死闘の行方
ミシミシ、と天井から音がした。
エリオットが私を追ってきたのだ。
先ほどから明確な殺意を私に向けてきている。
「だが、説得するしかない……」
私は思考を巡らせた。
……望みは薄いかも知れない。
それでも、今思い付いた方法を試すしかない。
私は、急いで転がっているジェットパックを背負った。
そして、手元のコントローラーに付いているつまみを絞り、出力を「最強」に合わせた。
リュックのひもを引いて、エンジンを回す。
「さあ、来いっ!」
天井が砕ける音と共に、エリオットが降ってきた。
巨体が降り立つと、ズウウウン、と地面を震わせる。
「隙を見せてくれ、エリオット……」
間合いはおよそ10メートル。
この距離なら、毒ガスを吐いてくる可能性が高いか?
案の定、エリオットが息を吸い込んだ。
「今だっ!」
私は、手元のスイッチを押してエンジンを吹かした。
ドン、という音がし、凄まじいスピードでエリオットに迫る。
あまりの勢いに、コントローラーを操作する暇が無かったが、リュックの重みで前かがみになっていた為、そのままエリオットの顔面に向けて飛んでいった。
「……!?」
目の前に何かが飛んでくれば、条件反射で目をつぶってしまう。
思い描いた作戦とは若干違うが……
私は、エリオットが毒ガスをまきちらす前に、顔に張り付くことが出来た。
「グオオオオーーーッ!」
「まず、殴ってしまったことを謝らせてくれっ! 本当に、すまなかった!」
丸飲みにされないよう、口にしがみつき、全力で叫び続けた。
「こんな未熟な親を、どうか許してくれっ」
今にして思えば、反発されて当然だ。
自分が正しいと思うことを、殴って無理強いさせようとしたのだ。
エリオットは理屈を求めた。
理由が無ければ、納得することは出来ない。
当然ではないか。
何故、そんなことに気づかなかったのだ!?
私は、自分の拳が憎くなり、噛みついた。
「こんな、こんなものが無ければっ」
「モウイイッテ、ウルセーナ」
気が付くと、エリオットは元のサイズに戻っていた。




