式典
「アオモリより私の方が絶対いいわよ! 私、乗馬も得意だしさ。 アオモリはやめておいた方がいいわ!」
何が何でも自分が乗りたい、というのがビリビリ伝わってくる。
私だってエリオットに乗りたいが、これでは譲るほかないか……
南の孤島を2往復しなければならないのは手間だが、仕方ない。
「……分かった。 ここはマリーさんに譲ろう。 勝負となると、乗馬の出来るマリーさんの方が勝機がありそうだ」
マリーさんは、よっし! とガッツポーズを作った。
しばらく道を進み、市街地にやって来た。
馬車を脇道に止め、セナの家に向かう。
それにしても、普段より人の往来が多い気がする。
「何かイベントでもあるのだろうか?」
「さぁ……」
すると、その会話を聞いたおばちゃんが口を挟んできた。
「あんた達、今日は飛行艇の完成式典の日だよ! 見とかなきゃ、話題に乗り遅れちまうよ!」
飛行艇が完成したのか……
しかし、現実で飛行機が当たり前の私にとって、それはそこまで興味の湧くものではない。
「飛行艇って何!? アオモリ、見に行こうっ!」
くっ、余計なことを……
マリーさんは勝手に式典の会場に向かってしまった。
あっという間にいなくなってしまった為、私とエリオットだけでセナの家にやって来た。
扉をノックする。
「……!」
億劫そうに少しだけ開いた扉から、セナが顔を出す。
すると、眼光が変わった気がした。
「その子…… ドラゴン?」
「ああ、約束を果たしに来た」
ばあん! と扉が開き、セナは私を押しのけてエリオットに駆け寄った。
「すげーっ! この子、エビルドラゴンだよ! 初めて見たしっ!」
エビルドラゴン?
そういう品種のドラゴンだったのか。
「セナ君、君と勝負がしたいんだ。 受けてくれるか?」
すると、セナは急に黙り込んだ。
「……俺、昔事故って以来、飛ぶのに自信がないんだ。 俺だって、あんたとの勝負なら是非受けたいよ。 ちゃんとここまで世話した人だし」
……心の傷。
簡単にはいかないか。
「……分かった。 ただ、少し話をしないか? 勝負をしようとは言ったものの、うまく乗りこなす自信がないんだ」
「……いいよ。 入りなよ」
私がセナの家に入ろうと、ドアノブに手をかけた時、アオモリーッ、という叫びが聞こえた。
「やばいよっ! 式典か襲撃されて、大変なことにっ……」
何だと!?




