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VRでジョブチェンジ!  作者: oga
最終章 盗賊
51/63

空へ

「待ってくれっ!」


 先ほどの役に立たない兵士がやって来た。


「襲撃したやつらの中に、弓使いがいる。 そいつの放つ矢は、どういう訳か、鎧や盾をすり抜けて体に刺さるんだ。 このまま飛空艇に突っ込んだら、やつの餌食になる可能性が高い」


 ……何だと。

弓使いがいる、というのは厄介だ。

エリオットは飛べるかどうかも分からないのに、空中で矢をかわせるか? といえば、かなり怪しい。


「……情報提供ありがとうございます」


「ああ、検討を祈る!」


 そう言って、少しだけ役に立つ兵士は持ち場に戻って言った。


「聞いたか、エリオット」


「……面倒クセーナ」


 物質を透過する矢、となると、盾を構えて飛んでも意味は無い。

人に刺さるという性質上、盾になるのは空を飛ぶことのできる生物。

鳥か、ドラゴンだ。


「エリオット、いつも街を旋回しているドラゴンたちがいる。 彼らに協力を仰ぐんだ。 もし頼んでくれるのなら、焼き肉奢ってやるぞ?」


「ヤ、焼キ肉食イテーッ!」


 眼前には、飛空艇が滑空するために作られたと思われる道が伸びている。

助走を取るには十分な長さだ。


「フゥー……」


 セナが焚き付けてくれたおかげで、エリオットのやる気はある。

後は、飛び方のコツを教えてやればいい。


「エリオット、私からアドバイスがある」


「ソンナモン、イラネーッ」


 いや、気合いだけでは絶対に飛べん。


「飛びたいなら聞くんだ。 空を飛ぶのに必要なのは、揚力と呼ばれる力だ。 翼を水平にして走り、徐々に翼を起こすことで、揚力を得ることができる。 宙に浮き上がれば、後は翼の角度調整で自由に飛べる!」


「……」


 エリオットは黙って走り出した。

意外なことに、私の言った通りに、翼を水平にしている。

エリオットが空路を駆ける。

そして、気づいたら体が宙に浮いていた。


「いいぞっ!」


「エリオット、すごいじゃないっ!」


 一度飛び立つと、後は簡単だった。

エリオットは得意になって翼を羽ばたかせ、旋回しながら上空へと飛び立った。

……私はそこで気が付いた。

風圧で前がまともに見えず、振り落とされれば命はない。

ゴーグルと、エリオットの体と自分の体を繋ぎ止めるものが必要だった。


「オイ、オ前ラ! 俺二協力シタラ、コノオッサンガ、焼キ肉奢ルゾ!」


「本当カ?」


 なんだと!?




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