようだ。
「じゃあ、氷削ってこい」
雪太は夏丞に鑿と木づちを渡される。
「何デスカ?コレハ」
目をしばたたかせる雪太。
「削ってこい」
有無を言わせない圧力がそこにあった。
カーン、カーン
鋭い音が辺りに響き渡る。
「何でここに来て氷削んだよ」
雪太はぶつくさ文句を垂れながら、削った氷を集めていた。
「"ここ"だからこそだ」
「うわっ!」
何の気配もなく、夏丞が後ろに立っていた。かき氷機を抱えて。
「兄貴、何それ」と、雪太はかき氷機を指差す。
「かき氷機」
「じゃなくて、何で持ってんの?」
「四次元ポケットから出した」
「パクんなって!」