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VRでジョブチェンジ!  作者: oga
第一章 鍛冶屋
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啓示

 ゲーム内に入ると、私は水面に顔をつけた状態からスタートした。

滝に打たれた後、体は川の下流に流されたようだ。


「ムサシは拾ってくれなかったのか……」


 私は少し恨みを覚えだが、逆に埋葬されていたら身動きが取れず、ゲームを始めからやり直す羽目になっていただろう。

ここは見捨ててくれたことに感謝すべきかも知れない。

川から這い上がると、全身を刺すような寒さに見舞われた。


「しまった…… 服を置いたままだ」


 私は、川の流れとは逆の方向に向かって歩き始めた。

しばらく歩き、滝つぼまで戻って来ると、運良く脱ぎ捨てた状態で服が放置されている。


「このままでは風邪をひきそうだが、仕方あるまい」


 全裸で歩けば変質者以外の何者でもなく、即刻通報されてしまう。

濡れた体の上から服を着ると、私は下山した。





 今度こそムサシに刀打ちを見せてもらおうと、工房に戻ってきた。

扉をノックすると、コジローが顔を出した。


「フゴ!?」


 見開いた目で私のことを見て、一歩後ずさる。

すると、後ろからムサシが現れた。


「あ、あんた…… 亡霊か?」 


「驚かせてしまったようで、申し訳ありません。 滝に打たれた衝撃で気絶してしまったようで……」


 しかし、ムサシは厳しい目でこちらを見たままだ。


「コジロー、退魔の剣を持って来い」


 退魔の剣?

まさか……

ムサシは、コジローから刀を受け取ると、鞘から刃を抜き放ち、おもむろに斬りつけてきた。


「ぐあっ」


 私の額に凄まじい痛みが走った。

血が滴り落ちる。


「血? あんた、亡霊じゃねーのか!?」


「私は…… 亡霊ではない!」


 体を張って、私が生きていることを証明したが、ムサシはもう当分刀は打たない、と言った。


「これは、刀は打つなっていう啓示だ。 神様が許可してくれねーんなら、仕事はしない」


 確かに事故は起きてしまった。

しかし、私は生きている。

それでも、頑なに刀を打つ気はない、と言われてしまった。






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