魔女現る
「あれは…… 妖精か?」
羽を生やし、盾を構えた妖精だ。
男は剣を床に突き立てているが、その間出現し、攻撃を受け流すのだろうか?
エリオットは毒ガスを吐き続けているが、妖精に守られ、あの3人には届いていない。
弓使いの女性が矢を取り出した。
「……ま、まずいっ」
弓につがえ、矢を放つ。
しかし、その矢は何故かこちらまでは届かない。
「あんっ!? 何で私の光の矢が当たらないのよっ」
光の矢?
……そういうことか。
エリオットの毒ガスで光が拡散してしまうんだ。
「エリオット、もっと吐き続けるんだ!」
「ラチがあかねぇっ!」
今度は槍使いがやり投げのモーションに入る。
槍が飛んで来るも、これはエリオットが尻尾で弾き返す。
「……膠着状態か。 だが、いつまで毒ガスを吐き続けられる?」
剣を持つ男がそう言った。
もちろん、毒ガスも無限に吐き続けることは出来ないだろう。
しばらくすると、メキリ、と床から音がした。
「……!?」
そろそろだ。このまま吐き続ければ、床が腐食して崩れる。
底が抜けた時が勝機だ。
「ま、待てっ! 俺たちの負けだっ」
剣使いの男が叫んだ。
他の2人も観念したのか、武器を床に置く。
「……」
エリオットが毒ガスを吐くのをやめると、更に男はこう言った。
「あんた、名前は? 俺たちの頭にならねーか?」
……予想外の提案だが、飛空艇を襲撃するような連中の頭になるわけにはいかない。
私がなるわ! と、マリーさんなら言いそうだが、エリオットの唾液まみれで、そんな気分ではないらしい。
「私はアオモリ。 申し訳ありませんが、その提案には乗れません。 ただし、この飛空艇は返して貰います」
そう言うと、3人は驚いた顔になった。
「あ、あんたが不死身のアオモリだったのか!」
不死身のアオモリ?
私にそんな通り名がついていたのか!
飛空艇は南の孤島に到着した。
彼らの目的は魔女を仲間にすることだった。
もし、魔女が彼らに協力するとなれば、また戦わねばならないし、協力せず、街に侵攻する気も無いのであれば、問題はない。
「とりあえず、魔女に会ってみるとしよう」
孤島には城が建っており、恐らくここが魔女の住まいなのだろう。
中に入ると、吹き抜けた天井と、玉座が目の前に現れた。
「誰もいないわね」
マリーさんが周りを伺いながら答える。
「客人ですか」
突然、影の中から声がした。
そして、そこからフードをかぶった男が現れた。
「我が主は今、街に出向いておられます。 もうしばらくしたら、お帰りになられるかと」
フードを覗き込む。
この男…… 人間ではない!
二足歩行のネズミだ。
「うっ、キモ……」
弓使いの女が口に手をやり、後ずさる。
その時、後ろから買い物袋を下げた、パッと見大学生のような女性が現れた。
「えっ、お客さん!? ちょ、今帰ってきたばかりだから、もう少し待っててもらって!」
ドタバタと走り、脇の部屋に入っていく。
小一時間ほど待つと、黒のドレスに身を包んだ先ほどの女性が現れた。
待たせてすいませんね、と我々の間を抜け、玉座に座る。
「ほう、客人とは珍しいな。 私に一体何のようだ?」
「……えっ。 あ、私たちは、あなたと話をしに来たのだ!」




