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VRでジョブチェンジ!  作者: oga
最終章 盗賊
50/63

覚醒

 式典の会場はパニックに陥っていた。

空にはクジラのような形をした船が飛んでおり、どこかに向かっていた。

地上にいる兵士は、どうすることも出来ず、ただこの惨事を眺めているだけだ。


「く、追わなければ……」


「どうやって追うんだよ……」


 ……あの飛行船を追えるのは、どうやら私たちだけのようだ。

しかし、こんな所でエリオットのあの巨体を見せれば、逆に捕まりかねない。

先に衛兵に話を通してからの方が……


「エリオット! あれを追うわよ!」


 マリーさんが叫び、エリオットは体を変化させ、巨体を晒した。

会場に別な脅威が現れ、更に混乱が広まる。

……流石の私もマリーさんにキレてしまいそうだ。


「衛兵っ! 私たちが飛行艇をなんとかもするかわりに、このことには目をつぶってくれ!」


「そ、それは…… 私の一存では決められん。 なぁポール、こういう時、マニュアルには何てあった?」


「……いや、俺に聞かれても」


 ……もういい。

後でどうなるか分からないが、やるしかない。

マリーさんがエリオットに跨がり、私も体に足をかけ乗り込む。


「よし、行きましょう!」


 しかし、エリオットは飛び立とうとしない。


「ど、どうしたの?」


「……前カラ背中ニ違和感ガアル」


 そういえば……

エリオットは生まれる前に矢で背中を射貫かれた。

あれが影響しているのか?


「そんな…… あなたドラゴンでしょ!」


「……」


 その時、背後から声がした。


「助走を取って、強く踏み込んで跳び上がれ。 そこから目いっぱい羽ばたかせるんだ。 お前なら飛べる!」


 そう言ったのは、後から付いてきたセナだった。


「お前がもし飛べたら、この街で最速の俺が勝負してやる!」


  ……セナ、君にはトラウマがあり、空を飛ぶことが出来ないハズだ。

だが、もしエリオットが自分の傷を克服し、空を飛ぶことができれば、セナに勇気を与えることになるかも知れない。


「……ヤッテヤルヨ!」

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